1年以上売れない家に共通する特徴は?売れるようにするための7つの対策
中古の家を不動産会社の仲介で売りに出したものの、1年以上たっても売れ残っているということがあります。
売主としては、どうして売れないのか、一体何が問題なのかと思い悩むことでしょう。
そこで今回は、1年以上売れない家に共通する特徴、売れるようにするための対策、売れないからといってしてはいけないことなどについて詳しく解説します。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. 1年以上売れない家に共通する5つの特徴
- 1.1. 特徴1:立地が悪く住みにくい
- 1.2. 特徴2:老朽化している
- 1.3. 特徴3:価格が高すぎる
- 1.4. 特徴4:内覧時の家の印象が悪い
- 1.5. 特徴5:不動産会社の販売活動に問題がある
- 2. 1年以上売れない家を売れるようにするための7つの対策
- 2.1. 対策1:掃除や臭い対策を行う
- 2.2. 対策2:ハウスクリーニングをする
- 2.3. 対策3:ホームイクスペンションを行う
- 2.4. 対策4:媒介契約の内容を見直す
- 2.5. 対策5:不動産会社を変える
- 2.6. 対策6:売り出し価格を見直す
- 2.7. 対策7:ホームステージングを利用する
- 3. 家が1年以上売れないなら専門の買取業者に売却するのも選択肢の1つ!
- 4. 家が1年以上売れない場合にしてはいけない4つのこと
- 4.1. その1:空き家にする
- 4.2. その2:リフォームする
- 4.3. その3:賃貸物件として貸し出す
- 4.4. その4:更地にする
- 5. 1年以上売れない家でも専門の買取業者なら短期間で買い取れる!
1年以上売れない家に共通する5つの特徴
中古の家は、通常売り出してから3ヶ月程度の間に買い手が現れて成約します。
これは、レインズ(REINS:公益財団法人東日本不動産流通機構)の資料「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」に、中古の戸建て住宅やマンションが売却のために不動産会社に登録されてから成約に至るまでの期間は、65日~111日となっていることからも分かります。
このことから、不動産会社に中古の家の売却依頼をしてから1年以上経っても売れない家には、共通する何らかの理由があるものと考えられます。
売れない家に共通する代表的な特徴としては、次のようなものがあります。
売れない家に共通する特徴
- 特徴1:立地が悪く住みにくい
- 特徴2:老朽化している
- 特徴3:価格が高すぎる
- 特徴4:内覧時の家の印象が悪い
- 特徴5:不動産会社の販売活動に問題がある
以下では、それぞれについて詳しく説明します。
特徴1:立地が悪く住みにくい
中古の家の立地が悪い場合は、なかなか売れません。
中古の家を購入する人の多くは、本来は新築の家を購入したかったのですが、資金などの問題から新築をあきらめて中古の家を購入しようとする人たちです。
ですから、新築をあきらめた分だけ立地条件にはかなり厳しく、都会であれば通勤や通学に不便な最寄駅から遠い物件、買い物や子育てに不便な物件を選ぶことはありません。
田舎であれば、生活に車が必須ですから車の出し入れがしにくい物件、複数台分の駐車スペースがない物件、スーパーや病院などの生活関連施設から遠い物件も選ぶことはありません。
また、日当たりが悪かったり、隣近所の家が密接して建っていたりするような物件も敬遠されがちです。
1年以上売れない家の場合に、最も多い特徴はこれらの立地の悪さや済みにくさに起因するものです。
特徴2:老朽化している
中古の家が老朽化している場合も、なかなか売れません。
築年数が古くなると見た目が古くなってしまうことはもちろんですが、購入後も修理や修繕が必要となり費用がかかることが予想されるため、購入をためらうケースが多くなります。
中古の家を購入する人は、築年数相応の劣化があることは覚悟しているものですが、物件によっては築年数以上に外観や内装が劣化していることがありますので、リフォーム費用がかかりすぎるような物件には手を出さないでしょう。
中古の家とはいっても、生涯住むことができるマイホームを探している人がほとんどですので、程度が良く購入後もあまり費用のかからない家を購入したいと考えるからです。
特徴3:価格が高すぎる
中古の家の売り出し価格が高すぎる場合も、成約にはつながりません。
中古の家を購入しようと考えている人は、希望する地域の中古物件情報を各種サイトなどで常時チェックしています。
そのため、その地域の中古物件の販売価格には詳しくなっていますので、売り出し価格が高すぎる物件には全く興味を示しません。
売り出し物件の数が多い地域であれば他にも多くの物件がありますので、問合せも内覧希望もほとんどないという状態になることが考えられます。
いずれにしても、築年数や間取り・立地などの総合的な条件に対して、売り出し価格が高すぎると判断される物件は売れ残ってしまいます。
特徴4:内覧時の家の印象が悪い
内覧時の家の印象が悪い場合も、売却にはつながりません。
中古の家を購入しようと考えている人のほとんどは、内覧をして自分の目で物件の良し悪しを判断します。
このときに、物件そのものの印象が悪い場合も、接客した不動産会社の担当者の対応が悪い場合も、購買意欲を低下させる要因になります。
たとえば、壁紙や天井が変色していたり、台所や洗面所・浴室などの排水口が臭ったり、ドアなどの開け閉めの調子が悪いなど、家のちょっとした不具合が家全体の悪い印象となってしまいます。
また、不動産会社の担当者の接客態度が良くない場合も、質問に適切に答えられない場合も購入を躊躇する原因となります。
担当者だけではなく、その不動産会社や売り主に対する信頼を低下させることになるのです。
このように、中古の家にとって内覧時の対応の良否は非常に大きな影響を与えます。
特徴5:不動産会社の販売活動に問題がある
色々な面で不動産会社の販売活動に問題がある場合も、売却につながりません。
たとえば、戸建て住宅の販売が不得意であったり、その地域に詳しくなかったりすると満足の行く販売活動ができません。
不動産会社が宣伝費用をかけたくないために広告を制限して購入希望者に物件情報が伝わらないような場合も、販売活動に問題があるということになります。
さらに、不動産会社としてはきちんとした宣伝活動を行っていたものの、担当者の対応が悪い場合もやはり販売活動に問題があるということになります。
また、不動産会社は売却の仲介をすることによって「仲介手数料」を得ており、通常は売り主と買い主の双方に仲介した不動産業者がいて、売買契約が成立した時点でそれぞれの不動産業者に「仲介手数料」が支払われます。
しかし、不動産会社によっては、売り主と買い主の双方から「仲介手数料」を得ようとして、他の不動産会社からの問い合わせをシャットアウトしたり、物件情報を市場に公開しなかったりすることがあります。
このような行為を「囲い込み」といいますが、仲介を依頼している不動産会社が「囲い込み」をすると、売却の機会が著しく減少してしまうことになります。
1年以上売れない家を売れるようにするための7つの対策
では、1年以上も売れなかった家を売れるようにするにはどうすればいいのでしょうか?
ここでは、次の7つの対策をあげて説明します。
売れない家に共通する特徴
- 対策1:掃除や臭い対策を行う
- 対策2:ハウスクリーニングをする
- 対策3:イクスペンションを行う
- 対策4:媒介契約の内容を見直す
- 対策5:不動産会社を変える
- 対策6:売り出し価格を見直す
- 対策7:ホームステージングを利用する
以下、順に説明します。
対策1:掃除や臭い対策を行う
中古の家を購入する人のほとんどが内覧をしますので、内覧の印象を良くするために室内外の掃除や臭いの対策をすることが考えられます。
内覧者は、新居での新しい生活をイメージしながら物件を見ますので、少しでも良い印象を与えるように努力することは大切です。
また、その家が空き家になっている場合は、窓やドアの開閉がなく水が流れない状態が続いているために、臭気が発生してその臭気がこもっている可能性があります。
内覧日が決まったら、数日前から窓を開閉するなどをして空気を入れ替えることが必要です。
対策2:ハウスクリーニングをする
中古の家を売却しようとする際には室内の片付けや掃除をしますが、自分自身でできることは限られています。
素人の掃除とプロのハウスクリーニングとで大きな差が出るのは、キッチン、洗面台、浴室、トイレなどです。
これらの場所に共通しているのは、素人では落としにくい頑固な汚れがこびりついていることで、油汚れや水垢、黄ばみなどをきれいにすることは非常に難しいものです。
プロのハウスクリーニングでは、専用の洗剤や機材を使って徹底的にきれいにしてくれますので、自分でやるのと大きな差が出ます。
また、ハウスクリーニングの料金相場は驚くほど高いというわけではありませんので、一度試してみることをおすすめします。
対策3:ホームイクスペンションを行う
ホームインスペクションは住宅診断とも言い、住宅診断士や建築士に住宅の劣化状態や不具合事象の有無などを診断してもらうことです。
住宅診断士や建築士は、専門家・第三者の立場から、現場調査をしたうえでホームインスペクションを行い、改修すべき箇所やその時期、概算費用などについてのアドバイスもしてくれます。
専門家がしっかりと調査をして安全性や住宅性能を評価し、安心して住める家であることを証明してくれますので、買い主も安心して購入することができます。
このように、ホームインスペクションは、不動産の価値を上げて売れやすくするための有効な方法となります。
対策4:媒介契約の内容を見直す
1年以上家が売れない場合は、不動産会社との媒介契約の内容を見直すことも考えられます。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」という3つの種類がありますので、現在締結している契約と異なるものに変更することも検討しましょう。
それぞれの媒介契約には特徴があり一長一短がありますが、「一般媒介契約」は時間をかけて納得する価格で売りたい場合、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」は早く確実に買い手を見つけたい場合に向いているといわれています。
もし、現在の契約が「一般媒介契約」で1年以上売れないという場合は、築年数が古くて人気エリアではないなどあまり条件が良くないことが考えられますので、「専属専任媒介契約」に変更して不動産会社の手厚いサポートを期待することも考えられます。
対策5:不動産会社を変える
なかなか家が売れない場合、仲介を依頼している不動産会社を変えることも一つの方法です。
不動産会社が、仲介を依頼している物件やその地域に不得意であったり、宣伝活動が不適切であったり、不動産会社の担当者の対応がよくなかったりなど、理由はさまざまあると思われますが、やはり1年以上家が売れない場合は、不動産会社を変えてみる必要があると考えます。
その上で、不動産会社を選ぶ場合は、候補となる複数の不動産会社をピックアップして、その地域で売却実績の高いところを選ぶようにしましょう。
改めて物件の査定を依頼し、査定結果を聞く際には不動産会社を訪問して、会社の雰囲気や責任者や担当者の対応なども確認して決めるようにしましょう。
対策6:売り出し価格を見直す
中古の家が1年以上売れない原因として、売り出し価格が高すぎるということがありますので、周辺の中古物件の販売価格などを参考にして売り出し価格を見直すことも必要です。
もし、1年間の間に問い合わせや内覧の機会があり、値下げ交渉の段階で合意できなかったことがあった場合は、販売価格以外の点ではほぼ満足しているものの価格の点で成約できなかったと考えられます。
つまり、もう少し販売価格を下げれば売却できる可能性があるということです。
なお、売り出し価格を見直す際に注意すべきこととしては、その中古の家に住宅ローンの残債が残っている場合は、販売価格が残債総額を下回らないようにすることです。
いずれにしても、不動産会社の担当者ともよく相談をしたうえで、無理のない範囲で相場よりも若干安い程度の売り出し価格にすると良いと考えます。
対策7:ホームステージングを利用する
ホームステージングとは、売り出し中の家の室内に家具や照明などを設置して、内覧時に良い印象を与えるように演出することです。
欧米で中古の家を売却するときには当たり前に行われているサービスですが、日本ではまだあまり行われていません。
中古の家を購入する人の多くは、内覧時の印象の良し悪しで購入を決定するといわれていますので、ぜひ試してみることをおすすめします。
家が1年以上売れないなら専門の買取業者に売却するのも選択肢の1つ!
家が1年以上も売れないときに考えられる方法として、専門の買取業者に売却する選択肢もあります。
専門の買取業者に売却する場合は、家の中の片付けや掃除をする必要がなく、売り主にほとんど手間がかからず、しかも短期間で確実に売却することができます。
ただし、専門の買取業者への売却価格は一般的な売買相場よりも安い価格になってしまうことがあります。
しかしこの場合、1年以上も売れ残っていた家が確実に売却できるという点をメリットとして考えるべきではないかと思われます。。
家が1年以上売れない場合にしてはいけない4つのこと
家が1年以上も売れないときに、絶対にやってはいけないことがあります。
ここでは、特に重要な4つのことについて説明します。
売れない家に共通する特徴
- その1:空き家にする
- その2:リフォームする
- その3:賃貸物件として貸し出す
- その4:更地にする
その1:空き家にする
家は人が住まなくなると急速に劣化しますので、家が売れないのに引っ越して空き家にするのは極力避けた方が良いでしょう。
空き家にしたからといって、それほど劣化が進むことはないと思う方もいるかもしれませんが、窓やドアの開け閉めがなくなったり、上下水道の水の流れがなくなることなどによって次のような劣化現象が現れたりします。
カビの発生 | 空気の入れ替えがなくなりますので、湿気がこもってカビが生えやすくなります。 |
排水管の異臭 | 水が流れませんので、排水管の内面が乾燥してヘドロ臭が発生するようになります。排水管からのヘドロ臭が上がってきて、空気の入れ替えがないため室内にこもります。 |
害虫の発生 | ゴキブリなどの害虫が発生して繁殖しやすくなります。 |
どうしても、引っ越しなどで空き家にせざるを得ない場合は、定期的に窓を開けて空気の入れ替えをしたり水を流したりして、劣化が進まないようにする必要があります。
その2:リフォームする
なかなか家が売れないときに、リフォームをすると家の見栄えが良くなり価値が上がって売れやすくなるのではないかと考える人がいます。
確かに、リフォームをすれば査定価格が上がりますので、売り出し価格も高く設定できるでしょう。
しかし、リフォームをしたからといって必ず売れるという保証はありませんし、リフォームするには相応の費用がかかってしまいます。
家が売れない理由が立地や周辺の環境などによる場合は、家をリフォームしても必ず売れるとは限らないということに注意すべきです。
また、中古の家を購入する人の中には、購入後に自分の好みに合わせてリフォームしたい人もいますので、売り主がリフォームしてしまうと売れにくくなることもあります。
その3:賃貸物件として貸し出す
中古の家が売れないからといって、賃貸物件として貸し出すこともおすすめできません。
その理由としては、売れない家にすぐ借り手が現れるとは考えにくいこと、設備の故障の際に修理費用がかかること、借り手の退去に伴うハウスクリーニングや補修などの費用がかかること、管理会社への管理費用がかかること、などが考えられます。
その4:更地にする
家が売れない理由は、古家が建っているからだと判断して家を解体して更地にすることを考える売主がいますが、これは避けた方が良いでしょう。
一つの理由は、解体や整地にはそれなりの費用がかかるということと、更地にしたからといって売れるという保証はないということです。
もう一つの理由は、家を解体して更地にすると「住宅用地の特例」が適用されなくなるため、翌年からの固定資産税が最大6倍になってしまうからです。
更地にしても売れないという状態が続いた場合は、翌年以降最大6倍の固定資産税を毎年納めなければならなくなります。
1年以上売れない家でも専門の買取業者なら短期間で買い取れる!
この記事では、1年以上売れない家に共通する5つの特徴、売れるようにするための7つの対策、売れないからといってしてはいけない4つのことなどについて解説しました。
中古の家を売却する場合は、立地条件や売り出し価格、周辺の不動産相場などのいろいろなことが関係してきますので、売り主の思い通りに売れるとは限りません。
しかし、売り主としては早く家を売却して安心したいという気持ちもあるはずです。
このようなときにおすすめしたいのは、専門の買取業者への売却です。
専門の買取業者への売却であれば、1年以上売れない家でも短期間で確実に売却することができます。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。