空き家の相続税を知りたい!控除の計算方法から節税対策まで詳しく解説

親が空き家を所有している場合、あるいは親が亡くなった後に実家が空き家となる場合、将来的に空き家を相続する可能性があります。

人が住んでいない家であっても被相続人の財産であれば、空き家には相続税がかかります。

しかし、相続税についてよく理解できておらず、どのくらいの税金を納めることになるのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、空き家にかかる相続税について詳しく解説します。相続税対策になる制度も紹介するので、空き家の相続税を少しでも抑えたい方はぜひ参考にしてください。

【注意】空き家の相続税は高くなりやすい

人が住んでいない空き家にも相続税は課税されます。

特に、人が居住する住宅を相続するケースと比較して、空き家を引き継ぐと相続税が高くなることがあります。

これは、「小規模宅地等の特例」が適用されないためです。

小規模宅地等の特例が適用されると、相続税評価額が最大80%減額されます。

しかし、空き家の場合は特例の対象とならず、不動産の評価額にそのまま税率がかけられるため、結果的に税負担が大きくなってしまいます。

空き家を相続する可能性がある場合、相続税の申告時に慌てないように、事前に税額を計算したり節税対策を検討したりすることが大切です。

空き家の相続税評価額を計算する方法

空き家を含む不動産の相続税は、不動産の価値を示す「評価額」をもとに計算されます。

建物と土地では、評価額の計算方法が異なる点に注意が必要です。

以下では、建物と土地に分けて相続税評価額の計算方法を解説します。

建物の相続税評価額

建物の相続税評価額の計算式は「固定資産税評価額×1.0」です。

つまり、建物の固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。

固定資産税評価額は、固定資産税を決める際に基準となる評価額のことであり、建物の場合は建築費用の60%が目安です。

固定資産税評価額は、自治体から毎年送付される固定資産税課税明細書や、市区町村役場で発行される固定資産評価証明書で確認できます。

土地の相続税評価額

空き家が建つ土地の相続税評価額は、「路線価方式」または「倍率方式」のどちらかで計算します。

路線価方式

土地の相続税評価額の計算は、基本的に路線価方式を用います。

路線価方式における、土地の相続税評価額を求める計算式は「路線価×土地の面積(㎡)」です。

路線価とは、道路に面する土地1㎡あたりの評価額であり、国税庁のウェブサイトから路線価図にアクセスすると調べられます。

路線価図で、該当する土地に面した道路に記載されている数字が路線価です。

数字は1,000円単位で表示されているため、たとえば「215」と記載されていれば、路線価は215,000円となります。

なお、土地が借地である場合は、路線価図において記号で示された借地権割合を上記の計算式に掛けます。

土地の奥行きに問題があり、利用が制限される場合は奥行価格補正率を掛け、減額補正を行ってください。

倍率方式

郊外などの路線価が設定されていない土地では、倍率方式を用います。

倍率方式で土地の相続税評価額を求めるには、「固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。

評価倍率も国税庁のウェブサイトで確認可能です。

評価倍率が記載されている評価倍率表には、宅地や田、畑、山林など、土地の用途ごとに倍率が記載されています。

相続税評価額の計算対象となる土地の現在の用途に合わせて、適切な倍率を選びましょう。

土地の用途が複数ある場合は、用途ごとの面積に適した倍率を掛けて計算してください。

空き家の相続税対策

相続税が高くなりやすい空き家にかかる税負担を抑えるには、対策が必要です。

以下では、空き家を相続する際に活用できる節税対策について解説します。

生前に被相続人と同居する

一人暮らしをしていた被相続人が亡くなると、自宅は空き家になってしまいます。

この場合、被相続人の生前から相続人が同居していると、相続時に「小規模宅地等の特例」が適用されて減税される可能性があります。

小規模宅地等の特例とは、相続した土地の評価額が減額される制度です。

空き家が建っている土地が「特定居住用宅地等」と認められると、330㎡までを限度として相続税評価額が80%減額されます。

小規模宅地等の特例が適用されるのは、配偶者または同居していた相続人のみです。

さらに同居と認められるには、次の条件を満たす必要があります。

同居と認められる条件

  • 条件1:相続開始前から相続税の申告期限まで、対象となる土地にある住宅に住んでいる
  • 条件2:相続開始時から相続税の申告期限まで、対象となる土地を所有している

したがって、週末のみ被相続人の自宅で過ごした場合や、住民票を移しただけであれば同居とみなされない可能性があります。

また、被相続人が老人ホームなどに入居して相続開始前から自宅が空き家になっていた場合でも、次の条件を満たしていれば特例が適用されます。

特例が認められる条件

  • 条件1:被相続人が要介護認定または要支援認定を受けている
  • 条件2:自宅を賃貸していない
  • 条件3:被相続人に同居する家族がいない
  • 条件4:相続人が相続開始前3年以内に、自身や配偶者、親族が所有する家に住んでいな

相続税が大幅に減額されるため、生前からの同居が可能な場合は特例の活用を検討してみましょう。

生前に賃貸物件として活用する

被相続人の生前から空き家を賃貸物件として活用していれば、小規模宅地等の特例が適用されるため、相続税対策が可能です。

この場合、賃貸住宅が建つ土地は「貸付事業用の宅地等」とみなされ、200㎡までを限度として相続税評価額が50%減額されます。

貸付事業用の宅地等として特例が適用される条件は、次のとおりです。

貸付事業用の宅地等として特例が適用される条件

  • 条件1:相続税の申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、継続している
  • 条件2:相続税の申告期限まで、対象となる土地を所有している

ただし、相続開始までに賃貸経営を3年以上継続していないと特例は適用されません。

空き家を賃貸活用しようと検討している方は、早めに行動を起こしましょう。

相続放棄する

相続放棄をすると、空き家を引き継ぐ権利を手放すことになるため、相続税を負担する必要もなくなります。

相続放棄とは、被相続人の財産を引き継ぐ権利を放棄することです。

相続では不動産や預貯金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぎます。

プラスの財産よりもマイナスの財産が多く、相続人の負担が大きい場合に相続放棄が行われることがあります。

空き家を手放す方法としても有効ですが、相続放棄をするとほかの財産も引き継げなくなる点に注意が必要です。

また、相続放棄の手続きには期限があり、被相続人が亡くなったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

さらに、相続放棄をしても空き家を管理する義務を負う場合があります。

相続人全員が相続放棄をした場合に遺産を管理・処分する役割を担うのは、家庭裁判所が選任する相続財産清算人です。

ただし、相続財産清算人が選任されるまでの期間は、空き家を使用していた相続人がその空き家を管理する義務を負います。

たとえば、親と子どもが同居していた場合、親が亡くなり子どもが相続放棄して家を出ても、子どもに空き家となった自宅の管理義務が発生するため注意しましょう。

寄付をする

空き家を寄付すると「相続税の寄附金控除」が適用されて、相続税が課税されない場合があります。

「相続税の寄附金控除」とは、相続した財産を国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付すると、その財産が非課税になる制度です。

この制度が適用される要件は、次のとおりです。

相続税の寄附金控除が適用される条件

  • 条件1:寄付する財産は相続や遺贈で得たものである
  • 条件2:相続税の申告期限内に寄付する
  • 条件3:寄付先は国や地方公共団体、教育や科学の振興に貢献する特定の公益法人である

この制度を利用するためには、相続税の申告書に制度の適用を受ける旨を記載して、申告しなければなりません。

また、寄付する財産の明細書と、国や地方公共団体、公益法人などが寄付を受けた旨を記載した書類の添付も必要です。

公共団体が空き家を活用している事例は少なくないため、空き家の寄付を受け入れてもらえる可能性はあります。

まだ十分に利用できる空き家であれば、寄付を検討してみましょう。

生前に売却する

被相続人が亡くなると空き家になる住宅や、すでに空き家となってる建物は、生前に売却するのも方法の一つです。

被相続人が生きている間に建物を売却すれば、相続そのものが発生しないため相続税もかかりません。

さらに、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されて、不動産売却による所得にかかる税金が減額される可能性があります。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、不動産売却により得た譲渡所得から最高3,000万円が控除される制度です。

この特例は被相続人が居住している自宅だけでなく、生前から空き家になっている建物でも適用されます。

ただし、居住しなくなった日から3年目にあたる年の12月31日までに売却する必要があります。

この特例が適用される主な条件は、次のとおりです。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が適用される条件

  • 条件1:自分が住んでいる家、または家とともにその敷地や借地権を売却する
  • 条件2:売却した年の前年、前々年に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けていない
  • 条件3:売却した年、その前年、前々年にマイホームの買い替えや交換の特例を受けていない
  • 条件4:売却した家や敷地について、ほかの特例の適用を受けていない
  • 条件5:親子や配偶者などに対して売却していない

上記のほかにも細かな条件があるため、この特例の適用を考えている場合は十分な確認が必要です。

また、10年以上所有する自宅を売却した場合、譲渡所得に軽減税率が適用されます。

この制度は「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」と呼ばれ、適用されると6,000万円以下の譲渡所得にかかる税率が低くなります。

この軽減税率の特例は、3,000万円の特別控除の特例と併用できるため、うまく活用して税負担を抑えましょう。

相続後に売却する

相続後に空き家を売却する場合も、特例の適用により税負担が軽減されることがあります。

この特例は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれ、適用を受けると、空き家の売却により得た譲渡所得から3,000万円が控除されるものです。

特例が適用されるためには、対象となる空き家と空き家の取得方法に要件があります。

空き家に関する要件は、次のとおりです。

空き家に関する要件

  • 要件1:相続の直前まで被相続人だけが居住していた
  • 要件2:1981年5月31日以前に建築されている
  • 要件3:相続から売却までの間、事業や賃貸、住居に使用していない
  • 要件4:売却時に一定の耐震基準を満たしている
  • 要件5:ほかの特例の適用を受けていない
  • 要件6:親子や配偶者などに対して売却していない

空き家の取得方法に関する要件は、次のとおりです。

空き家の取得方法に関する要件

  • 要件1:相続または遺贈により空き家を取得している
  • 要件2:空き家と、空き家が建っている土地を同時に取得している

また、この特例を適用するには、相続開始から3年目にあたる年の12月31日までに売却しなければなりません。

売却代金が1億円以下であることも適用要件に含まれます。

この特例は相続後でも取り組める税金対策であるため、要件を満たせる場合はぜひ申告しましょう。

空き家の売却は相続税対策になる

誰も住んでいない空き家でも、相続すると相続税が課税されます。

空き家を所有しているだけで固定資産税を負担しなければならないうえに、老朽化を防ぐメンテナンス費用もかかり続けます。

税金や管理費用など、空き家にかかる金銭的な負担を軽減するために有効な手段の一つが、空き家の売却です。

売却して空き家を手放すことで、固定資産税やメンテナンス費用の支払いから解放されます。

生前に売却すれば相続税もかかりません。

また、生前と相続後のどちらに売却した場合でも、特例が適用されると譲渡所得が控除される可能性もあります。

相続税やそのほかの金銭的な負担を抑えたいと考えるなら、空き家の売却をおすすめします。

空き家を売却して相続税を抑えるなら買取業者に依頼しよう

今回は、空き家の相続税評価額を計算する方法や、空き家の相続税対策に効果的な方法について解説しました。

空き家には小規模宅地等の特例が適用されないため、相続税が高くなる傾向があります。

しかし、生前からの同居や相続放棄、寄付などにより、相続税の負担を和らげることが可能です。

さらに、空き家の売却は生前と相続後、どちらでも税金対策になるおすすめの手段です。

相続税対策に空き家の売却を検討しているなら、スマイル空き家買取センターにご相談ください。

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