ゴミ屋敷は放っておいてもいい?放置するリスクや片付ける手順

年老いた親が住んでいる実家や親族の家、知人の家などがゴミ屋敷になってしまっているということを知ったときにどのように対処すればいいのでしょうか?

ゴミ屋敷は、近年大きな社会問題となっている空き家と同様に、大きなリスクを抱えているということを認識して適正に対処することが重要です。

今回は、ゴミ屋敷を放置する8つのリスク、ゴミ屋敷を片付ける手順、すでに相続したゴミ屋敷の解決策などについて詳しく解説します。

なお、この記事では、自分の親が住んでいる実家がゴミ屋敷になっているケースを例に挙げて説明していきます。

目次

ゴミ屋敷を放置する8つのリスク

ゴミ屋敷を放置しておくことによる主なリスクは、次の8つです。

ゴミ屋敷を放置するリスク

  • リスク1:近隣住民とトラブルになる
  • リスク2:火災が起きる
  • リスク3:怪我や病気になる
  • リスク4:貴重品などの探し物が見つからなくなる
  • リスク5:遺品整理の際に困る
  • リスク6:相続の際に揉める原因となる
  • リスク7:損害賠償を請求される
  • リスク8:行政処分の対象になる

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。

リスク1:近隣住民とトラブルになる

ゴミ屋敷のゴミは、可燃ゴミや生ゴミ、不燃ゴミ、その他のゴミが含まれています。

特に、生ゴミは腐敗して悪臭を発したり害虫が発生したりして、近隣に環境被害や健康被害を及ぼして、近隣住民とトラブルになる可能性があります。

また、ゴミによって家屋の構造物や壁などが腐食して破損したり倒壊したりして、近隣住民が被害を受けることも考えられます。

リスク2:火災が起きる

ゴミ屋敷のゴミは、分別されずに放置されて積み重ねられていることが多く、発火源となるゴミと可燃ゴミが一緒になっていることがあり、火災につながる可能性があります。

また、コンセントに電源プラグが差し込まれたままになっているところがゴミに埋もれてしまっていて、トラッキング現象によって火災が起こる可能性もあります。

もし、親が喫煙をしている場合は、タバコの火が可燃ゴミに燃え移って火災になることも考えられます。

ゴミ屋敷は、家の中がいろんなゴミで溢れていますので、ちょっとした不注意や不始末から火災が発生するリスクがあります。

リスク3:怪我や病気になる

ゴミ屋敷の中は、いろんなゴミで溢れていて足の踏み場もなくなっていることがあります。

高齢の親がこれらのゴミにつまずいて転倒して怪我をするリスクがあります。

また、ゴミが腐敗して有害なガスを発生したり、カビが生えたり、害虫や細菌類が繁殖したりして病気になることも考えられます。

衛生環境が非常に悪化していることが考えられる上に、高齢者は身体の免疫などが弱っていることも十分考えられますので、何らかの病気にかかる可能性が高くなります。

ぜんそく

生ゴミなどにカビが生えて胞子が浮遊したり、ほこりなどが飛び散って、それを吸ったためにぜんそくになることが考えられます。

感染症

生ゴミなどが腐敗して細菌類が繁殖し、これが原因で何らかの感染症になる可能性があります。

外傷

家の中に散乱しているゴミに足が引っかかって転倒したり、金属などの固い尖ったもので身体に外傷を負ったりする可能性があります。

虫刺され

生ゴミなどが腐敗して、害虫が発生したり集まってきたりして、これらの虫に刺されることが考えられます。

蚊などの痒みだけであれば大きな問題にはなりませんが、痛みを伴って腫れあがってしまうような事態になることもあり得ます。

アレルギー

生ごみの腐敗臭や発生した有害なガス、集まってきた害虫などによってアレルギー症状を発症することがあります。

人によってアレルギーを起こす物質に違いがありますので、思わぬものがアレルゲンとなる可能性があります。

食中毒

ゴミ屋敷の中では、ゴミがきちんとビニール袋の中に入れられていないことも考えられるため、間違えて古くなった食べ物などを食べてしまって食中毒になる可能性があります。

または、食べ物の管理状態が悪くて、食べ物の中に有害なものが混入してしまう可能性もあります。

うつ

ゴミ屋敷と「うつ」はお互いに原因となり、お互いの状態を悪化させることが知られています。

ゴミ屋敷になってしまうと、近隣住民との関係が悪くなり交流がなくなり「うつ」になってしまうことがあります。

また、体力の衰えや健康被害などでやる気がなくなり片付けができなくなって、ゴミ屋敷となってしまうことが考えられます。

リスク4:貴重品などの探し物が見つからなくなる

ゴミ屋敷の中はいろんなゴミで溢れていますので、貴重品などがゴミに埋もれてしまって見つからなくなるリスクがあります。

たとえば、実印や不動産の権利証、通帳などの所在が分からなくなる可能性があります。

収納場所の目途が付いている場合でも、収納場所を確認するために多くのゴミを移動させたりする必要があると、それ自体が煩わしくなって、結局探し物が見つからないということになってしまいます。

リスク5:遺品整理の際に困る

実家がゴミ屋敷になってしまうと、親が亡くなったときの遺品整理の際に困ります。

ゴミ屋敷ではない普通の家の場合でも、実家の遺品整理には多くの時間がかかってしまうのに、ゴミ屋敷になっている場合はゴミの中から遺品を探し出さなければならないので大変です。

もちろん、ゴミ屋敷の片付けと遺品整理を専門業者に依頼することもできますが、かなり高額な費用がかかってしまいます。

リスク6:相続の際に揉める原因となる

親が亡くなってゴミ屋敷となった実家を相続する際に、他の相続人との間で揉め事になることが考えられます。

普通の相続であれば、遺産分割協議を行って実家を誰が相続するかを決めればいいのですが、実家がゴミ屋敷になっている場合は相続したい者が現れずに揉める原因となります。

もし、相続人全員が相続放棄したとしても、ゴミ屋敷となった実家の管理義務が残ることがありますので、その場合は誰が管理するのかで揉めることになってしまいます。

リスク7:損害賠償を請求される

これまでに紹介したリスクが原因となって、近隣住民などの第三者に被害を与えた場合は損害賠償を請求される恐れがあります。

たとえば、異臭や害虫による被害が長期間にわたって発生していて改善されない場合や建物や壁、塀などが倒壊して通行人がけがをしたような場合などです。

損害賠償額は被害の内容や程度によって変わってきますが、それなりの金額になることを覚悟しておく必要があります。

リスク8:行政代執行の対象になる

ゴミ屋敷を放置したままにしていると、自治体による行政代執行の対象となり強制的にゴミを撤去されることがあります。

行政代執行が行われるのは、「悪臭や害虫・ねずみが発生している」「火災発生の恐れがある」「周辺の生活環境に著しい支障が生じている」のいずれかを満たしている場合です。

かかった費用は全て住人に請求されますので、親が支払えない場合は自分が支払わなければならないこともあり得ます。

【4STEP】ゴミ屋敷を片付ける手順

次に、ゴミ屋敷を片付ける手順について説明します。

住んでいる人がいなくて放置されている空き家とは異なり、ゴミ屋敷には住人がいて、住人の納得や協力を得て進めないと、リバウンドしてまたゴミ屋敷に戻ってしまうことがあります。

したがって、次のような4つのステップを踏んで片付けることが必要となります。

ゴミ屋敷を放置するリスク

  • STEP1:なぜゴミ屋敷になったのか?原因を探る
  • STEP2:本人に片付けることを納得してもらう
  • STEP3:ゴミ屋敷を片付ける
  • STEP4:リバウンドしないための対策を考える

以下、それぞれのステップについて詳しく説明します。

STEP1:なぜゴミ屋敷になったのか?原因を探る

ゴミ屋敷を片付ける場合は、いきなり片付け作業に取りかかるのではなく、なぜゴミ屋敷になってしまったのかという原因を探ることから始めます。

この段階できちんと原因を把握して適切な対策をしておかないと、一旦片付けが終わってきれいになったとしても、リバウンドしてまたゴミ屋敷に戻ってしまうことがあるからです。

ゴミ屋敷になってしまう原因は、本人だけでは解決できないケースがほとんどで、よくある原因は次の4つです。

ゴミ屋敷になってしまう原因

  • 片付けるのが苦手で捨てられない性格
  • 体力面や健康面に難がある
  • 認知能力が落ちている
  • 心理的な病気を抱えている

片付けるのが苦手で捨てられない性格

ゴミ屋敷には、住人の性格的な問題が関係していることがあります。

高齢者の中には、モノのない時代を生き抜いてきたという経験から「モノを捨てることに抵抗がある」という人が多い傾向があります。

このような人は「もったいない」「いつか使うかもしれない」と考えて溜め込んでしまうのですが、溜め込む一方では不用品が増えてしまっていつの間にかゴミ屋敷になってしまうのです。

体力面や健康面に難がある

高齢者の場合は、体力が落ちているために家の中を掃除して、ゴミを分別して捨てるという行動自体ができなくなっている、億劫になって後回しにしてしまっていることが考えられます。

また、健康面に何らかの難点を抱えている人の場合も、日々の片付けやゴミ出しが難しくなっていることがあります。

認知能力が落ちている

比較的高齢者に見られるのは、認知能力が落ちているという原因によるものです。

認知能力が落ちてくると「必要なものと必要でないもの」「残しておくべきものと捨てるべきもの」の区別が付かなくなります。

認知能力がきちんとしていれば、ゴミだと判断して捨ててしまうものでも、ゴミだと判断ができないために捨てる行動につながらず、結果的にゴミを溜め込んでしまうのです。

心理的な病気を抱えている

ゴミ屋敷の原因として、住人の心理的な病気が関係していることもあります。

たとえば、「統合失調症」は幻覚や妄想などの症状が現れる精神疾患で、普通の人にとっては価値のないゴミと思われるものを収集して溜め込むことがあります。

また、「うつ病」の場合は、自分の健康状態や生活環境に無関心になってしまいますので、そもそも部屋を片付けようという気持ちになりません。

最近では、ものを何でも溜めこんでしまう「溜め込み症」という病気があることも分かっており、自分の所有物を捨てることに大きな苦痛を覚えるということです。

このように何らかの病的な原因が疑われる際は、医療機関を受診してみることが必要です。

STEP2:本人に片付けることを納得してもらう

ゴミ屋敷となった原因が把握できたら、本人に片付けることを納得してもらう必要があります。

本人が納得しないままに無理に片づけをしてしまうと、親が拒絶反応を起こしてしまい、片付けができないばかりか、さらに状況を悪化させることにもなりかねません。

親を説得するためのポイントは、次の4つです。

親を説得するためのポイント

  • ネガティブワードを使わず説得する
  • 環境が変化するタイミングで説得する
  • パーソナルスペースから遠い場所から片付ける
  • 自治体などの第三者に介入してもらう

ネガティブワードを使わず説得する

年老いたといっても親ですので、相手を尊重した態度で説得するように心がけましょう。

特に気を付けなければならないのは、叱責口調の言葉、施設入居に関わる言葉、死や金銭・財産に関わる言葉などのネガティブワードを使わないということです。

片付けようという意欲はあっても、体力が衰えて自分ではできないという悔しさもあるでしょうから、ゴミ屋敷が抱えるリスクを説明して、片付けることが必要で、自分でできないのであれば他人の力を借りた方が良いということを理解してもらうように努めましょう。

環境が変化するタイミングで説得する

それでもなかなか納得してもらえないような場合は、親の環境が変化するタイミングで説得することが考えられます。

たとえば、訪問介護のヘルパーさんを頼むようになったタイミングであれば「きちんと掃除をして片付けないといけない」ということを理解してもらえるかもしれません。

パーソナルスペースから遠い場所から片付ける

親がいつも使っている部屋の片付けには納得しなくても、普段使っていない部屋の片付けには反対しないことがあります。

親が片付けを拒む理由の一つに、自分の大切なものを捨てられるかもしれないという心配がありますので、まずは親のパーソナルスペースから遠い場所から片付けることに納得してもらいましょう。

そして、親との対話を重ねるうちに家全体の片付けに納得してもらうように努めましょう。

自治体などの第三者に介入してもらう

子供から説得されてもなかなか素直に受け入れてくれない親もいるでしょう。

このような場合は、自治体などに相談して介入してもらうことも有効です。

自治体によっては「ゴミ屋敷条例」を制定しているところもありますので、自治体の担当者が直接訪問して指導してくれるはずです。

身内で、しかも子供からの話は素直に聞いてくれなくても、自治体などの第三者の話であれば納得してくれる可能性があります。

また、「ゴミ屋敷条例」が制定されていない場合でも、福祉関係の部署などが対応してくれる可能性があります。

STEP3:ゴミ屋敷を片付ける

実際にゴミ屋敷を片付ける方法としては、次の2択になります。

ゴミ屋敷を片付ける方法

  • 自力で片付ける
  • 専門の清掃業者に依頼する

自力で片付ける

まず、自分で片付ける場合は「費用がかからない」または「費用が安く済む」「自分の時間が取れるときに自分のペースで片付けられる」などのメリットがあります。

しかし、逆に時間や労力がかかるということが大きなデメリットとなり、特に1人で処理できないような大きくて重たいゴミがある場合は、誰かに助けを頼む必要があります。

また、自治体によっては粗大ゴミの処理費用がかかったり、粗大ゴミを指定場所まで運搬しなくてはならなかったりなどの費用や手間がかかることも考えられます。

自力で片付ける場合は、なるべく親も一緒に行うことが大切です。

親が大切にしているものを捨ててしまうこともありませんし、親も家の中が片付いているという実感がもてますので、今後ゴミ屋敷のリバウンドを防ぐことにもつながります。

専門の清掃業者に依頼する

専門の清掃業者に依頼すれば、ゴミ屋敷の大きさやゴミの量にもよりますが、基本的には1日で片付けが終わりますし、不用品や廃棄品もすべて持ち帰ってくれます。

しかし、業者が作業をしている途中でゴミの中から出てきたものをじっくり確認したり、要否について考えたりする時間的な猶予はありません。

もし、ゴミの中に貴重品や形見の品などが含まれている可能性がある場合は、業者が作業に入る前日までに少し時間を取って、確認しておくことが必要です。

また、事前に複数の業者から見積もりを取って、費用だけではなく対応面などについてもよく確認したうえで、依頼する業者を選定するようにしましょう。

STEP4:リバウンドしないための対策を考える

ゴミ屋敷を一旦きれいに片付けたあと、しばらくするとまたゴミが増えてしまうことがあります。

これをリバウンドといいますが、ゴミ屋敷がリバウンドしないための対策を考えておくことも大切です。

STEP1で説明したようなゴミ屋敷になった原因を取り除けばいいのですが、住人の性格や認知能力、病気などが関係している場合は、その原因を根本的に解決することが困難なケースもあります。

そこで、ここでは次の2つの対策を提案させていただきます。

いずれも、再びゴミが溜まっていく可能性を想定しておいて、ゴミが溜まりすぎないように定期的にチェックの目を入れて、深刻化を防ごうというものです。

訪問回数を増やす

比較的実家の近くに住んでいる場合は、極力実家を訪問する回数を増やして家の内外の状況を確認して、親と一緒に片付けや掃除をするようにしましょう。

ゴミの分別がしやすいように複数のゴミ箱を準備したり、家の中の物の配置などを工夫したりするようにしましょう

子供や孫との接触に機会が増えることによって、認知機能の衰えなどを防ぐ効果も期待できます。

家事代行業者や見守りサービスを利用する

しかし、親の体力の低下や健康面での懸念がある場合や、遠方に住んでいるために訪問頻度が増やせない場合は、家事代行業者や訪問タイプの高齢者見守りサービスの利用などを検討しましょう。

家事代行業者や見守りサービスを利用すると、定期的に外部の目に触れることになりますので、ゴミ屋敷がリバウンドする前に何らかの対処をすることができるでしょう。

すでに相続したゴミ屋敷をどうにかしたい場合の解決策は?

相続してしまった後に、その家がゴミ屋敷となっていることを知るというケースも考えられますが、このようなときにはどう対応した方が良いのでしょうか?

考えられることは、保有し続けるか手放すかの二択になりますので、以下ではそれぞれについて説明します。

不動産を手元に残したい場合は片付ける

建物はゴミ屋敷になってしまっているものの、立地条件が良く利用価値があると判断できる場合は片付ける必要があります。

利用方法としては、自分で居住することや賃貸物件として貸し出すことが考えられます。

自力で片づけるか清掃業者に依頼して片付けるかになりますが、被相続人は亡くなっていて住人はいませんので、建物の内外にあるもののほとんどは不用品かゴミだと考えられます。

思い出の品や形見の品、貴重品などを自分で回収した後に、専門の清掃業者に依頼して片付けた方が良いでしょう。

もちろん費用はかかりますが、専門の清掃業者は基本的にはどのようなものであっても回収してくれますし、きれいに掃除してくれます。

自分でやる場合は、自治体の指定にしたがってゴミの処理をしなければならなくなりますので、非常に手間がかかることが想定されますのでお勧めできません。

片付けずに手放したい場合は訳あり物件専門の買取業者に売却する

立地条件が良くない場合や、建物自体の劣化が進んでいて居住できないような場合は、手放すことも考えられますが、その場合は訳あり物件専門の買取業者に売却することをお勧めします。

買取価格は、そのゴミ屋敷の立地条件や家そのものの程度などによっても異なりますし、業者間でも差が出ますので、候補となるいくつかの訳あり物件専門の買取業者に見積もりを取って比較検討したうえで、業者を決めるようにしましょう。

訳あり物件専門の買取業者なら、片付けをせずにそのままの状態で売却できる!

この記事では、実家がゴミ屋敷になっていた場合に、どのように対応すれば良いのかについて、ゴミ屋敷のリスク、片付ける手順、相続したゴミ屋敷の解決策などについて解説しました。

まだ親が住んでいる実家がゴミ屋敷になっている場合は、本記事の「片付ける手順」などを参考にして、リバウンドしないように気を付けて片付けてください。

また、すでに相続してしまった家が後からゴミ屋敷だと分かった場合は、その家を使用する明確な目的がある以外は、訳あり物件専門の買取業者に、片付けをせずにそのままの状態で売却することをお勧めします。

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