未登記建物でも固定資産税は発生するの?登記をしないメリット・デメリット

建物は、登記をして建物の場所や内容を表示しその権利を公示することが不動産登記法で定められています。

しかし、現実には様々な事情から登記されていない「未登記建物」が存在します。

今回は、このような「未登記建物」であっても「固定資産税」が発生するということ、「未登記建物」のデメリットとメリット、「未登記建物」の登記の種類と必要書類・費用などについて詳しく解説します。

未登記建物でも固定資産税は発生する

「未登記建物」であっても「固定資産税」は発生します。

基本的には、法務局の「登記簿」をもとに市町村が「固定資産課税台帳」を作成して、不動産の所有者に「固定資産税」を課税しますが、「未登記建物」の場合は「家屋補充課税台帳」に基づいて課税します。

市町村では、現地調査や航空写真の新旧比較などによって新しくできた建物の存在を把握して「家屋補充課税台帳」を作成し、「登記簿」に登記されていない「未登記建物」についても「固定資産税」が課税できるようにしています。

5年前までさかのぼって請求されるケースも

「固定資産税」の納税義務は5年で時効になります。

逆にいうと、「未登記建物」の「固定資産税」は5年前までさかのぼって請求されることがあるということです。

支払いが滞っている場合は延滞金を請求される可能性も

市町村から「未登記建物」の「固定資産税」の支払通知書が届いているにもかかわらず、滞納していると延滞金を請求される可能性があります。

「固定資産税」の延滞金は次の計算式によって求めることができます。

固定資産税の延滞金の算出方法

「延滞金の額」=「固定資産税額」×「延滞日数」×「延滞金の割合(年利)」/365

注意すべきことは、「延滞金の割合(年利)」は、次に示すように納付期限の翌日から1ヶ月以上経過すると増加するという点です。

延滞金の割合(年利)

  • 納付期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで:2.4%
  • 納付期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降:8.7%

この「延滞金の割合(年利)」は、年によって変動しますので、この点にも注意しましょう。

建物が未登記かどうか確認する方法

建物が未登記かどうかを確認する方法として、2つが考えられます。

最も確実な方法は、法務局でその建物に関する「全部事項証明書」を請求する方法です。

その結果、「全部事項証明書」が取得できれば登記済で、取得できなければ未登記と判断することができます。

もう一つの方法は、毎年送付されてくる「固定資産税」の納税通知書に同封されている「課税明細書」を確認する方法です。

「課税明細書」のその建物の「家屋番号」の欄が未記入であれば「未登記建物」だと判断できます。

なぜなら、「家屋番号」は法務局で付けるものですので、未記入であれば「登記簿」が存在しない「未登記建物」だと考えられるからです。

未登記建物のデメリット

「未登記建物」には多くのデメリットがありますが、代表的なものとして次の6つを挙げることができます。

未登記物件のデメリット

  • デメリット1:融資を受けられない
  • デメリット2:所有権を主張できない
  • デメリット3:売却するのが難しい
  • デメリット4:相続手続きに手間がかかる
  • デメリット5:登記する際に費用がかかる
  • デメリット6:特例措置が受けられない

以下、それぞれについて詳しく説明します。

デメリット1:融資を受けられない

不動産を購入する場合は住宅ローンを組むことが多いのですが、対象となる不動産が「未登記建物」の場合は、金融機関から融資が受けられませんので住宅ローンを組むことができません。

これは、「未登記建物」には「登記簿」が存在しないため抵当権の設定ができないからです。

金融機関は住宅ローンで融資した金額が回収できなくなる場合に備えて、住宅ローンの対象不動産に抵当権を設定するのですが、この抵当権が設定できないのです。

もし万一、融資金額が回収できないような事態に陥った場合、金融機関は抵当権を設定した不動産を売却して現金化し融資金額の回収に充てますので、住宅ローンの対象不動産は融資金額を上回る資産価値があり抵当権の設定ができるものでなければなりません。

住宅ローンが組めないと現金での購入しかできなくなりますので、買主が制限されることになります。

デメリット2:所有権を主張できない

「未登記建物」は、第三者に対して所有権を主張することができません。

土地や建物などの不動産の所有権は、「登記簿」の「権利部」に記載された所有者に対してのみ認められます。

その理由は、必ずしもその不動産を占有している者が所有者とは限らないからです。

「未登記建物」の所有者が、「未登記建物」を売却しようとする際は、自分自身が所有する建物であることを証明しなくてはなりませんが、「未登記建物」の場合はその証明ができないということになります。

デメリット3:売却するのが難しい

一般的に、建物を売却する際は、売主から買主への「所有権移転登記」をします。

しかし、「未登記建物」には「登記簿」がありませんので「所有権移転登記」ができません。

買主にとっては、その建物を購入しても所有権が主張できないということになりますので、売買が成立しない可能性が高くなります。

また、その建物の売主が、その所有者かどうかを判断できないため、購入希望者が敬遠して売買交渉までたどり着かないということもあります。

デメリット4:相続手続きに手間がかかる

「未登記建物」であっても財産としての価値はありますので、相続時に遺産分割の対象となりますが、登記されていませんので建物の面積や構造などが分かりません。

そのため、専門家に測量や鑑定を依頼して資産価値を評価する必要があり、手間や費用がかかります。

なお、遺産分割協議によって「未登記建物」を相続することになった相続人には、登記義務が移行することになります。

デメリット5:登記する際に費用がかかる

不動産の取引を行った際には、「所有権移転登記」を行う必要があります。

しかし、「未登記建物」には「登記簿」が存在しませんので、新たに「建物表題登記」をしたのちに「所有権保存登記」をしなければなりません。

「建物表題登記」は土地家屋調査士に依頼して行う必要があり、階層や床面積などによっても変わってきますが、一般的には8万円~15万円程度の費用がかかります。

登記済の建物であれば「所有権移転登記」だけで済みますが、「未登記建物」の場合は「建物表題登記」の費用が余計に掛かってしまうことになります。

デメリット6:特例措置が受けられない

居住用の建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されますので、「固定資産税」が1/6に、都市計画税が1/3に軽減されます。

しかし、「未登記建物」の存在を市町村が把握していない場合は、この「住宅用地の特例」が適用されず、必要以上の「固定資産税」が課税されている可能性があります。

ただし、「未登記建物」であっても、市町村が現地調査などによって建物の存在を把握している場合は特例措置が適用されます。

未登記建物の登記をするメリット

「未登記建物」を登記するメリットは、基本的にはデメリットの裏返しということになりますが、特に大きなメリットとして挙げられるのは次の2点です。

未登記物件のメリット

  • メリット1:融資を受けられる
  • メリット2:権利や財産が明確になる

以下で、詳しく説明します。

メリット1:融資を受けられる

住宅ローンの対象が「未登記建物」の場合は、抵当権の設定ができないため融資が受けられなくなりますが、登記をすると融資を受けることができるようになります。

登記をすると「登記簿」が作成されて、その「権利部」に「抵当権設定登記」をすることができるようになるからです。

メリット2:権利や財産が明確になる

「未登記建物」を登記すると「登記簿」が作成され「所有権保存登記」することによって、その「権利部」に記載された者が所有者であることが明確になります。

つまり、第三者に対して、その建物の所有権を主張することができますので、その後の売買などの際にもスムーズに交渉を進めることができるようになります。

未登記建物の登記の種類と必要書類・費用

「未登記建物」の登記をするためには、まず「建物表題登記」を行い、その後に「所有権保存登記」を行う必要があります。

「未登記建物」の「所有権保存登記」が終わると、その後の売買や相続の際に「所有権移転登記」や「抵当権設定登記」ができるようになります。

表題登記

「表題登記」とは、新築の建物や未登記の土地や建物に対して新規で行う登記のことです。

「表題登記」を行うことによって、その土地や建物の「登記簿」が作成されます。

建物の場合の「表題登記」を「建物表題登記」といい、建物の所在地や家屋番号、種類、構造、床面積などの物理的な詳細情報を「登記簿」の「表題部」に登録します。

必要書類

「未登記建物」の「建物表題登記」をするためには、次のような書類が必要となります。

未登記建物の建物表題登記をするために必要な書類

  • 登記申請書
  • 申請人の住民票の写し
  • 委任状(土地家屋調査士などの代理人に手続きを委託する場合)
  • 建築確認通知書(建物図面・各階平面図などの一式を含む)
  • 検査済証
  • 工事完了引渡証明書
  • 建築業者の印鑑証明書・資格証明書
  • 案内地図(任意)
必要な書類が揃わない場合

もし、必要な書類が揃わない場合は代わりの書類が必要になります。

たとえば、検査済証がない場合は、工事請負契約書と建築代金領収書が必要となります。

登記に必要な書類が多く、特に「未登記建物」の場合は書類が見つからなかったり紛失していたりすることが考えられるため、土地家屋調査士などの専門家に依頼して必要書類を揃えてもらった方が良いでしょう。

相続した未登記建物の表題登記の場合

また、相続した「未登記建物」の「表題登記」をする場合は、次の書類も必要となります。

このときに「遺産分割協議書」があれば、直接相続人の名義で「建物表題登記」をすることができます。

・被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本

・相続人の戸籍謄本

・遺産分割協議書

費用

「建物表題登記」の手続きは、一般的に土地家屋調査士に依頼して必要書類の準備・作成・申請の代行をしますので、報酬として10~15万円程度の費用がかかります。

「登録免許税」はかかりません。

所有権保存登記

「所有権保存登記」とは、所有権の登記が行われていない建物に対して初めて行う登記のことで、その建物の権利関係について、「登記簿」の「権利部」の「甲区」に登録します。

「所有権保存登記」をすると「登記識別情報」が交付されます。

「登記識別情報」とは、以前は「登記済証」「登記済権利証」「権利証」などと言われていたものです。

必要書類

「未登記建物」の「所有権保存登記」をするためには、次のような書類が必要となります。

未登記建物の所有権保存登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 申請人の住民票の写し
  • 委任状(司法書士などの代理人に手続きを委託する場合)
  • 住宅用家屋証明書

費用

「所有権保存登記」の手続きは、一般的に司法書士に依頼して行いますので、司法書士の報酬が2~3万円程度かかります。

また、「登録免許税」がかかり、「課税標準額」に「税率」をかけて求めます。

「課税標準額」は市町村役場で管理している「固定資産課税台帳の価格」、「税率」は0.4%となりますので、次の式で求めることができます。

「登録免許税額」=「固定資産課税台帳の価格」×「税率(0.4%)」

所有権移転登記

「建物表題登記」と「所有権保存登記」を行うと、その後の売買や相続に伴って所有者が変わった際に「所有権保存登記」を行うことができます。

必要書類

「所有権移転登記」に必要な書類は次の通りですが、売買や贈与、相続、財産分与などによって違いがあります。

共通・登記申請書
・申請人の住民票の写し
・委任状(司法書士などの代理人に手続きを委託する場合)
・本人確認書類(相続の場合は相続人全員の本人確認書類)
・印鑑証明書と実印
・登記識別情報または権利証
・固定資産評価証明書
売買の場合・売買契約書
贈与の場合・贈与契約書
相続の場合・被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続関係説明書
・遺産分割協議書・遺言など(相続の経緯が分かる書類)
財産分与の場合・離婚協議書など
・離婚日が記載された戸籍謄本

費用

「所有権移転登記」の手続きは、一般的に司法書士に依頼して行いますので、司法書士の報酬が2~3万円程度かかります。

また、「登録免許税」がかかり、「課税標準額」に「税率」をかけて求めます。

「課税標準額」は市町村役場で管理している「固定資産課税台帳の価格」、「税率」は売買・贈与・財産分与の場合は2%、相続の場合は0.4%となり、次の式で求めます。

「登録免許税額」=「固定資産課税台帳の価格」×「税率(2%または0.4%)」

抵当権設定登記

「建物表題登記」と「所有権保存登記」を行うと、建物の売買の際に抵当権を設定することができるようになります。

銀行などの金融機関から融資を受けて住宅ローンを組むことが可能となり、その際に行うのが「抵当権設定登記」です。

必要書類

「抵当権設定登記」に必要な書類は、次の通りです。

未登記物件の抵当権設定登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 委任状(司法書士などの代理人に手続きを委託する場合)
  • 印鑑証明書と実印
  • 登記識別情報または権利証
  • 抵当権設定契約書

費用

「抵当権設定登記」の手続きは、一般的に司法書士に依頼して行いますので、司法書士の報酬が3~5万円程度かかります。

また、「登録免許税」がかかり、「課税標準額」に「税率」をかけて求めます。

「課税標準額」は市町村役場で管理している「固定資産課税台帳の価格」、「税率」は0.4%となり、次の式で求めることができます。

未登記物件の登録免許税額の算出方法

「登録免許税額」=「固定資産課税台帳の価格」×「税率(0.4%)」

未登記建物でも固定資産税は発生する!売買や相続にそなえて早めに登記をすませておくのがおすすめ

この記事の冒頭でも説明したように、「未登記建物」であっても「固定資産税」は発生します。

また、「未登記建物」には、所有権を主張できない、売却に際して融資が受けられず売却が難しい、相続手続きに手間がかかるなどの多くのデメリットがあります。

今後「未登記建物」を売却することになったり、相続することになったりすることがあるはずですので、これらに備えて早めに登記手続きを済ませておくことをおすすめします。

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