再建築不可物件をリフォームできる範囲とは?具体例を交えて解説!

最近、実家を相続したりすることで「再建築不可物件」の所有者となるケースが増えています。

再建築不可物件とは、その名称の通り、リフォームがしづらい物件である印象があります。

しかしながら、再建築不可物件とは古い物件であることも多く、思い入れがある場合はリフォームしてでも住み続けたい利用し続けたいものです。

そこで今回は、再建築不可物件とでもリフォームやリノベーションを行うための方法について解説します。

再建築不可物件でも、自分なりに愛着を持てるように改装を施してマイホームとすることは可能です。

しかしながら、再建築不可物件とはリフォームの規模に制限があったり、リフォームの内容によっては工事が不可能なこともあります。

今回はリフォームを行うための方法だけではなく、再建築不可物件とリフォームの関係性について解説したり、実際にリフォームを行う上での注意点などについても解説します。

また、再建築不可物件がどうしても手に余ってしまう場合の考え方についても説明しているため、思いがけず再建築不可物件の所有者となった場合などにぜひ参考にしてみてください。

再建築不可物件をリフォームできる範囲とは?

建築確認申請が必要となるリフォーム・リノベーション

再建築不可物件とは、建て替えができません。

しかしながらそれだけではなく、リフォームに関しても同様の規制を受けます。

規制を受ける理由は、以下のようにリフォームの中にも「建築申請」を必要とするケースが存在するためです。

建築確認申請が必要となるリフォーム・リノベーション

  • 増築
  • 改築
  • 大規模な修繕や模様替え

そこで以下からは、「再建築不可物件では実施できないリフォーム」についてより詳しく解説します。

【1】増築

増築について、「建て増し」という工程が想像されがちではありながら、「既存の建築物がある土地に新しく建築物を建てる行為」も建築基準法上含まれます。

また増築については「再建築不可物件があるエリア」が「防火地域・準防火地域」に該当するかどうかもその可否に影響します。

当該エリアが「防火地域・準防火地域」なのであれば、建築確認申請が受理されなければ増築は不可能です。

また、増築をしようと思うエリアが防火地域・準防火地域以外にある場合は、「10㎡を超える増築が不可」という条件が適用されます。

【2】改築

改築とは、建築基準法において以下の意味を持ちます。

建築基準法における改築

  • 建築物の全部を撤去した際、同様の用途、構造、規模の建築物に建て替えること
  • 建築物の一部を撤去した際、同様の用途、構造、規模の建築物に建て替えること
  • 建築物を災害で失った際、同様の用途、構造、規模の建築物に建て替えること

改築とは建築基準法において「増築」と同じ扱われ方をします。

つまり、再建築不可物件があるエリアが「防火地域・準防火地域」に存在するのであれば改築は不可能です。

一方、「防火地域・準防火地域」に該当しないのであれば「10㎡までの改築」が可能です。

【3】大規模な修繕や模様替え

「修繕」とは、建築基準法において以下の意味を持ちます。

修繕

建物における経年劣化した部分について「同じ材料や形状、寸法のもの」を用いて原状回復を行うこと

同時に、「大規模な修繕」の定義とは以下の項目を満たすか、そうではないかにより決定されます。

「大規模な修繕」の定義

「壁」「柱」「床」「梁」「屋根」「階段」などの「主要構造部分」の修繕において、1/2を超える修繕となる場合は「大規模の修繕」に該当する

大規模な修繕は、建築確認申請が必要です。

一方、修繕を行う建物が「四号建築物」である場合は、当該手続きが省略されており、再建築不可物件であっても大規模な修繕ができます。

再建築不可物件でもリフォーム可能なケース

再建築不可物件とは、「建築確認申請が不要な範囲」であればリフォームが可能です。

建築確認申請が不要な範囲とは、主要構造部分である「壁、柱、床、はり、屋根、階段部分」などの修繕や模様替えにおいて「1/2を上回らない」範囲です。

再建築不可物件におけるリフォームでは、主要構造部分の1/2以下に収まる工事でなければなりません。

例えば、スケルトンリフォームやリノベーションとは大規模修繕/大規模模様替と扱われ、建築確認申請が必要になります。

戸建てとマンションでリフォームの際に気をつけることは異なっており、以下の表のようになっています。

戸建マンション
・中古戸建の場合、木造建築であることがほとんどであり、「木造2階建て以下、鉄筋平屋建て、かつ面積500㎡以下」という条件を満たすことで「建築基準法第6条第1項第四号建築物」の要件を満たし、再建築不可物件とであってもスケルトンリフォームやリノベーション(フルリフォーム)において建築確認申請を省略可能
・【注意点】木造以外の2階建て以上、面積200㎡以上の「建築基準法第6条第1項第三号建築物」および「3階建て以上の木造建築」は建築確認申請が必須
・マンションの場合、フルリフォームにおいて「主要構造部分(壁、柱、床、はり、屋根、階段部分など)」に工事を施すことがほぼなく、建築確認申請をする必要はない場合が多い(「全体の」1/2以上の工事となりにくい)
・マンションのフルリフォームにおいて想定される内容とは「キッチン、浴室、トイレ、洗面台など水回りの交換、壁紙、床の張替え」程度
・【注意点】マンションの室内のリフォームを行うためには「管理組合への申請、許可」が必要
・【注意点】管理組合ごとに、遮音等級LL45以上など「床材の指定」、「上下左右の住人の承諾などが必要」といった条件が定められている

ただし、2025年の建築基準法改正により、再建築不可物件のリフォームに規制がかかる可能性も

2025年には、建築基準法の改正があります。

2025年に施行される予定の改正された建築基準法では、「新2号建築物」という概念の建築物が新たに設定されます。

改正前の建築基準法では、「4号建築物」と指定される建築物があります。

4号建築物とは、「2階建て以下、木造建築物、延べ床面積500㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下」の条件に当てはまる建築物です。

4号建築物について、これまでは「一般的な2階建ての木造住宅」と広く認識されていました。

一般的な2階建ての木造住宅とは、構造計算書の提出や構造審査が省略されていました。

しかしながら新2号建築物とは、改正される建築基準法において以下のように決められることになります。

新2号建築物

2階建て以上の木造建築物、または平屋建て、かつ延床面積200㎡超の建築物

※大規模な修繕・模様替えにおいて、すべての地域において建築確認申請時に構造計算書などの構造安全性を確認する書類の提出、検査を義務付ける。

改正後の建築基準法では、2階建て以下かつ200㎡以下の建築物でも、大規模修繕・大規模模様替えを行う場合には、建築確認申請が必要です。

建築確認申請ができない再建築不可物件に対して、どのような規制がかけられるかは不明です。

しかしながら、現在の不動産市場において「格安での仕入れ、構造計算未提出で無理やりリフォームを行い転売」というケースが横行しており、新しい建築基準法における規制の内容は重い内容になると専門家は予想しています。

再建築不可物件とは建築確認申請ができない物件でした。

つまり新しい建築基準法において、新2号建築物のような通常の建物においても大規模な修繕・模様替えを行うにあたっては建築確認申請が必要になったことにより、今後は建築確認申請ができない再建築不可物件とは大規模な修繕・模様替えといったリノベーションが不可能になる可能性があるのです。

改正される建築基準法では、大規模な修繕・模様替えに以下の項目が含まれます。

改正建築基準法における「大規模な修繕・模様替え」に含まれるもの

  • 屋根の吹き替え
  • 外壁の張り替え
  • 階段の位置の変更、間取りの変更

小規模な工事については、建築確認申請が不要であることは変わらないとされています。

このため、以下の工事については再建築不可物件でも施せる可能性が高くなっています。

再建築不可物件でも施せる工事

  • 畳からフローリングへの変更
  • キッチンや浴室の更新
  • 壁紙の張り替え

再建築不可物件をリフォームする4つの方法

再建築不可物件でも、以下のように「再建築が可能となるための条件」をクリアすることで通常の建物と同じように再建築やリフォームができるようになります。

再建築不可物件をリフォームする方法

  • 隣地を買い取って通路を広げる
  • 隣地の一部を借りる
  • 43条但し書き書許可を申請する
  • セットバックをする

そこで以下からは、各「再建築不可物件でもリフォームを可能にするための方法」について詳しく解説します。

方法1:隣地を買い取って通路を広げる

再建築不可物件とは、接道義務が果たせておらず再建築不可となっていることがありがちです。

このため、接道義務に適合する、「道路と接する通路の幅を2m未満ではなくすため」に「隣地の買い取り」が有効となることがあります。

例えば旗竿地などは、隣地を買い取ることで通路の接続地を即座に新たな通路として合成することができ、接道義務を満たすことができます。

方法2:隣地の一部を借りる

隣地の買い取りにおいて、その土地すべて、もしくは一部を買うことは、費用面においても、もとの持ち主の心理的負担を鑑みても交渉を進めづらいことがあります。

隣地のすべてを買い取ることが難しい場合は、隣地の一部を借りることで接道義務を満たすといった方法があるのです。

隣地の土地を借りて接道義務を果たす方法は、おもに建築確認申請が必要となる工事期間中に行うことが考えられます。

もちろん、将来的に売却やさらなる建て替えなどを検討している場合、長期の賃貸借契約を行うやり方もあります。

賃貸借契約とは、決して口約束などあやふやな方法で行わず、専門家による正式な手続きにより書面を発行し、期間や金額などについての合意を行ってください。

方法3:43条ただし書許可を申請する

前面道路が2m未満であり、接道義務を果たせていない場合でも、「43条但し書き許可」を得ることができれば、再建築不可物件でも再建築が可能です。

43条但し書き許可とは、接道義務の成立以前から存在する建物の持ち主を救済する目的があり、以下の意味を持ちます。

43条但し書き許可

無接道の土地でも、「土地の周辺に大きな公園などの空き地がある建築物」、「国土交通省令で定める基準に適合する建築物」の場合、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可を出し、例外的に建て替えを認める制度

43条但し書き許可については、それぞれの特定行政庁によって運用に違いがあります。

例えば、建て替え時の4m以上の道路空間確保、2階以下の専用住宅にする目的での建築に限る、道路に接するすべての権利者の同意を得る、など諸条件が挙げられます。

方法4:セットバックをする

接道義務は果たしているものの、前面道路の幅が4m未満である場合は、既存不適格物件とされています。

既存不適格物件とは、再建築不可物件と異なり、条件を満たすと再建築が可能となることが特徴です。

既存不適格物件は、建築後に「都市計画の変更」などを受け建築当時と建蔽率や容積率などの建築の条件が変わったことで「現在の建築条件に違反」している物件です。

このため建築時に必要だった条件のみを満たしていた既存不適格建築物とは、のちの時代においては、取り壊しても以前と同じ要領、同じ規模の建物が建てられない可能性が高くなってしまいます。

こうした既存不適格建築物は、「セットバック」を行うことで再建築やフルリフォームが可能となることがあります。

セットバックとは以下の意味を持ちます。

セットバック

建て替えの際、敷地の一部を後退させ道幅を4m確保すること

※ほか、日照や風通しの確保に際し、建物を下の階から上の階に向かうにつれ後退させ、階段状の外観を形成する場合にも適用あり。

建築基準法42条2項道路において、前面道路の幅が4mでも、セットバックにより接道条件を満たすことが可能です。

実際の道路には、「中心線」が存在します。

中心線から水平距離で2mのところまでは「道路の境界線」とみなされるのです。

セットバックにより土地部分が後退すると、当該部分は「道路扱い」です。

つまり後退した土地部分とは、建築の際の建蔽率や容積率に算入できません。

再建築不可物件をリフォームする前に知っておくべき3つのこと

再建築不可物件でも、方法を尽くせば各種リフォームが可能です。

しかしながら、実際にリフォームを行おうとすると様々なトラブルに見舞われたり、想定以上の費用が計上されることがあります。

そこで以下からは、再建築不可物件をリフォームする前に確認しておくべき事項について詳しく解説します。

<1>工事ができない可能性がある

リフォームを施そうとする建物が再建築不可物件である場合、例えば以下のように諸条件がもともと悪い状態であることが多いものです。

再建築不可物件によく見られる状態

  • 周辺の道路が狭い
  • 建物がかなり密接に隣接している

条件が悪い建物とは、リフォームにあたりスムーズにプロセスが進まず、以下のようなトラブルが起こることがあります。

条件が悪い建物のリフォームでよくあるトラブル

  • 工事用重機の搬入ができない
  • 重機の不使用に伴う人件費高騰
  • 重機の不使用に伴う工期の長期化
  • リフォーム請負業者が工事を断る

そのため、再建築不可物件においてリフォームを施す前には、重機や工事車両が往来できるか、足場が組めるかといった確認が必要です。

同時に、主要構造部分である壁、柱、床、はり、屋根、階段部分などにリフォームを行う際、工事部分が全体の1/2を上回ると大規模な修繕・模様替えとなるため建築確認申請を行う必要があります。

しかしながら、再建築不可物件では建築確認申請ができないためリフォーム自体を断念せざるを得ない事態となることがあるのです。

建築確認申請に関わるトラブルを避けたいのであれば、主要構造部分の工事は全体の1/2になるよう調整しなければなりません。

<2>費用が高くなる

再建築不可物件とは「築年数が古い物件」であることが多いものです。

このため、「旧耐震基準」により建設されており、現在の耐震基準を満たしていない可能性が高まります。


さらに古い建物では水道に関して、給水管の交換が長期的に行われていない場合があったり、建物本体では外壁のひび割れ・建物のゆがみ・雨漏り・害虫被害に遭っていることが予想されます。

再建築不可物件のリフォームにかかる費用目安

再建築不可物件が古い建物である場合、耐震基準適合工事、給水管の交換、建物本体の改修を同時に行うのであれば、リフォーム費用が莫大なものとなり、1,000万円を越えることもあります。

さらに、隣の建物と距離が近すぎて、足場を組むのが難しい場合、特殊な技術が要求されることになり、やはりリフォーム費用が高まります。

また道幅が狭く重機や工事車両の不使用が必要になる場合は、多くの工程を人間だけで行うことになり、工期の長期化と人件費が高まることによりリフォーム費用の総額がより高騰するのです。

<3>リフォーム一体型住宅ローンは組めない

再建築不可物件とは「リフォーム一体型住宅ローン」が組みづらくなっています。

リフォーム一体型住宅ローンとは、中古住宅購入時などにありがちな「リフォームしたい部分」についても対応できるように組まれる「住宅の購入費とリフォーム費用を合わせた、一体型のローン」のことです。

再建築不可物件においてリフォーム一体型住宅ローンが組みにくい理由は、再建築不可物件自体の資産価値が低いためです。

リフォーム一体型住宅ローンとは、物件を担保にして組まれるものの、建物自体の資産価値が低ければ担保となりません。

通常のリフォームローンが組めることはあっても、リフォームローンとは住宅ローンなどに比べると金利が高く設定されがちです。

さらに金融機関により、金利・融資額もことなります。

そのため各種ローンを組む前には、複数の金融機関を比較・検討してから、実際の利用に移るべきです。

一般的なリフォームローンにおける借入上限は500万円~1500万円程度、借入期間は15年、金利は1%後半とされており、担保や保証人も問われないとされます。

高い費用を払ってリフォームするなら、売却するのも1つの選択肢!

再建築不可物件とは、その資産価値の低さから金利の低いリフォーム一体型住宅ローンが組めなかったり、諸条件をクリアしても実際のリフォーム時に想定外のトラブルが起きてしまい、通常の物件に比較して費用が高騰することがあります。

そこで、無理に再建築不可物件をリフォームしようとするよりも、売却した方がまとまった売却益を手にし、結果的に条件のよい物件を探すために役立つことがあります。

再建築不可物件でも専門の買取業者なら買取可能!

再建築不可物件とはリフォームなどがしづらく、建築確認申請が必要な工事は施せないといったデメリットをもつ物件であるため、通常の売却方法が選べないことがあります。

通常の売却方法とは、不動産会社や空き家バンクなどに登録するといった形がとられがちであるものの、再建築不可物件における資産価値の低さから、買い叩かれてしまったり、そもそも買い手がつかないことも多くなります。

しかしながら、訳あり物件専門の買取業者であれば、デメリットの多い再建築不可物件であっても買い取りに応じます。

訳あり物件専門の買取業者とは、一般的には再利用が難しいとされる物件であっても、転売のルートを確保していたり、どのようにリフォームを施せば魅力的な物件に仕立て上げられるかといった知識、ノウハウを持ち合わせています。

このため、再建築不可物件のような訳ありな物件であっても買い取りに応じるのです。

専門の買取業者であれば、無料の相談から即日見積もりを発行し、次の日には実際に見分をおこない、その後所有者と業者双方が合意すれば即座に売却も可能といったスピード感のあるやり取りを行うことも可能です。

再建築不可物件のリフォームは何かと面倒!古くなった物件は専門の買取業者に売却するのがおすすめ!

今回は、再建築不可物件にリフォームを施す場合にはどのような手順が必要かについて解説しました。

再建築不可物件とは、リフォームできる範囲が限られており、さらに2025年に改正される建築基準法の内容によってはより制限がかけられる可能性もあります。

再建築不可物件をリフォームするためには、隣地の買い取りやセットバックといった方法を試み、接道義務などを果たさなければなりません。

また実際に再建築不可物件のリフォームを施す状況になったとしても、その特徴的な構造から、余計な費用がかかったり、工期が延びてしまう可能性もあるのです。

もし再建築不可物件のリフォームを行う上で行き詰まってしまった場合は、訳あり物件専門の買取業者に売却を行えばスムーズに物事が運ぶかも知れません。

専門の買取業者であれば、通常の売却方法では買い叩かれてしまうような再建築不可物件であっても、常識的な額面での買い取りが可能です。

また専門の買取業者とは無料で売買の相談を請け負っていることが多く、見積もりの発行も素早く行います。

もし所有者が売却に合意したのであれば、最短3日での売却も可能とする業者も存在します。

もし、再建築不可物件の扱いに困ったことがあった場合は、まずは複数の訳あり物件専門の買取業者に無料相談を持ちかけ、相見積もりを出させてみてはいかがでしょうか。

Follow me!