再建築不可物件なんて買わなきゃよかった!後悔した事例と対策方法
古い建物とは再建築不可物件であることが多く、近年では相続など思わぬ形で所有するケースが増えています。
また再建築不可物件とは「似た条件の不動産」よりも何割か安く販売されていることが多いため、得だと思って購入してしまうユーザーも多いものです。
しかしながら再建築不可物件とはさまざまな利用上のリスクを抱えており、購入後の活用が非常に難しい物件です。
相続により再建築不可物件を無料で手に入れたり、安く購入するといった過程をメリットと感じていながらも、そのメリットが意味をなさなくなってしまうほど、再建築不可物件のデメリットに振り回されてしまう所有者があとをたちません。
そこで今回は、再建築不可物件を購入したことによる後悔の声を中心に紹介しながら、なぜ後悔することになってしまったのか、さらにその対策としてどのようなことができるのかについてひとつひとつを深く解説します。
また、再建築不可物件において評価できるポイントや、それでも再建築不可物件を利活用する方法、さらには処分方法についても詳しく解説するので、再建築不可物件の行き場に困っている場合はぜひ参考にしてください。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. 再建築不可物件を購入すると後悔する5つの理由
- 1.1. 理由1:住宅ローンが組めない
- 1.2. 理由2:建て替えができない
- 1.3. 理由3:建物が消失すると再建築できない
- 1.4. 理由4:リフォーム時の制約が多い
- 1.5. 理由5:緊急時に救援が遅れやすい
- 2. 再建築不可物件で実際に後悔した事例と対策方法
- 2.1. 事例1:更地にした
- 2.2. 事例2:投資用に購入したが売れない
- 2.3. 事例3:収益物件として購入したが部屋が埋まらず家賃収入が得られない
- 2.4. 事例4:災害によって家が消失したが再建築できない
- 2.5. 事例5:不動産担保ローンを組んだが返済できない
- 2.6. 事例6:再建築不可物件の投資セミナーで購入したが利益が出ない
- 2.7. 事例7:なんとなく相続したら再建築不可物件だった
- 3. ただし、再建築不可物件にも購入するメリットはある
- 3.1. メリット1:低価格で物件を購入できる
- 3.2. メリット2:建物にかかる税負担を抑えられる
- 4. 再建築不可物件を上手く活用するにはどうしたらいい?
- 4.1. <1>接道義務を果たす
- 4.2. <2>リフォーム・リノベーションをする
- 5. 購入後の活用に迷ったら売却するのも1つの選択肢
- 6. 再建築不可物件で後悔したら専門業者に相談しよう!
再建築不可物件を購入すると後悔する5つの理由
再建築不可物件は「買って後悔する」ことが多いといわれています。
再建築不可物件を購入して後悔してしまう理由とは、以下のような例として挙げられます。
再建築不可物件を購入して後悔してしまう理由
- 住宅ローンが組めない
- 建て替えができない
- 建物が消失すると再建築できない
- リフォーム時の制約が多い
- 緊急時に救援が遅れやすい
さらに本章では以下からの各段落で、「再建築不可物件を購入した際に後悔する5つの理由」それぞれについてより詳しく解説します。
理由1:住宅ローンが組めない
家やマンションを購入するために大きな支援となる「住宅ローン」は、金融機関が「ローンの返済が滞った際などに、その住宅自体を担保にできそうである」という判断ができたのちに、提示されます。
しかしながら、再建築不可物件においてはこの住宅ローンが組めません。
再建築ができない物件とは、不動産市場において「資産価値が低い」とみなされるためです。
その資産価値の低さとは「住宅ローンが組めないほどのレベル」であり、通常の金融機関であれば、ローンを組む際に提出が必要となる「重要事項説明書」上に再建築不可物件であることが書き込まれているだけで、ローンを否決するほどです。
このローンを組む際に提出する「重要事項説明書」には、再建築不可物件を購入する場合はその旨を必ず記載しなければなりません。
理由2:建て替えができない
再建築不可物件とは、その名称が示す通りに、物件の建て替えをしてはいけません。
つまり、再建築不可物件に住み続けつつも「ライフイベント(結婚、出産……)」の発生などで居住者の数が変わったりしても、その人数を受け入れるための増築、建て替えのような工事が行えないのです。
もちろん、物件自体が不要となったり、ライフイベント以外の理由でその構造に不具合が生ずることになったとしても、解体などはできるものの建て替えができないため、それまでと同じ状態で保有し続けるしかありません。
再建築不可物件をそれ以上の期間は保有したくないという場合も、売却や譲渡のように「手放す方法」でしか処分することができません。
将来、「自己保有物件について確実に建て替えが必要である」といったビジョンを持っている場合には、再建築不可物件を初めから手にするべきではないのです。
理由3:建物が消失すると再建築できない
再建築不可物件でも、災害に見舞われることが当然あります。
特に火災などで建物自体がなくなってしまった場合、また同じような形で建物を再建したくなってしまうものの、再建築不可物件であるため、その「建物がなくなってしまった状態」からはそれ以上何をすることもできません。
人間が野ざらしの状態で生活することは実質的に不可能であるため、もし再建築不可物件の建物が災害で失われたのであれば、事実上その土地には以後済めなくなります。
しかしながら、土地を所有したままなのであれば、毎年固定資産税などは発生し続けるのです。
防止策こそあれど、こうした外的要因により引き起こされる「家がなくなる」という状況を、物件所有者が完全に防ぐことは不可能であり、後悔しても遅いといえます。
したがって、本項目とは再建築不可物件にまつわるデメリットの中でも「生活の存続」を左右する、事前に熟知しておくべき内容といえます。
理由4:リフォーム時の制約が多い
再建築不可物件には、可能なリフォームとそうでないリフォームがあります。
再建築不可物件でも実施可能なリフォームとは「建築確認」をしなくてよいものに限られます。
建築確認とは、「工事の内容が建築基準法を満たしているものであるかどうか」についての確認です。
リフォームの中でも、増築や改築、大規模修繕についてはリフォームの事前に建築確認が必要です。
再建築不可物件で行えるリフォームは以下のような建築確認が不要な工事に限られ、制限があることに注意しましょう。
再建築不可物件で行える工事
- フローリング
- 床材の張り替え
- 壁紙張り替え
- キッチンなど住宅設備の変更
一方、再建築不可物件における実施不可能なリフォームとは、以下のように建築確認が必要な種類です。
再建築不可物件で実施可能なリフォーム
- 増築
- 改築
- 移転
- 大規模修繕
- 大規模な模様替え
一方、以下のような一定の条件を満たせば、再建築不可物件でも大掛かりなリフォームが可能です。
再建築不可物件で大規模なリフォームが可能な場合
- 10㎡以内の増改築にとどめる
- 主要構造部1/2未満の修繕にとどめる
しかしながら、こうした条件をもってしても再建築不可物件に対しての「主要構造部分の1/2以上の修繕」や「防火・準防火地域内における増改築」、あるいは既存の建物について大部分を造り変えたり、フルリフォームを行うといった行為については許可がおりません。
理由5:緊急時に救援が遅れやすい
生活面、特に生命的な危機について、再建築不可物件は対応しづらかったり、遅れてしまうことがあります。
その理由とは、再建築不可物件が道路と接していなかったり、建築基準法における接道義務を満たしていないことにより接道幅が狭くなっているという特徴を持っていることに由来し、緊急車両などの通行に支障をきたすためです。
道路が狭かったり、そもそも道路に接していなければ、いざ消防車や救急車が現場へ出動しても効力を発揮できないことがあります。
つまり緊急車両の恩恵が特に大きい、病気がちな家族だったり、子どもや高齢者などを再建築不可物件に住ませることについてはリスクがあるといえるのです。
本項目の対策方法として、周囲住民に親戚がいる場所に住むこと、あるいは近くに非常に親しい人がいる場所に住むことなどが挙げられます。
そうした近隣と親しい間柄であれば、緊急車両などが訪れる際に円滑に報告をすることでいざというときに隣地を利用できたり、緊急対応が可能となりやすくなるのです。
このように、緊急車両の通行リスクが懸念される際であるにもかかわらず、どうしても再建築不可物件を購入しなければならない場合は、緊急時に周囲の協力を得られるかどうかの確認がかかせなくなります。
再建築不可物件で実際に後悔した事例と対策方法
突然の相続、投資セミナーなど意外な流通経路で、実際に再建築不可物件を所有してしまうことは現代において起こりがちです。
しかしながら、再建築不可物件の持ち主となってしまった方々の多くは、以下のような後悔をしています。
再建築不可物件の持ち主となってしまった人のよくある後悔
- 更地にした
- 投資用に購入したが売れない
- 収益物件として購入したが部屋が埋まらず家賃収入が得られない
- 災害によって家が消失したが再建築できない
- 不動産担保ローンを組んだが返済できない
- 再建築不可物件の投資セミナーで購入したが利益が出ない
- なんとなく相続したら再建築不可物件だった
そこで以下からは、再建築不可物件を手にしてしまった方が「どのようなことで困っていたり、所有したことを後悔しているのか」について、その実情を詳しく解説します。
さらに、各項目における「対策方法」や「事前対策」についてもあわせて解説するため、ぜひ実際に再建築不可物件を所有してしまった、所有する見込みがある場合の対処法として参考にしてください。
事例1:更地にした
再建築不可物件とは、更地にすべきではない物件です。
更地化のメリットとして、建物の損傷や劣化にともなう修繕・メンテナンスをしなくてよいというものがあります。
しかしながら更地化には、こうした維持管理の費用負担をなくすことに加え、見逃せないほどのデメリットが存在するのです。
更地化、つまり再建築不可物件の解体後、当該土地の所有者とは「建物を建設して利用することができない土地」を所有し続けることになります。
つまり、利用難易度の高い土地を所有し続けつつ、固定資産税を収め続けることになります。
固定資産税については住宅用地に限り特例で減税措置を受けることができていたものの、本項目のように更地化・建物解体を行ったのであれば減税措置は受けられなくなるのです。
住宅用地の特例を受けていた土地の建物を解体したのであれば、固定資産税は確実にアップすることになり、重い費用負担に耐えられなくなった場合、更地化を後悔することになります。
そこで、このような固定費の上昇を招かないためには、安易に解体や更地化を行わないことが対策方法となります。
事例2:投資用に購入したが売れない
再建築不可物件を投資用物件として扱うケースもあります。
しかしながら、再建築不可物件とはほとんど投資に向いていないといえます。
再建築不可物件とはもともとの評価が低いため「安い」物件です。
つまり「安い物件を仕入れ、高く売る/家賃を長期的に徴収する」という不動産投資とは非常に相性が悪いのです。
投資の序盤では、元手が少ないこともあり価格の安い再建築不可物件に手を出してしまいがちです。
しかしながら不動産投資市場においては再建築不可物件が見向きもされないこともあるため、買って後悔したという経験を話す投資家があとをたちません。
不動産とは、投資用に所有したらそれで終わりということはなく、普通の住宅地のように維持管理費用、固定資産税などが発生し続けます。
投資においては、物件の売却額や家賃収入などでこうした経費が回収できないのであれば「損失=赤字」であり失敗となってしまいます。
投資における不動産とは、諸経費回収が可能となったうえで利益を生み出し続けなければなりません。
つまり投資用に再建築不可物件を手にしてしまうと、負債を生み出すだけの資産を所有し続けることになりがちなのです。
対策方法として、もし投資用の再建築不可物件を所有したにもかかわらず、負債を生み続けて赤字物件となってしまったのであれば、すぐに処分することが挙げられます。
処分に際して、利益は度外視しなければなりません。
「処分できたらラッキー」といえるほど、再建築不可物件とは市場でのニーズがなく、所有しているだけでその後の経費がかさんでしまうためです。
一般的に売却では処分しづらいイメージの再建築不可物件ではあるものの、手を尽くせば売却や譲渡による処分は可能です。
再建築不可物件のような一般層の手に余る訳あり物件は、訳あり物件専門の買取業者に直接売却することが最も手早い処分方法となります。
本記事でも、後半にて「再建築不可物件の処分方法」を詳しく解説します。
事例3:収益物件として購入したが部屋が埋まらず家賃収入が得られない
投資と近いケースとして、再建築不可物件を「収益物件」として所有する例が存在します。
やはり投資活動初期における元手の少なさから再建築不可物件を購入し、賃貸化などすることによって、家賃収入を得ようという考え方です。
しかしながら、再建築不可物件を賃貸化しても部屋が埋まらないことがあります。
部屋が貸し出せないのであれば、家賃収入が得られません。
この場合も再建築不可物件が、維持管理費用や固定資産税といった経費を支出するだけの資産となってしまいます。
所有する物件が利益を生み出さず、支出により自分の資産をすり減らしていくのであれば、破産しないためにもすぐに物件を手放さなければなりません。
そこで、再建築不可物件を賃貸化してもままならない場合の対策として「リフォーム」を施す方法が挙げられます。
賃貸物件に人が集まらず、空き室が目立ってしまうことには理由があります。
それは物件の見た目の悪さだったり、室内における水回りの不便さなどです。
そこで賃貸物件の魅力を高めるために、そうした不備となる箇所について部分的にリフォームを施せば、物件を借りる住人候補にとって見栄え良く映る可能性が生じるのです。
リフォームにおいて、建物の欠陥や不具合は優先的に直してください。
次に、壁や床の張替え、外壁塗装、設備の最新化などがリフォーム方法の候補として挙げられます。
古い物件でもリフォームを行えば、令和以降の昭和レトロブームといった波に乗ることができ、魅力的な物件に仕立て上げることが可能です。
また別の対応策として、「知識やノウハウが備わっていないと難しい、賃貸物件の運営にはあらかじめ手を出さない」という考え方もあります。
仮に本項で解説したリフォームを施して、物件を魅力的に改装できたと所有者は思っていても、市場のニーズにとっては的外れな結果となってしまい、利用者のニーズを救いきれないこともあるためです。
その他、優良な賃貸物件運営のために必要な立地条件や家賃設定、認知施策や求められるリフォームの見極めといった、微妙なバランス、その必要条件すべてに素人が対応することは難しいものです。
このため、周囲に賃貸物件のコンサルタントがいなかったり、専門家の知識が借りられないような状況にいるのであれば、初めから再建築不可物件の賃貸化には関わるべきではないともいえます。
事例4:災害によって家が消失したが再建築できない
建築物とは、何らかの災害、天災により消失する可能性がゼロではなりません。
それは再建築不可物件についても同じであり、現行の建築基準法が定めるルールを守っていないこともあるほどに古くに建設されたものともなりがちな同物件とは、よりそうした災害に耐えきれないことがあります。
建物を消失させる可能性がある災害とは、以下の例が挙げられます。
自然災害などはもし発生してしまえば、人間の力で抗うことは不可能に近いです。
建物を消失させる可能性のある主な災害例
- 火事、放火
- 隣家の延焼
- 自動車事故
- 地震
- 台風
- 土砂崩れ
- 洪水
- 河川の氾濫による浸水
こうした不可抗力で建物が倒壊したり、それ以上住めない状態となってしまっても、その建物が再建築不可物件であるのなら、直後の建て替えが不可能です。
つまり、災害により再建築不可物件に住めなくなったのであれば、以降は一切同じ場所には住めなくなるのです。
災害から再建築不可物件を守る対策方法とはほぼなく、できるだけ早く手放すことをおすすめします。
そして、初めから再建築不可物件を住居としては利用しないべきです。
もし再建築不可物件を住宅として購入しなければならない場合は、少しでも自然災害を受けないような場所の物件を選ぶべきといえます。
例えば、海や川が近くにある土地なのであれば、ハザードマップを閲覧したり、地盤の調査を依頼するなどして、洪水などに被災するリスクを下げられる場所を選ぶため行動を事前にとってください。
そうしたリスク回避ができると見越せたのであれば、その時に初めて購入を検討することになるのです。
しかしながら、もちろん購入候補の物件が再建築不可物件であるとあらかじめ判明していたのであれば、買わないことをおすすめします。
もともと日本は、世界的に見ても地震・台風など自然災害が多い地域に位置しています。
このため再建築不可物件に限らず、家を買う際には災害リスクを優先的に考えましょう。
災害リスクを考える上では、土地の選定、建物の耐震性能などを注視するといった手段が一般的です。
再建築不可物件とは、もし一度でも倒壊などしたのであれば二度と同じようには建築できないため、どうしても購入して住まなければならないのであれば耐震工事・補強工事などは必須となりがちです。
事例5:不動産担保ローンを組んだが返済できない
カードローンやビジネスローンよりも金利が安い不動産担保ローンは、再建築不可物件の購入手段として選ばれがちです。
不動産担保ローンが選ばれる理由は、再建築不可物件自体の価値が低く、一般的な住宅ローンの審査が通りにくいためです。
こうして「代わりの手段」として選ばれる不動産担保ローンではあるものの、ローン借り入れにより購入した物件が想像もしなかった維持管理費用を産出してしまうことがあります。
それだけでなく、建物自体が大きく破損してしまい修繕費用がかかったり、賃貸運用の場合であれば空き室だらけとなることで支出が借入額を上回り、返済ができなくなりがちなのです。
ローン返済の対策としては、返済できなくなってしまったのであれば「担保不動産」の売却を行うという方法があります。
しかしながら、再建築不可物件とは価値が低くなりがちです。
再建築不可物件の売却のみでローン返済額がまかなえないこともしばしば起こってしまうのです。
事前の対策としては、再建築不可物件の購入の際に、不動産担保ローンを利用しないことが挙げられます。
やはり再建築不可物件自体にはさほど価値がないため、売却によるまとまった資金調達も期待できません。
このためいざ予想外の出来事が起き、不動産担保ローンの返済ができなくなった際などに打てる手段がなくなってしまうのです。
したがって不動産担保ローンとは、確実に返済できるような見込みが事前調査などで得られた場合にのみ利用すべきです。
ローン返済が難しいと予想される場合は、充分な資金を貯めてから、あるいは他の資金調達方法が確立できたときにのみ、不動産購入に至りましょう。
事例6:再建築不可物件の投資セミナーで購入したが利益が出ない
再建築不可物件とは、「再建築不可物件を活用した投資セミナー」などでめぐり合うことがあります。
しかしながらこうしたセミナーは、主催者のみが利益を得るパターンが圧倒的に多いとされています。
この理由として、やはり再建築不可物件の特徴として価値を低く見積もられがちで、いざというときの換金手段としても弱く、土地活用や建物利用が非常にしづらい物件であることが挙げられます。
不動産投資セミナーでは、高いセミナー費用が発生する上に、再建築不可物件を購入するといったさらなる莫大な費用が求められます。
もし何らかのセミナーにおいて再建築不可物件を押し付けられてしまったユーザーからは、満足の声が聞かれることはほぼありません。
投資セミナーで再建築不可物件を購入してしまった際の対策方法とは、すぐに不動産投資運用をやめることです。
投資の場においては、それまでに費用をかけてしまったというサンクコスト効果がはたらきがちです。
そうした心理状況になると「今は利益が出ず損する一方でも、いつか勝機が来る」といった後に引けない考え方に陥りがちです。
こうした状況においては、「今売れないのであれば、先も変わらないため、すぐに処分すること」をおすすめします。
売却可能性や住民需要の喚起のために施すリフォームなどの施策は、ことごとく高い費用がかかります。
しかしながらそこまでしても、物件が利益をもたらさない可能性があるのです。
つまり、早くに「損切り」をしましょう。
物件が処分できたのであれば、その時点からはそれ以上に物件による損失を考える必要はなくなるのです。
不動産投資セミナーに関する事前対策として、そうしたイベントに足を運ばないことをおすすめします。
誰でも利益が出るような好条件の話があるのであれば、主催者が独占的に実行しているはずです。
それなのに、セミナーを開いて受講料や不動産の押しつけを行うということは、当人が不動産運用で全く儲かっておらず、損した分を来場者から回収、負の不動産を他人に任せようとしている可能性すらあるのです。
事例7:なんとなく相続したら再建築不可物件だった
相続により再建築不可物件を所有してしまうケースが増えています。
相続においては、被相続人の財産がそのまま相続人の懐に入ってくるというイメージが持たれがちであるため、相続人は「無料で土地が手に入るなんて嬉しい」と考えてしまうことがあるかもしれません。
このような「なんとなくでの親からの相続」をしてしまうと、再建築不可物件というデメリットを多く抱えた土地の扱い方を見失ってしまい、持て余してしまいます。
再建築不可物件とは、何かが起こるまでは住むことも可能ながら、大きく破損してしまえば再建築ができないため、その瞬間から家をなくした状態となってしまうこともありえます。
さらに賃貸運用も難しい上に、毎年発生する固定資産税、維持管理費、修繕費といった支出も連続します。
このため、再建築不可物件をなんとなく相続してしまい、この相続自体を後悔する方は年々増加傾向にあるのです。
相続における再建築不可物件所有の対策方法とは、早めに処分することです。
しかしながら再建築不可物件とはその扱いづらさ、価値の低さから売却を断る業者も多く存在します。
そこで、再建築不可物件などに対応可能な訳あり物件専門の業者などに相談することをおすすめします。
いわゆる買取の専門業者とは、再建築不可物件でも再利用方法を熟知しているため、通常では提示されないような額での買い取りにも応じるのです。
相続で再建築不可物件を手にしてしまうことについての予防方法は、相続についての事前調査を行うことです。
相続や生前贈与が起こりそうなことが判明し次第、被相続人が所有している不動産について「その土地や不動産が有益なものであるかどうか」「再建築不可物件ではないか」「取り扱いに制限がかかる物件ではないか」といったことに注意を払いつつ調査し、知識を深めておくことでいざというときの対策が可能となります。
例えば再建築不可物件を相続してしまった場合、後から再建築ができない物件であることが判明してもいきなり対策することは難しいと思われます。
土地や不動産の所有・管理・運用においては、法律も含めたさまざまな知識を持っていることが必要です。
ただし、再建築不可物件にも購入するメリットはある
取り扱いが難しく、各種制限をともない資産価値が低く見積もられがちな再建築不可物件ではあるものの、まったくメリットがないわけではありません。
そこで本章では、再建築不可物件を購入する上でのメリットである「低価格帯での購入」「固定資産税負担軽減」というふたつについて、詳しく解説します。
メリット1:低価格で物件を購入できる
再建築不可物件とは、その制限がある特徴などから不動産市場において価値を低く見積もられがちです。
そのため、近似条件の一般的な不動産の30%~70%といった額で販売に出されていることがあるものです。
しかしながら不動産会社ごとに調査や査定の方法が異なるため、相場を確実に押さえることは難しいとされています。
いわゆる「土地付きの注文住宅」よりは、ほぼ確実に再建築不可物件の方が安く市場に出るとされます。
一方、再建築不可物件は安く購入できたとしても、各種ローンが組みづらかったり、何かが起きた際に返済のあてが確保できなくなることもあるため注意してください。
不動産購入において、ローンで支払うのは新築のみ、再建築不可物件は現金一括払い、といったように事前に決めておくことで、ローンに困らされる可能性を限りなくゼロに近づけることは可能です。
メリット2:建物にかかる税負担を抑えられる
再建築不可物件も、全く利用していなかったとしても「固定資産税」や「都市計画税」といった各種税金の支払いを必ず命じられます。
固定資産税とは、交通の利便性や資産価値の向上といったように、家や土地を保有していることで受けられる「行政からの恩恵」に対して課税されるという意味を持っています。
つまり、固定資産税とはその「資産価値」に応じて所有者が負担すべき税額が変動するものなのです。
再建築不可物件とは各種制限があり、資産価値が低いとみなされがちであるため、一般の不動産に比べると固定資産税が安価になりやすい傾向があります。
物件の固定資産税を決定する評価額は、不動産会社など専門家による調査で確認することが可能です。
再建築不可物件を上手く活用するにはどうしたらいい?
現行の建築基準法を満たさないことにより、各種制限がある再建築不可物件ではあるものの、方法によっては利活用ができることがあります。
そこで以下からは、おもに接道関係、リフォーム系のアプローチにより、再建築不可物件の活用を見出す方法について詳しく解説します。
<1>接道義務を果たす
接道義務を満たしていない物件とは、それだけで再建築不可物件となってしまいます。
逆に、再建築不可物件とは接道義務を果たしていない物件であることも多いため、接道義務を果たすことで再建築不可物件のデメリットをなくし、通常の物件として活用できる可能性が高まります。
接道義務を果たすために必要な方法として代表的なものが、「セットバック」です。
セットバックとは、「保有している敷地の一部を、道路として政府に売却すること」です。
つまり、セットバックにより再建築不可物件が接している道幅が広がることになります。
もし道路の幅が4m以上に広げられたのであれば、接道義務を満たし、再建築可能となるのです。
このようにセットバックは「敷地は2m以上接道しており、道路幅が4m以下」という再建築不可物件で効果を発揮します。
一方、セットバックした敷地とは私有地ではなく「公道」となります。
公道においては、自分の車の駐車や、植物を栽培するといった行為は違反となるため気をつけてください。
また「道路幅が4m以上確保できており、敷地と接道面が2m以下」であることにより接道義務を満たせない場合は、隣接地の購入がおすすめです。
この場合は、接道面が2m以上の範囲になることで建築基準法を満たし、接道義務違反を根拠とする再建築不可物件ではなくなります。
しかしながら、個人間での土地売買とは難しいものです。
素人同士で売買契約のための必要書類を要したり、各種法的手続きを行うことには高い専門的知識が要求されます。
土地に関する専門的な資格を持った不動産会社に仲介を依頼することで、個人間の土地取引がスムーズに進行することもあるので、そうした場合には仲介への相談などを検討してみてください。
<2>リフォーム・リノベーションをする
大規模ではないリフォームやリノベーションは、再建築不可物件においても実施することができます。
この要件を利用して再建築不可物件にリフォームを行い、住みやすい物件に生まれ変わらせたり、第三者から賃貸のような形で家賃収入が期待できる物件に仕立て上げるといった活用方法があるのです。
しかしながら、再建築不可物件において実施できないリフォームとは以下の通り存在するため、注意してください。
再建築不可物件において実施できないリフォーム
- 主要構造部分の1/2以上を修繕するリフォーム
- 防火、準防火地域内での増改築
もし自分の物件が再建築不可物件であることがわかっている場合でも、そうでなくても現在の法制度に準じたリフォームが可能かどうかは専門家に相談して聞いておきましょう。
購入後の活用に迷ったら売却するのも1つの選択肢
再建築不可物件とは、その解体後や立て直しに関わる制限がネックとなり、仲介などでは積極的に販売活動が進まないことがあります。
そういった場合は、直接買い取りを行う「中古物件専門の買取業者」に売却するという方法があります。
中古物件専門の買取業者の中には、一見価値が見いだせなさそうな、いわゆる「訳あり物件」を取り扱える業者が存在するのです。
そうした業者とは、一般的な不動産市場では避けられがちな再建築不可物件であっても、独自のノウハウによりリフォーム・リノベーションなどを行うことで、収益化を実現、転売に進むことが可能なのです。
専門の買取業者に中古物件を売却するメリットをまとめると、以下の通りになります。
訳あり物件専門の買取業者に中古物件を売却するメリット
- どんなに古い物件でも買い取りに応じる
- まとまった売却益が手に入る
- 現金化までのスピードが速い
- 直接買い取りであるため、仲介手数料がかからない
- リフォーム、修繕、解体費用を一切かけずに売却できる
- 契約不適合責任が免責される
買取業者への直接売却であれば、仲介による買い手の発見を待つ必要がなく「現金化」へのスピードが早いこと、各種手続きは業者自身が請け負うため売却側の手間が少ないことが注目点です。
また、「個人による法人への不動産売却」であれば、個人の側(売却側)が契約不適合責任を負う必要はありません。
契約不適合責任とは、売買契約を行った動産・不動産について、「契約内容と著しく異なる瑕疵などが存在することがあとから発覚した場合などに、売却した側が払い戻しや契約解除、損害賠償などに応じなければならない」といった責任を指します。
もし手持ちの再建築不可物件を住まいとしても利用していないのであれば、維持管理費、固定資産税などをそれ以上支払わずに済む「即時売却」により資産面において一定のメリットが得られます。
専門の買取業者に物件を売却する際は、いわゆる「買いたたき」などの詐欺にあわなくていいように、できるだけ複数の業者に相談し、見積もりを得てみてください。
再建築不可物件で後悔したら専門業者に相談しよう!
今回は、再建築不可物件の購入や相続にともなう、家主の方々が後悔する理由について深堀りして解説しました。
再建築不可物件には多くのデメリットが付随しています。
万が一の災害時などで家屋が倒壊した場合、もうその場所には建物が建設できないことや、緊急車両などが敷地に立ち入れないことなどは、所有者の生活に直結する不便といえます。
その他、ローンが組みづらかったり、ローン返済の難しさがあったり、リフォームについての制約が多いなど、再建築不可物件には住み続ける上での懸念点も多いのです。
再建築不可物件を実際に所有してしまい後悔しても、対策方法はあります。
それは手早く処分したり、早い段階で収益化などについては見切りをつけることです。
最善手は、再建築不可物件にはできるだけ手を出さないことです。
再建築不可物件とは市場において資産価値が低く見積もられがちであることから、誤って所有をするケースが増えています。
物件の状態によっては税負担が少ないといったメリットも存在するものの、再建築不可物件を活用するためのリフォームや接道工事を行うことは持ち主にとって大いに負担がかかります。
そこで、再建築不可物件を持て余してしまう場合は、手っ取り早い処分方法として専門の買取業者へ売却することがおすすめです。
専門の買取業者であれば、直接買い取りを行うため各種手続きは業者側が代行、見積もりの提示や調査が進行し、最終的な買取額に売り主側が納得したのであれば、最短3日での買い取りといったスピード売却も実現できます。
もし再建築不可物件について困ったことがある場合は、できるだけ早めにいろいろな買取業者に目星をつけておき、相談してみてはいかがでしょうか。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。