やってはいけない実家の相続はこの6つ!相続に備えて今からできることとは?

近年、少子高齢化にともない、誰も住んでいないような実家をそのまま相続するケースが増えています。

相続人は、大切な両親が住んでいた実家であるからといった愛着もあり、なかなか手放しづらいものです。

しかしながら、不動産とは所有しているだけでさまざまなリスクを持つものです。

また実家の不動産についての名義が相続時に決められていなかったりするのであれば、遺産分割協議などでトラブルとなる原因ともなってしまいます。

そこで今回は、実家の相続において「すべきではないこと」について解説します。

もし実家を相続してしまった場合や、実家を相続する可能性がある場合に「どうすれば不動産に関するトラブルを避けられるのか」を考える上での参考にしてください。

また今回は同時に、住む予定のない実家などを活用する方法や、買い取りをしてもらいづらい実家の売却処分方法、そもそも「相続よりも前の段階」で不動産に関する不安を除去する対策方法についても詳しく解説しています。

不動産の処遇について困った時には、ぜひ本記事を活用してください。

やってはいけない実家の相続は6つ!

実家を相続するにあたり、以下のように「すべきでない行為」が6つ存在します。

実家を相続にあたりすべきでない行為

  • 今後の活用プランがないまま相続する
  • 共有持分として相続する
  • 相続後に実家の家屋を解体する
  • 相続後に名義変更をせずに放置する
  • 相続後になんとなく家を放置し続ける
  • 相続税の申告前に売却する

不利な条件での相続を避けるために、以下からはそれぞれの行為についてより詳しく解説します。

その1:今後の活用プランがないまま相続する

実家のように管理が行き届いている確証のない住居について、その後の利活用方法を決めずに相続することは危険です。

利活用方法が定まっていない家屋の相続が危険である理由は、最終的に家屋を「空き家」として放置してしまう可能性が高いためです。

空き家とは「特定空き家」化するリスクがあります。

放置されたあまりに老朽化が進み、状態が危険であったり、周囲の環境・景観に悪影響を及ぼす可能性がある空き家とは、「空き家対策特別措置法」により特定空き家に認定されるのです。

特定空き家の認定は、現状のまま放置し続けることが危険視された空き家に対し、国や自治体が行います。

もし所有している建物が特定空き家に指定されると、「住宅用地の特例」という固定資産税の減税措置について適用外となり、特定空き家に指定された翌年から固定資産税が最大6倍になる可能性が生じます。

空き家のデメリットとは特定空き家だけでなく、以下の事象が起こる可能性がある点です。

空き家の特定空き家以外のデメリット

  • 空き家の管理を怠った場合、行政から50万円相当の罰金を課される
  • 放置した空き家が破損・倒壊して第三者にケガ・死亡などさせてしまった場合、多額の損害賠償を請求される
  • 行政から「特定空き家」に指定された場合、建物が住宅地と認められず住宅用地の特別減税措置が受けられなくなり、固定資産税が最大6倍になる
  • 特定空き家の指定を受けたにもかかわらず改善が見られない場合、強制執行などにより家屋が強制的に解体される可能性があり、登記簿上の所有者が費用を負担する

このように、相続した住居について利活用方法が定まっていない状態では管理が充分に行われず、ただの空き家と化してしまい、所有者は多大なリスクを背負う可能性が生じます。

その2:共有持分として相続する

相続した実家を「共有持分」としてしまうと、以後の所有者間のトラブルにつながる可能性があります。

このため、実家を共有名義で相続することは避けましょう。

共有持分とは、以下のように複数人の共有名義で不動産を所有する状態を意味します。

共有名義

1つの不動産に対して所有者が複数人いる状態。実家を相続した場合、他の相続人と共有名義での所有中は、同不動産について「売却」や「貸し出し」を行いたい場合、他の共有者(=相続人)の同意が必要。

不動産を相続した場合、複数の相続人名義による共有持分となってしまうと、不動産の活用方法などその後の処遇について意見が割れてしまうことがあり、トラブルを招く原因となります。

そこで、共有名義を避ける方法は以下の通りとなります。

共有名義を避ける方法

相続した不動産について共有名義を避ける方法:被相続人が残す「遺言書」において相続人を決定しておく。

※「遺言書がない」「遺言書に納得しない相続人がいる」などの場合、相続人全員での話し合いが必要。この話し合いを「遺産分割協議」といい、主に「名義人を1人に絞った状態での相続登記」の実現を目標とする。

こうした遺産分割協議を怠った場合、「法定相続分(被相続人の遺産を相続するにあたり、各相続人の取り分として法律上定められた割合)」に従って、実家の名義が共有名義となってしまいます。

また被相続人の配偶者が、被相続人の死後も実家である「同者が所有していた不動産」に住み続ける権利である「配偶者居住権」を行使することがあります。

しかしながら、配偶者居住権を行使する者は、当該不動産に住み続けるにあたって名義を自身の名前にする必要はありません。

このため、相続により受け渡される実家について「共有名義にしなければならない」という事態にはならないのです。

例えば父が死亡し、母と子が残されており、母と子がその後も暮らしていた家(相続した家)に住み続けるのであれば、家を子の名義にし、母が配偶者居住権を行使すればよいのです。

その3:相続後に実家の家屋を解体する

相続によって所有した実家について、無計画に解体(更地化)するにあたっては注意が必要です。

建物の敷地面積を30坪とした場合、一般的に解体するための費用とは構造によって以下の通り変動します。

解体費用の変動

  • 木造:4~5万円(一坪)×30=120万円~150万円
  • 軽量鉄骨造:6~7万円(一坪)×30=180万円~210万円
  • 鉄筋コンクリート造:7~8万円(一坪)×30=210万円~240万円

このように、建物の解体自体には100万円を超えるどころか、条件によっては200万円前後となる費用がかかり、多額の出費となります。

さらに建物が解体された土地には、固定資産税の減税措置である「住宅用地の特例」が適用されなくなります。

つまりその土地にあった建物を解体した場合、減税措置がなくなり、翌年からの土地の固定資産税が最大6倍となるのです。

このように、建物の解体についてはともなうデメリットが多いため、安易に行うべきではありません。

もし仮に不動産業者などから建物の解体を勧められても、別の専門家の意見を聞くなどして安易に解体の手続きをしてしまわないようにしてください。

その4:相続後に名義変更をせずに放置する

実家の相続において「名義変更」は重要です。

名義変更をしないままであれば、例え相続した建物であっても相続人の一存では売却ができなくなってしまうのです。

さらには、相続人自身も亡くなってしまった場合、残された遺族内での新しい相続関係も整理できなくなります。

実家などを相続した際の名義変更のために発生する費用とは、以下の通りです。

実家などを相続した際の名義変更のために発生する費用

  • 登録免許税:不動産の評価額×4÷1000
  • 各種書類の取得費用:1万円~3万円前後
  • 司法書士など法律専門家に支払う依頼報酬:約10万円前後

表のように、登録免許税とは実家の「評価額」の高さに応じて変動します。

このため登録免許税に関しては思いがけない出費となることがあるため、専門家にあらかじめ査定を依頼しておく準備も意識すべきです。

その5:相続後になんとなく家を放置し続ける

不動産の所有者とは、当該不動産について維持管理を行う義務を持ちます。

建物の維持管理が適切に行われなければ、特定空き家に指定されるリスクがあるだけでなく、空き家として犯罪組織に悪用されたり、野生動物が住み着く・植生が生い茂るなどで周囲環境に迷惑をかけることがあるのです。

また、不動産とは目的なく所持しているだけでも固定資産税や都市計画税の支払い義務が発生します。

つまり、不動産とは所有した状態になるだけで各種リスクや確実な出費が懸念される資産なのです。

不動産の放置にともなうトラブルについては、すべての責任が所有者に帰属します。

空き家に関する管理責任については、近隣住民からの損害賠償といった形や、国および自治体による違反金の命令・強制執行代として金銭的リスクとなって現れる可能性も高くなります。

このように、維持管理する手立てもなく誰も住んでいないような実家とは、何も考えずに相続し、放置し続けるべきではありません。

その6:相続税の申告前に売却する

土地を相続した場合、以下のような「小規模宅地等の特例」という相続税に関する優遇を受けることができます。

小規模宅地等の特例

土地の相続税を算出する際、土地の評価額を一定の割合減額し、相続人が支払う相続税の負担額を軽くする特例

この特例には、受けるための条件があります。

特例の適用条件とは、「相続開始時」から「相続税申告期限(=相続発生を知った翌日から10カ月以内)まで、相続した不動産を保有していることです。

つまり本特例を受けたいのであれば、相続後すぐに実家を売却してはいけません。

本特例が適用された場合、例えば相続した土地の評価額が5,000万円だったのであれば、土地評価額が8割減されて、1,000万円のみが課税対象となり、結果的に特例適用前よりも税負担が軽くなります。

一方、小規模宅地等の特例以外にも、相続税の負担を減らす特例が存在します。

相続の状況によってはそちらの特例を使うべきであることもあり、別の特例においては小規模宅地の特例と異なり、相続開始したのであればすぐに不動産を売るべきとなるケースもあるのです。

自分に合った相続時の特例として何を選ぶべきなのかといった判断は、法律専門家などの意見を参考にしてください。

相続後に空き家になる実家を放置せず活用する方法は?

相続した実家を「空き家化」させてしまうことには金銭的リスクがつきまとうものです。

そこで実家を空き家化させないために、以下のような方法を取ることがおすすめです。

空き家になる実家を放置せずに活用する方法

  • 相続人が自分で住む
  • 賃貸物件として貸し出す
  • 売却する

以下からは、実家を空き家にしないための各方法について詳しく解説します。

活用方法1:相続人が自分で住む

相続した実家を放置せず管理するために取りやすい手段は、相続人自身が「相続した実家」に住むことです。

もし相続以前は別な場所に住んでいたのだとすれば、引っ越しを検討することも考えられます。

もし自分が住居を持てば、いずれにせよ固定資産税・都市計画税の支払いや、維持管理にともなう義務は避けがたいものです。

さらに相続以前に住んでいた家が賃貸だったのであれば、実家に移ることで家賃といった固定費がなくなることも意味し、メリットが得られるケースもあるといえます。

一方、実家に引っ越さないほうがよいケースもあり、それは以下の通りです。

実家に引っ越さない方が良いケース

  • 相続する家が古く、老朽化しており、住むためには大掛かりなリフォームなど改修が必要な場合(水回りなど小規模リフォームで数十万~100万円ほど、建物全体のリフォームに1,000万円前後の費用が発生)
  • 相続する家に引っ越すと、勤務地や登校先に通う距離が増えてしまう場合(長い距離の通勤・通学による心身的負担、交通費が上昇=賃貸住宅からの引っ越しにより家賃をなくした意味がなくなる)

こうした理由から、相続人が相続した実家に引っ越しを行うべきかどうかについては個別のケースを踏まえた上で問題がないかどうかを検討してから決めるべきです。

活用方法2:賃貸物件として貸し出す

相続した実家を空き家とせず放置もしない方法として、「賃貸物件」にする方法があります。

使わない実家を賃貸物件として第三者に貸し出すことができれば、家賃収入が得られ続けることもメリットです。

一方、賃貸物件とは、運営において知識やノウハウが必要です。

さらに賃貸物件が実際に継続的な利用者を得られるかどうかは、立地条件や建物の状態にも左右されます。

不動産が賃貸物件となることに適しているかどうかは、例えば以下の項目を満たせるかを考えてみることで判断することを勧めます。

賃貸物件となることに適している可動かを判断する項目

  • 最寄り駅まで徒歩10分圏内(都市)
  • 駅や中心地、市街地まで徒歩・自転車圏内(地方)
  • 近隣に大学のような大規模な教育機関がある(1人暮らし顧客むけ)
  • 近隣に「幼稚園・小学校・中学校」がある(家族入居者向け)
  • 外観や内観に著しい老朽化がみられない
  • 水道について、水漏れや詰まりがない
  • 雨漏り、床の沈みなどがない

こうした条件は「どれかひとつだけクリアしていれば入居者が得られる」というものではありません。

例えば、駅から遠いなど立地条件の悪さをカバーするために、建物をリフォームし、水道やトイレなどを最新設備にリニューアルしたとしても、賃貸物件探しを行う側からすればまず検索時に「駅から何分」といった条件で物件を探します。

検索対象にすらならないのであれば、そもそも自分の物件が選ばれる可能性はゼロとなってしまうのです。

さらに実家を貸し出すとしても、それまでにかけた賃貸物件化するためのリフォーム費用が回収できない可能性があります。

せめて「シェアハウス化」により賃貸居住者を複数人呼び込む程度はしないと、月々の家賃収入とは数万円にしかならないためです。

数百万円のリフォーム代を月数万円の家賃収入で補うためには、かなりの年月がかかります。

どうしても実家を賃貸物件化したいのであれば、相当の好条件下であること、賃貸物件の運営についての知識・ノウハウを事前に身に着けなければなりません。

活用方法3:売却する

相続した家について、相続人自身が住むことができず、賃貸物件化も難しい場合は売却が選択肢となります。

相続した実家を売却することにより、所有者である相続人は固定資産税などの支払い義務や、不動産の維持管理義務、空き家所持にともなう放置リスクから解放されます。

さらには、不動産売買という大がかりな取引が起こる結果、まとまった売却益を手にすることも可能です。

実家売却において納得のいく額を手にすることができれば、相続人自身がより条件のよい物件に引っ越すことができる可能性も得られます。

このように、相続した実家は活用したいのか手放したいのかによってその後の対応が変化します。

相続後に空き家になる実家は売却するのが賢明

もし実家を相続して、その後の利活用方法が見当たらず結果的に空き家となってしまうのであれば、売却して手放してしまうことが結果的に最大のメリットを得られる方法であることがあります。

実家とは不動産であるため、不動産仲介に買い手を探してもらう方法か、業者に直接買い取らせる方法のいずれかが考えられます。

そこで以下からは、それぞれの実家売却方法について詳しく解説します。

売却方法1:不動産仲介に依頼する

不動産の売却方法としてメジャーなやり方とは「不動産仲介業者」に売却を依頼することです。

不動産仲介業者に売却を依頼するということは、「(売りたい家を欲しいと思う)個人の買い手を探してもらう」ということを意味します。

不動産仲介業者とは、駅前などに店舗を構え、外観などに地域密着型の物件情報を貼っているような企業です。

さらに不動産大手の中には、インターネット上で仲介を行う例もあります。

各業者は、仲介において相続した家を売却したい売り手側と買い手側の間に立ち、契約の進め方や実際の物件引き渡しなどについてサポートを行うため、この専門家による支援が受けられる点はメリットといえます。

しかしながら仲介とは、不動産会社自身が物件を買い取るわけではなく個人の買い手が現れるまでは売却が成立しないため、以下の点に注意しなければなりません。

不動産仲介に依頼する際に注意すべき点

  • 需要が喚起できないような物件は売れない(駅チカでない・中心地まで遠い・商業施設や医療機関など生活インフラから遠いなど立地条件の悪さがある)
  • 建物の状態がよくないと売れない(築年数が経ちすぎている、水道やガスが通っていない、リフォームをしないと住めない、など)
  • 個人の買い手を探さないといけないため、早くても売却までに3ヶ月、平均的には年単位といった期間を視野に入れる必要がある

このように、仲介によって不動産を売却する方法では簡単に物件が売れるとは限らないのです。

売却方法2:不動産買取業者に買い取ってもらう

利活用の方法がないような実家とはなんらかの瑕疵がある状態かもしれません。

そうした物件とは、仲介では他の物件と比較した際に条件が悪く、売りづらいものです。

瑕疵があるような「訳あり物件」であっても、買い取りに応じる業者が存在します。

それは訳あり物件を専門とする買取業者であり、こうした業者が相手であれば不要な不動産について直接売却することが可能です。

仲介のように、当該不動産を買い取る個人が見つかるまで待つ必要もありません。

専門の買取業者が、このような直接買い取りに応じる理由は、問題がある物件であっても修復や改修などを施し、収益化させる方法に長けているためです。

また、そのように収益化させられる条件を満たした物件を転売する販路などについても、買取業者は確保しています。

このため、訳あり物件専門の買取業者を相手にした不動産取引について、売り手側である相続人が売却後のことについて心配や配慮を行う必要もありません。

実家の相続に備えて今からできる5つのこと

もしまだ相続が起こっておらず、実家を相続していないのであれば、事前に実家にまつわるトラブルを避ける方法が以下のように5つ存在します。

実家の相続にまつわるトラブルを避ける方法

  • 生前贈与を受ける
  • 遺言書を作成する
  • 相続放棄を検討する
  • 活用方法について検討する
  • 相続前に売却する

そこで以下からは、実家の相続にともなうトラブルなどを避けるために、相続以前でも取り組み可能な対策それぞれについて詳しく解説します。

【1】生前贈与を受ける

実家とは、生前贈与が可能です。

生前贈与とは、実際に相続が起きる以前の段階で、財産を贈与してもらうことです。

実家を生前贈与してもらうメリットとして、いざ相続が起こった際に少なくとも実家についての相続トラブルなどは発生しないことがあげられます。

実家については生前贈与を済ませておくことで、相続に関わりない状態にしておくのです。

生前贈与において、実家のなどあくまで「一部の財産」のみを譲られるたのであれば、その後確実に起こる相続時に「相続税」の総額を安くできるというメリットも得られます。

一方、贈与税とは年間110万円までの贈与においては控除されるため、実家以外にも毎年110万円以内の生前贈与を行っていれば、贈与税の発生も最低限に抑えることが可能です。

【2】遺言書を作成する

被相続人が存命の間に「遺言書」を作成しておくことで、実家の相続にともなうトラブルを回避しやすくなります。

相続とは、原則として遺言書にしたがって進められます。

遺言書が存在すれば、相続人同士による「遺産分割協議」をも回避可能です。

そこで、遺言書には「実家を相続する人物」を必ず1人明記するようにすべきといえます。

相続人がはっきりしていれば、遺産分割協議で実家の名義人を決めなくてもよく、以後の不動産管理上手間のかかる「共有持分化」のような状態も避けられるためです。

【3】相続放棄を検討する

実家とは、そもそも「相続をしない」という方法を選ぶことができます。

それは「相続放棄」をすることであり、相続放棄を行えば遺産の分割など実家以外の遺産に関する相続人同士のトラブルに巻き込まれることもありません。

さらに実家を「共有名義」で所有してしまう危険もなくなります。

しかしながら、相続放棄とは「すべての遺産について相続権を手放すこと」です。

つまり相続放棄を行うと、いわゆる「プラスの財産」といわれる現金や預貯金、有価証券なども相続できないことになります。

また、借金や債務のようなマイナスの財産も相続する必要はなくなります。

つまり相続放棄とは、どうしても継承したい財産がある場合には選びづらいものです。

どうしても継承すべき財産がある場合、生前の被相続人に対して、一部の財産を贈与してもらうといった手段を取るしかありません。

【4】活用方法について検討する

相続が起きてから「使いみちのない実家」についての検討を始めても遅いため、「相続が起きる前」から実家の利活用について考えておきましょう。

相続されるとみなされる財産の中に、あらかじめ実家のような不動産が含まれているのであれば、相続後に空き家化してしまうリスクがあります。

このため相続する不動産について、かねてより活用の目途を立てておくことにより、相続後に「不動産の放置」が起きたり、相続人に対して固定資産税や管理費用を発生させ続ける「負の遺産化」させてしまうことも避けることができます。

空き家化が避けられれば、おのずと管理義務に関わる責任問題からも距離をおける可能性が高まるのです。

相続の内訳として不動産がある場合は、ぜひ「相続以後の不動産についての活用方法」についての協議を済ませておきましょう。

【5】相続前に売却する

被相続人の生前段階で、実家のような不動産が売却できたのであれば、不動産は現金化が可能です。

もし相続が発生した際に遺産分割について決めなければならないのであれば、不動産という形ではなく分割しやすい現金の状態であることにより、遺産分割協議がスムーズに進みます。

不動産の状態のままで遺産相続が起きた場合、誰が相続するかといった内容で遺族間が揉める可能性もあるのです。

ただし実家を処分する場合は、実家に住んでいる被相続人や親族など居住者たちが、実家売却後も住み続けられる住居を確保できていなければなりません。

そうした場合には、不動産の売却方法の中にある「リースバック」という方法を選ぶことができます。

リースバックとは、売却した家に住んでいた居住者の転居先が見つからない場合に、「賃貸」の状態で住み続けられる売却方法です。

リースバックであれば、相続後にトラブルを招きかねない不動産を処分できた上に、居住者に強制的な環境変化を強いることもないため、検討の余地がある方法であるといえます。

相続する前に今後の活用方法について決めておくことが一番大切!

今回は、不動産である実家を相続する際にしてはいけないことについて解説しました。

不動産とは、所有しているだけで維持管理の義務が発生し、怠ってしまうと行政処分を受けたり、空き家が周囲に迷惑をかけるようなトラブルの元となる可能性があるのです。

さらに不動産とは、所有しているだけで固定資産税や都市計画税の支払い義務が毎年発生するものです。

もし相続した実家などについて利用の予定がないのであれば、税金や管理費などを永続的に支出することになってしまいます。

そこで、実家とは相続以前に「どのように活用するか」についての指針を決めておかなければなりません。

実家の活用方法が決まっているのであれば、実際に相続が起こってからもおのずと維持管理や各種支払いなどがスムーズに進められるのです。

相続した実家とは、相続人自身が住み続けたり、賃貸物件化するといった方法で所有し続けることが考えられます。

しかしながら管理費が必要なことは放置時と同様であったり、賃貸物件化の場合は運営のために必要な専門知識やノウハウが求められます。

実家の相続にまつわる負担から解放される方法としては、そもそも相続しないという相続放棄や、相続前後の段階で実家を売却してしまうという手段があります。

相続以後の実家の売却については、早まってしまうと相続税の減税措置が受けられないこともあるため、相続の状況や実家の状態と照らし合わせて、法律専門家などに相談してみてください。

実家の売却は、訳あり物件専門の買取業者に依頼するとスムーズです。

専門の買取業者であれば、仲介業者に依頼したときのように売り手が登場するのを待つ必要はなく、売却まで最短数日といったスピード感を持って進めることも可能です。

もし実家の相続で困ることがあったら、本記事を参照して上手に相続や実家と付き合う方法を検討してみてください。

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