袋地を売却する5つの方法。確実に売るためには何をすればいいの?

袋地とは、住んでみれば「かなり不便な物件」であることがわかります。

まず出入りに他人の土地を通ったりせねばならなかったり、場合によっては通行料が必要となるなど、継続して袋地に住みには多大なストレスがかかります。

そんな袋地であれば手放したり、売却したいと考える方も少なくありません。

そこで今回は、袋地が持っているデメリットなどを解説しつつ、袋地を売却により手放すベストな方法について紹介します。

ほか袋地の利活用方法などについても細かく解説しているため、持て余している袋地に心当たりがある方はぜひ参考にしてみてください。

袋地は他の土地よりも売却するのが難しい

理由1:建て替えできない

袋地とは「接道義務」を満たさない土地です。

接道義務を果たしていない土地とは「再建築不可物件」です。

つまり建て替えができません。

袋地にある建物を一度壊して更地にしてしまった場合、もう建物を建てられないのです。

火事や地震など災害による家屋倒壊でも同様です。

つまり建物がなくなった袋地には、以後住めなくなります。

再建築ができず、万が一の場合は継続しての居住が不可能となる袋地は売却しづらいものです。

理由2:日当たりや風通しが悪い

袋地は、周囲を他人の土地(囲繞地)に囲まれています。

このため、常に袋地は他の建物の陰に位置することになります。

影であるということは、日が当たらないのです。

近年、太陽の快眠効果が叫ばれていたり、洗濯物の乾きなどにも影響を及ぼすこともあり、日照は生活において大切なファクターとなっています。

さらには周囲が囲繞地であるため、風通しも悪くなります。

梅雨の時期であれば、相当の湿気を覚悟せねばなりません。

湿気はカビを呼び込みます。

このように、袋地には生活環境における問題が多数存在します。

生活の質が下がる土地は、売却しづらくなりがちです。

理由3:住宅ローンが通りにくい

住宅ローンとは銀行が融資します。

銀行は住宅ローンの申請した方を審査する際、その土地に注目します。

銀行の土地査定では、袋地は「建て替えができない土地」として扱われるのです。

つまり、袋地は再建築不可物件となり、この場合「違法物件」とみなされてしまいます。

違法物件の評価が下ると、通常の物件よりも担保としての価値が低く算定されます。

この場合「担保として価値のない袋地への融資は不可能」という結果が下りがちなのです。

袋地を買いたい人も住宅ローンを組みづらいことになり、袋地購入のハードルも高くなります。

したがって袋地の購入には、現金一括での支払いが求められます。

しかしながら通常の土地ならまだしも、とりわけ袋地を現金一括で買いたいというケースは極めて稀といえます。

理由4:出入りするために隣地を利用しなければならない

袋地は、出入りに一手間かかります。

袋地の所有者がその土地から出て、外に行き来したい場合は、必ずいつも「他人の敷地(囲繞地)」を通ることになります。

通常、他人が所有する土地を歩くことは不法侵入扱いになるものの、袋地の住人は当該行為をしなければ出入りができません。

そのため特例的に、「囲繞地通行権」という、他人の土地を通って自己の持つ袋地に出入りしてよい権利が袋地の所有者には与えられています。

この行為には、一般的に金銭の支払いが求められます。

逆にいえば、囲繞地を持っている人は、袋地にいる人が出入りするために自分の土地を通行することを咎めたり拒絶することができないのです。

本項目を俯瞰すると、袋地の住人も隣人も、「袋地に誰かが住む」こと自体がリスクであるといえます。

常に敷地内に他人が出入りする、通行料を払わないと普通の生活もできない、など袋地にまつわる避けようがない厄介事は生活の質を下げます。

本項目だけでも、袋地を購入したい人はなかなか現れないことが予想できるはずです。

理由5:緊急車両が通行できない

袋地は接道義務を果たしておらず、緊急車両のような社会インフラをもたらしてくれる車両であろうとも通行できません。

つまり火災が起きたとしても消防車が、緊急を要する病人がいたとしても救急車がすぐに救出することができないのです。

それぞれ、人命が助かるか助からないかといったリスクに直結しています。

よほどの便益がないのであれば、このような土地が買われることはないといえます。

理由6:空き巣に狙われやすい

袋地は、周囲を別の建物に囲まれています。

つまり、袋地は「他の場所から見えづらい」土地であるともいえます。

他の場所から死角となった場所は、犯罪の発生源となりやすくなるのです。

つまり、空き巣が狙う絶好のエリアとなります。

プライバシーを守ろうとばかりに高い樹木や塀を建ててしまえば、より狙われやすくなるのです。

犯罪発生源となりやすい場所が好んで購入される可能性は極めて低いといえます。

理由7:給排水設備のメンテナンスには隣地の許可を取らなければならない

袋地の特徴として、「給排水設備の設置箇所が特殊」というものが挙げられます。

袋地の給排水設備は、隣地に埋められていることが多いのです。

つまり、水道などに何らかのトラブルがあったり、定期点検を行いたい場合、隣地に許可をとらなければメンテナンスが行えません。

さらには給水に関わる大きな工事が必要な場合は、騒音や振動などが起こることも伝えねばならず、許可が得づらいものです。

仮に許可が得られても、多大な迷惑を隣地にかけることになります。

袋地を獲得するということは、こういったストレスと真正面から向き合わねばならないことを意味します。

理由8:リフォームや解体にかかる費用が高い

袋地は再建築などが不可ではあるもののリフォームは可能な場合が多いです。

しかしながらそのリフォームをするにも、土地自体が道路に面しておらず、建設業者などが出入りしづらく、出入り通路が狭い上に他人の土地であるため、資材や道具を出し入れしようとするとトラブルに発展しがちです。

通常のリフォームであれば大きな重機や車両などを用いて工数を少なくできるところが、袋地の場合は実現できないため必然的に人件費などがかさばります。

最終的なリフォーム代金は、相場よりも膨れ上がってしまうことでしょう。

さらに、工数が増えれば工期も長引き、騒音や振動が周囲に迷惑をかけ続けます。

リフォームに相場以上の費用がかかる土地は、売れづらくなります。

袋地の売却価格は同じエリアの土地の3割程度になる

袋地は、その不便な特性から売却しづらいため、売却額の指標となる土地評価も下がりがちです。

袋地の売却価格を、同地域における「袋地ではない(接道義務を果たしている土地など)」と比較すると、価格は3割ほどとなります。

袋地は普通の土地に比べて、半分以下の価値しかないとされてしまうのです。

袋地の評価額が下がる理由は、土地評価額の算出方法において、袋地の不便な箇所についての大きな補正がかかるためです。

袋地を売却する5つの方法!確実に売るためには何をすればいいの?

袋地は売却しづらいに足る理由がありました。

さらに、袋地における土地の評価額は通常の半分以下とすらなってしまいます。

それでも袋地を売却したい場合には、確実に売る方法を選ばなければなりません。

袋地を確実に売却する方法

  • 方法1:隣地の所有者に売却する
  • 方法2:隣地から一部の土地を買い取る
  • 方法3:隣地の所有者と土地を等価交換する
  • 方法4:位置指定道路の申請をする
  • 方法5:専門の買取業者に売却する

そこで以下からは、袋地を売却するための5つの方法についてそれぞれ詳しく解説します。

方法1:隣地の所有者に売却する

そのままだと「再建築不可」の物件であるため売りづらい袋地ではあるものの、接道義務を果たした土地を持っている隣人の所有物となったのであれば土地が結合し、再建築可能となります。

このため、袋地は隣地の所有者相手であれば売却できる可能性が高いです。

隣地が袋地を買い取るメリットとしては、単純に土地の面積が広がるというものもあります。

方法2:隣地から一部の土地を買い取る

袋地を、接道義務を果たしている隣地の所有者に買い取ってもらうのと同様のメリットは、袋地の所有者が接道義務を果たしている隣地を買い取る例でも実現します。

袋地の持ち主が隣地を買うことで接道義務を果たし、その土地は再建築不可ではなくなります。

さらに、持っている土地の面積が拡大します。

土地の購入は隣地の一部だけでもよいです。

その理由は、袋地を「旗竿地」にできれば接道義務が果たせるため、交渉により旗竿地にするためのスペースだけ確保すれば良いためです。

とはいえトラブル帽子のためいずれの場合でも、当人同士が完全に合意してから話を進めなければなりません。

方法3:隣地の所有者と土地を等価交換する

もし袋地の所有者が、持っている土地の一部と「得ることで自分の袋地を旗竿地にできる隣地の土地」を交換すれば、手に入れた土地により接道義務を果たすことができ、もとの土地が袋地ではなくなります。

この等価交換も、袋地を袋地でなくすことができ、土地の価値を上げられる手段です。

いずれの方法でも、再建築不可・住宅ローンの申請難・囲繞地通行権に関わる雑事が解消され、袋地の住人および隣地の住人にとってはストレスフリーな生活ができるようになります。

このような「袋地を旗竿地にするための交渉」には、交渉代行の専門業者などに相談することが効率的です。

方法4:位置指定道路の申請をする

袋地を「建物を建設するための土地」と捉えない考え方もあり、そちらの方法により売却しやすくなることがあります。

それは袋地を「位置指定道路」として指定されるよう申請するという方法です。

位置指定道路とは、特定の行政庁から「土地の当該部分が道路」と認定された状態の幅員4m以上の私道です。

この申請を通りやすくするためには、接道義務を満たすため隣地などの借り受けたり買い取ったりします。

土地内に位置指定道路が認定されてる土地は袋地ではなくなり、再建築などが可能となります。

一方、位置指定道路の申請という行為は専門業者でも手続きが困難とされているというリスクがある点に注意しましょう。

方法5:専門の買取業者に売却する

袋地は訳あり物件ではあるものの、そういった土地の売買を専門とする業者が存在します。

そのような専門の買取業者に売買を委託すれば、袋地でも簡単に売却できることがあります。

袋地でも簡単に売れる理由は、専門の買取業者が訳あり物件売買に関する知識やノウハウを有しているためです。

したがって、条件によっては袋地でも通常の土地の相場よりも高く販売できることがあります。

一般の不動産業者や仲介業者では袋地の売却時に、リスクがある物件、法律的な条件を満たしていない物件として扱われてしまいます。

効率的に袋地を売りたい、袋地を高く売りたいのであれば、専門の買取業者への依頼が一番早いとも捉えられます。

どうしても売れない袋地の活用方法

もし袋地が売却できないのであれば、別の方法で売却益と同額の金銭や生活を得るといった手段もあります。

それは袋地の土地活用です。

土地を放置するのではなく、何らかの形で収益化させることが重要です。

例えば、以下のような袋地の活用方法があります。

袋地の活用方法

  • 活用方法1:リフォームして住み続ける
  • 活用方法2:賃貸物件として活用する
  • 活用方法3:バイク置き場として使う
  • 活用方法4:物置として使う

以下からは、袋地の活用方法それぞれについてより詳しく解説します。

その1:リフォームして住み続ける

袋地は建て替え不可能なものの、リフォーム・リノベーションができます。

つまり、袋地でも住みやすくすることができれば、そのまま普通の住宅と同じように快適に住み続けられるのです。

袋地で快適に暮らすためにはリフォームが必要となり、袋地のリフォームは車両や重機などの持ち込みが不可能であるケースが多く、工数や工期が増えてしまい費用がかさみます。

そういったリフォーム費用と今後の生活を天秤にかけ、どのような手段をとるべきか検討しなければなりません。

その2:賃貸物件として活用する

袋地に人が住める住宅が建っている場合、リフォームやリノベーションを施すことで魅力的な賃貸物件となる可能性があります。

賃貸物件は家賃収入が期待できます。

家賃収入があれば、今後の方針における選択肢が広がったり、本来得られたかも知れない売却益に充てることが可能です。

しかしながら賃貸物件とは、運用の上で確実にマネタイズするための専門知識や方法論が必要になります。

もし仮に、当該エリアに賃貸物件の需要が見込めない場合はリフォーム費用などが全て無駄になります。

その土地に賃貸物件としての需要が見込める展望が得られるかどうかなど、慎重に判断しなければなりません。

その3:バイク置き場として使う

袋地の土地活用方法として、賃貸物件化と同様にバイク置き場や駐輪場として利用することが挙げられます。

通行がしづらい袋地でも、バイクや自転車であれば通行が容易なことがあるのです。

乗り物置き場の利用者が増えれば、家賃収入と同様に収益が期待できます。

乗り物置き場も賃貸物件と同様、赤字リスクがあるため、周囲環境など需要に関する調査をしなければなりません。

また賃貸物件を始めるのとやはり同じく、事前に専門知識を持たなければなりません。

その4:物置として使う

物置やトランクルームは、保管したい物品さえ運び込めればどんな土地でも始められます。

つまり袋地がそれなりの通行スペースを確保できているのであれば、物置やトランクルームとしての利活用についてのハードルは低いといえます。

一方物置やトランクルームについては先行投資として、「コンテナ」を購入し、当該土地に運び込まねばなりません。

とはいえ、コンテナはメンテナンスなどのランニングコストも低く他策よりも投資額は少なく見積もれることでしょう。

物置やトランクルームを運用するにあたっても、保管場所としての需要がその土地にあるかどうかの事前調査は必要です。

例えば周囲に海があり、夏場だけサーフィンをする方が多い土地であれば、オフシーズンにおけるサーフボードなどの保管需要が高いはずです。

物置やトランクルームの参入ハードルが低かったとしても、赤字を出しては意味がないため慎重に検討してください。

手間や時間をかけずに売却したいなら専門の買取業者に依頼するのが得策!

今回は、袋地の売却方法や、どうしても売却できない場合の利活用について解説しました。

再建築不可など悪い条件がある袋地ではあるものの、一定の施策を施せば好条件での売買が可能となったり、特殊な利活用ができるようになります。

何をおいても早く売却したい場合には、訳あり物件などの専門業者に依頼することもできます。

ぜひ今後の土地利用の展望をじっくり考えた上で、最適な手段を選択してください。

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