我が家の旗竿地の固定資産税はいくら?安くなることはある?
旗竿地は、土地としての利活用方法が難しく、放置してしまいがちです。
しかしながら、土地や家屋は所有しているだけで固定資産税がかかります。
旗竿地の固定資産税とはどのように決まっているのでしょうか。
また、旗竿地の固定資産税を払いたくない場合はどうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、旗竿地を抱えた方の不安を解消できるように、旗竿地の土地評価方法や売却方法などについて解説します。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. 土地や家屋は所有しているだけで固定資産税が発生する
- 1.1. 市街化区域内にある土地や家屋には都市計画税も併せて発生する
- 2. 固定資産税は資産価値で決まる
- 2.1. 旗竿地の固定資産税は低くなりやすい
- 3. 旗竿地の固定資産税の税額を調べる方法
- 3.1. <1>課税明細書を確認する
- 3.2. <2>固定資産の課税標準額を調べて算出する
- 3.2.1. 課税明細書を確認する
- 3.2.2. 固定資産課税台帳を閲覧する
- 3.2.3. 固定資産評価額等証明書を取得する
- 4. 旗竿地の固定資産税の算出方法
- 5. 旗竿地の固定資産税が安くなることはある?
- 5.1. 家屋の評価額が20万円未満の場合、家屋部分は非課税となる
- 5.2. 住宅用地の特例により税額が安くなる
- 6. 固定資産税を払い続けることに不安を感じているなら売却するのも1つの方法!
- 6.1. ただし、旗竿地は売れにくい!売却するなら専門の買取業者がおすすめ
- 7. 固定資産税は旗竿地を所有している限り発生する!負担に感じているなら売却を視野に入れよう
土地や家屋は所有しているだけで固定資産税が発生する
土地・家屋を所有していると、たとえ一切利活用していなくてもそれだけで毎年「固定資産税」がかかるものの、特集状況下では非課税となることもあります。
固定資産税は、特例の扱いを受けたり、土地の活用方法により減額されることもあります。
そのため、自己のケースがどういった固定資産税の適用を受けるかといった状況把握が必要です。
市街化区域内にある土地や家屋には都市計画税も併せて発生する
およそ10年以内をめどに、計画的かつ優先的な市街化が予定されている土地を「市街化区域」といいます。
この市街化区域は、工業地以外の宅地などを許可なく建設できるといったメリットがあるものの、各自治体による土地区画整理事業を遂行する費用捻出のため、課税されることになります。
その税金が都市計画税です。
都市計画税とは、市街化区域内に存在する土地および家屋に対して課税するもので
す。
つまり、自己の土地や家屋が市街化区域内にある場合、固定資産税だけでなく都市計画税も同時に発生する可能性があります。
また都市計画税の課税対象地は市街化区域だけでなく、「市街化調整区域のうち条例で定める区域」及び「区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)のうち条例で定める区域」も該当するため注意しましょう。
固定資産税は資産価値で決まる
土地や家屋などの固定資産を所有していると発生する固定資産税は、所有している土地、家屋など資産の評価額により決定されます。
この評価額とは「固定資産税評価額」とよばれ、固定資産税額を算出するための基準として用いられるものです。
固定資産税評価額は、固定資産税路線価ともよばれることがあり、相続税算出における路線価とも異なるものです。
固定資産税評価額とは、その土地や家屋を購入した時の値段、販売価格とは関係なく算出されます。
土地や家屋の所有により発生する固定資産税額の計算は、固定資産税評価額によって決定されたその土地や家屋の資産価値に「税率」をかけることで算出します。
つまり、固定資産税評価額が判明すれば、固定資産税額もわかるのです。
旗竿地の固定資産税は低くなりやすい
旗竿地は不動産市場的に土地の価格が低く評価されがちです。
そのため、旗竿地における固定資産税や都市計画税、および路線価も低くなりがちであり、一般的には通常の整形地の3割ほど安くなるとされています。
固定資産税、都市計画税は毎年かかる費用ともいえるため、税額が安いことはコストカットというメリットを意味します。
旗竿地の固定資産税の税額を調べる方法
旗竿地は土地評価額が低くなる、固定資産税とは固定資産税評価額により算出されるとはわかったものの、それだけでは旗竿地の固定資産税の計算方法までは判明しません。
そこで以下からは、旗竿地の固定資産税額を知るための方法について解説します。
<1>課税明細書を確認する
毎年、役所など自治体からは「納税通知書」が送られてきます。
納税通知書には「課税明細書」が添付されています。
固定資産税評価額を知りたい場合は、この課税明細書内にある「価格」欄を見てください。
価格欄には、固定資産税評価額の項目があります。
こちらの内容により、旗竿地の固定資産税額が算出できるのです。
<2>固定資産の課税標準額を調べて算出する
固定資産税評価額とは、税額の算出に置いて「課税標準額」ともよばれます。
この課税標準額と税率を調べることで、個人でも旗竿地の固定資産税額を算出することが可能です。
以下からは、課税標準額を知るための手順について解説します。
課税明細書を確認する
自治体から送られる「納税通知書」を確認します。
納税通知書には課税明細書および固定資産税課税明細書が添付されるので、課税標準額を知りたい物件の項目を見つけてください。
課税明細書などをなくしてしまったときは、以降に解説する「固定資産評価額等証明書」の取得で課税標準額を知ることができます。
固定資産課税台帳を閲覧する
役所では、「固定資産課税台帳」の閲覧が可能です。
固定資産課税台帳とは、「固定資産税の課税対象となる土地、家屋等」についての情報が記載された台帳です。
市町村長が作成することになるため、各自治体に設置されているのです。
固定資産課税台帳を閲覧すると、固定資産課税対象の土地家屋などにおける所在地、所有者、評価額などの情報を知ることができます。
次に解説する「固定資産評価額等証明書」の取得と同じく、役所など自治体に足を運ばなければならないという手間はあるものの、その場で知りたい情報が得られるというメリットがあります。
一方、閲覧に手数料がかかったり、閲覧期間を制限している自治体もあるとされているため注意してください。
固定資産評価額等証明書を取得する
課税標準額を知るためには、固定資産評価額等証明書を手に入れる方法も挙げられます。
固定資産評価額等証明書とは、自治体が管理する固定資産課税台帳における固定資産評価額を転記した書類です。
固定資産評価額等証明書に記載された内容は、各市区町村が証明するその年の固定資産評価額をとして保証されます。
固定資産評価額等証明書には、以下の内容が記されています。
固定資産評価額証明書に書かれている内容
- 所有者:固定資産を所有する者の名前
- 所在地:固定資産がある場所
- 地積(土地の面積)
- 地目
- 持分(分子と分母)
- 家屋番号
- 建物番号
- 床面積
- 構造
- 規模
- 種類
- 敷地権(区分所有建物の場合)
- 固定資産税評価額
- 課税標準額(狭小宅地や新築建物など「特例」が適用される場合は特例適用「後」の金額)
旗竿地の固定資産税の算出方法
土地や家屋の所有により発生する「固定資産税額」は、固定資産税評価額によって決定されたその土地や家屋の資産価値に「税率」をかけることで算出でき、旗竿地においても同様です。
つまり、旗竿地の固定資産税額算出においては、旗竿地の土地評価をどのように計算するかがポイントです。
まずひとつは通常の土地として旗竿地の評価を計算する方法で、以下の計算方法で算出します。
地積 × 路線価× 奥行価格補正率
地積とは土地の面積、路線価とは路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額です。
奥行価格補正率とは、その宅地が持つ「奥行の長さ」に応じて掛けられる補正率です。
旗竿地には極端に長かったり短い奥行きが存在することがあり、用途が限られるため価値が下がります。
「奥行価格補正率表」を利用して、補正率を決定するのです。
奥行きの長さが極端に短い場合・長い場合は評価が下がりやすく、奥行価格補正率が大きくなる傾向にあります。
一方、整形地から旗竿地以外の部分を差し引いて評価額を計算する方法は以下の通りです。
評価額計算方法
- 地積 × 路線価 × 奥行価格補正率(全体・旗竿地を含む長方形の整形地として計算)
- 土地全体のうち、旗竿地以外の隣地部分「かげ地」の評価額を上記と同様の式で計算する
- 1から2を差し引く
※かげ地の奥行価格補正率が1.00未満となる場合、1.00として計算
この時、整形地の奥行価格補正率が1.00未満の場合は、隣接する整形地の奥行価格補正率も同値として計算します。
このように計算は複雑であるため、不動産会社の査定を受けることを推奨します。
旗竿地の土地評価額が算出されたら、税率を掛け算すれば固定資産税額が算出できます。
あらかじめ旗竿地の固定資産税評価額が判明している場合、そちらの額面に税率を掛け算して固定資産税額を算出しましょう。
旗竿地の固定資産税が安くなることはある?
旗竿地は住宅が建てづらかったり、解体もしづらかったり、そもそも間口などの要件が最新の建築基準法に適合していない場合があり、土地自体の評価額が低くなりがちです。
その場合、固定資産税も抑えられた額となります。
つまり、旗竿地においては年間に必ず発生する固定資産税というコストをカットしやすくなるといえるのです。
家屋の評価額が20万円未満の場合、家屋部分は非課税となる
税金には「免税点」が存在します。
免税点とは、その額に満たないのであれば課税が発生しないという基準値です。
家屋の場合、課税されるのは評価額が20万円を超えたときになります。
つまり家屋の評価額が19万9999円だった場合、家屋部分の固定資産税が非課税となるのです。
一方、土地の免税点は30万円なので注意してください。
住宅用地の特例により税額が安くなる
住宅用地には、固定資産税の軽減措置という特例が適用されます。
住宅用地であるというだけで、課税額は3分の1に減額されます。
また、200㎡以下の小規模住宅用地においては、課税額が6分の1まで減額されるのです。
注意点として、旗竿地を解体してしまうと住宅用地と見なされなくなってしまい、住宅用地の特例が受けられないという決まりがあるため気をつけてください。
本特例がない場合、固定資産税が急増してしまいます。
固定資産税を払い続けることに不安を感じているなら売却するのも1つの方法!
形がいびつなため売れにくいとされる旗竿地ではあるものの、手放す方法はそこまで難しくありません。
売却にこだわらなければ寄付や隣人との交渉で処分することも可能であり、旗竿地を手放すケースとしてスタンダードです。
しかしながら、売却にこだわるのであれば必ず以下のように専門の業者を通すようにしましょう。
業者の手が必要な理由は、周囲との交渉や土地に生えている植物などの撤去方法といった細かい部分までの取り決めをしなければならず、不動産売買に慣れていないと取りこぼしが発生する恐れがあるためです。
ただし、旗竿地は売れにくい!売却するなら専門の買取業者がおすすめ
売れにくいイメージが先行しがちな旗竿地ではあるものの、そういった売買が難しい不動産専門の買取業者が存在します。
そのため、独自のスキルやノウハウを持った専門業者に旗竿地の売却を依頼すれば、現行の顧客に対して最適な仲介がなされ、旗竿地が売却できる可能性が高まります。
専門の買取業者を探す場合は、その業者の実績を確認しましょう。
あるいは実際に相談したり、査定を受けたりしたときなどに担当可能な物件のジャンルについて確かめてみてください。
固定資産税は旗竿地を所有している限り発生する!負担に感じているなら売却を視野に入れよう
今回は、旗竿地の固定資産税について解説しました。
旗竿地はその地形の特徴から、納税面で優遇が受けられたりそもそもの課税額が低いこともありえます。
しかしながら、旗竿地をいつまでも所有していては、それだけの固定資産税を支払わなければなりません。
固定資産税の支払いが難しい場合、旗竿地を手放す行為はスマートな選択です。
たとえ旗竿地であっても、売却が得意な専門業者は存在します。
旗竿地の売却がしたい場合、専門業者への相談を考えてみてください。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。