田舎の土地を相続放棄したい!相続を避けるための選択肢や相続放棄をせず手放す方法

遠い親戚が亡くなってしまったりして、聞いたこともないような地方の土地などを相続するケースが増えています。

土地はさまざまな活用方法があるものの、遠くては持て余してしまうことがあります。

また、土地や家屋とは、定期的に管理しなければ危険な不動産と判断され、国や自治体から強制執行を受けたり、固定資産税が数倍に跳ね上がると行ったリスクも抱えているのです。

管理や活用ができず田舎の土地が不要な場合、相続しない方法はあるのでしょうか。

そこで今回は、田舎の土地でも相続放棄などにより手放したり、その他の売却や仲介、寄付や制度活用といった「田舎の土地についての処分方法」について、網羅的に解説します。

目次

田舎の土地を相続放棄したい時はどうすればいい?相続を避けるための2つの選択肢

相続により、いらない田舎の土地の所有者になってしまうような時、土地の所有者になってしまうことを避けるために「他の相続人に任せる」「相続放棄する」といった方法が選べます。

そこで以下からは、それぞれの「相続を避ける方法」について詳しく解説します。

他の相続人に相続してもらう

田舎の土地を相続する予定がある場合、他の相続人と「遺産分割協議」を行うことで、当該不動産を自分ではない第三者、つまり他の相続人に任せられることがあります。

遺産分割協議とは、「相続が発生した際、『共同相続人』の全員が、遺産の分割について話し合いを行い、最終的に合意を目指すものです。

遺産分割協議においては、 「法定相続分」および「遺言の内容」とは違う割合で相続の分量を決めることもできます。

田舎の土地が山林などであり、どうしても活用方法がなく持て余してしまうと思うのであれば、ほかの相続人に相続を任せられるかどうかを検討してください。

遺産分割協議で相続人が決定されない場合は、相続放棄などに移ることになります。

相続放棄をする

いらない不動産がある場合、「相続放棄」を行うことで、その所有権自体を引き継がないという選択が可能です。

ただし、相続放棄を行う際には以下の注意点に気をつけて下さい。

相続放棄をする際の注意点

  • 相続放棄はプラスの財産よりもマイナスの財産の方が大きいときに行う
  • 相続放棄は3ヶ月以内に手続きを行う必要がある

それぞれの項目について、以下からさらに詳しく解説します。

相続放棄はプラスの財産よりもマイナスの財産の方が大きいときに行う

今回、話題にしている田舎の土地のように「いらない不動産」がある・ないにかかわらず、相続放棄とは「プラスの財産よりも、マイナスの財産が多い場合」に行うものです。

この理由は、相続放棄を行うと不要な不動産といった遺産だけでなく、「預貯金」のようなダイレクトにメリットがある財産も相続できなくなるためです。

このため例えば、亡くなった被相続人が大きな借金を負っていた場合であれば相続放棄をする意義があるといえます。

あるいは、被相続人と相続人が疎遠であり、そもそもかかわり合いを持ちたくないといった場合に相続放棄が選ばれることがあります。

つまり、もし田舎の土地が不必要な空き家であったり、手の施しようがない山林だったりする場合で、他に大きなプラスの財産が相続できそうにない場合は相続放棄を選ぶメリットがあるといえるのです。

いらない不動産や山林などを相続した場合、固定資産税などの維持費や管理費が発生します。

こういった諸経費を預貯金などの遺産で補える見込みがあれば、相続する価値があるといえるものの、そういった後ろ盾がない状態なのであれば、相続放棄を選ぶべきです。

相続放棄は3ヶ月以内に手続きを行う必要がある

相続放棄を行いたい場合、リミットがあることを知っておかなければなりません。

相続放棄を行うには、決められた期間内に手続きをしなければならないのです。

それは民法第915条に定められている「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」というものです。

つまり相続放棄を行う場合、相続人は相続開始が起きたことを知ってから3ヶ月以内に当該手続きを行わなければなりません。

当規定には例外があるものの、この3ヶ月という期限が原則であるため気をつけてください。

相続放棄が可能な期限を過ぎると、「単純承認」が行われたことになります。

単純承認とは「マイナスの財産も含め、すべての遺産について相続する」という効果があります。

一方、期限内に手続きを行うことで「相続する財産がマイナスにならない」ような相続である「限定承認」も行うことができるため検討してみてください。

田舎の土地を相続放棄するメリット

相続放棄することによって、田舎の土地を手放すことができます。

土地を手放すとは、土地にかかわるあらゆることからも解放されるといったメリットがあります。

相続放棄による、田舎の土地を手放すことでのメリットとは以下の通りです。

田舎の土地を相続放棄するメリット

  • 管理義務から解放される
  • 固定資産税を支払う必要がない
  • 管理維持費などのコストがかからない

さらに以下からは、それぞれの相続放棄によるメリットについて詳しく解説します。

メリット1:管理義務から解放される

田舎の土地とは不動産であり、管理を適切に行わねばなりません。

誰も住んでいない家屋でも、管理をきちんと行わないと後々「特定空き家」と認定されてしまい、最大6倍以上の固定資産税が課税されたり、数十万円の過料を課せられてしまいます。

特定空き家とは、管理が行き届いていないことで保安上危険を呼び込んだり、有害な影響を及ぼすと認められた家屋に対し、自治体が特定空き家に指定するという制度です。

家屋の管理は、定期的に行わなければなりません。

たとえ地元から遠い場所の不動産であっても、自分が所有者であるのであれば通ってでも草取りをしたり、水道が適切に流れているか、腐敗がないかなどの管理しなければならないのです。

管理義務は代行も可能です。

しかしながら、代行の場合は金銭的コストが発生します。

自ら空き家の管理を行えば、金銭的コストが発生しないものの移動と管理業務による時間敵コストが起こり、移動には交通費という金銭的コストが結果的にかかります。

そこで相続放棄を行うことで、こういった管理義務の一切がなくなるのです。

注意点として、相続放棄管理義務の対象者には条件があることに気をつけましょう。

当該空き地について、「現に占有している相続人」であれば相続放棄後も管理責任が生じます。

一方、当該空き家を「現に占有している実態がない相続人」であれば、管理責任が移行しません。

相続対象の家屋について「占有している状態」とは、「事実上、支配や管理をしている」状態です。

このためもし、相続人自身が被相続人の自宅に「被相続人と一緒に暮らしていた場合」は、当該家屋について「現に占有」していたとみなされます。

こういったケースでは、相続人が相続放棄後も管理する必要があるのです。

メリット2:固定資産税を支払う必要がない

たとえ一切使っていない空き家や何も建っていない土地でも、所有している事実があるだけで固定資産税が課せられます。

特に何も建っていない更地は、固定資産税が住宅地よりもかかります。

そこで相続放棄を行うことで、こういった固定資産税や都市計画税を免れることができるのです。

固定資産税とは、市町村税や都税として納めなければならない税金です。

具体的な額を含めた固定資産税の確認方法は、毎年春ごろに届く納税通知書の中にある課税明細書に記載されている額を見ることが早くなります。

また固定資産税の計算方法とは、以下の通りです。

固定資産税の算出方法

固定資産税=固定資産税の課税標準額×1.4%(標準税率)

メリット3:管理維持費などのコストがかからない

相続放棄を行うことで、当該空き家など不動産にかかる管理維持費を負担しなくて済みます。

相続放棄した場合、「相続権」が別の相続人(次順位の相続人)へ移行します。

一方、相続放棄をする相続人が、土地を現に占有している場合は注意してください。

当該空き家や土地について、相続人が「現に占有している相続人」である場合、相続放棄後も「管理責任」が生じます。

相続対象の家屋について「占有している状態」とは、「事実上、支配や管理をしている」状態です。

例えば、亡くなった被相続人と相続人自身が当該不動産でともに住んでいた場合などは、当該家屋について「現に占有」していたとみなされ管理責任が生じます。

田舎の土地を相続放棄するデメリット

田舎の土地について相続放棄を行う上では、メリットだけでなく以下のようにデメリットも生じます。

田舎の土地を相続放棄するデメリット

  • プラスの遺産を相続できなくなる
  • 後順位の相続人に迷惑がかかる場合がある
  • 不動産を自由に処分できなくなる

そこで以下からは、各相続放棄におけるデメリットについても詳しく解説します。

デメリット1:プラスの遺産を相続できなくなる

相続放棄とは本来相続されうるすべての遺産について相続されなくなる手続きであるため、相続放棄を行うと不要な田舎の土地、借金のようなマイナスの遺産だけでなく預貯金のようなプラスの遺産も相続されません。

例えば親の相続放棄を行った場合、それまで同居していたのであればその家から離れなければなりません。

また、便利かつ生活必需品であるような洗濯機、冷蔵庫など家財道具も自分のものではなくなり、使えなくなるのです。

もちろん、あらゆる遺産について持ち出しも不可能です。

デメリット2:後順位の相続人に迷惑がかかる場合がある

相続放棄を行った場合、「後順位の相続人」へ相続権が移行します。

そのため、自分が早い順位の相続人であり相続放棄をした場合、ある日突然、後順位の相続人に被相続人が遺したなんらかの請求が届くことがあります。

その場合、後順位の相続人は自分がいつの間に相続人となっていたかも知らなかったし、いきなり負債を肩代わりすることになるという状況に迷惑を感じてしまうことがあるのです。

当人からすれば法律に基づいて相続放棄をしたのであり、後順位の相続人にその事実を伝える義務もありません。

しかしながら、相手方からすれば一方的に負債を背負わされたと憤り、今後の関係性に影響を及ぼす可能性があります。

また、相続権の順位とは以下の通りです。

相続権の順位

  • 第1順位:亡くなった人の子
  • 第2順位:亡くなった人の直系尊属(両親・祖父母など)
  • 第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹

デメリット3:不動産を自由に処分できなくなる

相続放棄とは、その手続きをした当該相続人が「はじめから相続人ではなかった」という結果が得られることです。

つまり遺産であった田舎の土地のような不動産について、後から何らかの手を下したい場合にはその行為はできなくなります。

例えば相続放棄により手放した土地の価格が高騰し、後順位の相続人がその影響を受け、何らかの利益を得たのだとしても、相続放棄を行った当人はその恩恵を受けることは一切できません。

相続放棄をせず、いらない田舎の土地を手放す方法はある?

相続放棄以外の方法でも、不要になってしまった田舎の土地を処分する方法は以下の通り存在します。

相続放棄以外に田舎の土地を処分する方法

  • 売却する
  • 譲渡する
  • 寄付する
  • 相続土地国庫帰属制度を利用する

そこで以下からは、それぞれの土地を手放す方法についてさらに詳しく解説します。

売却する

田舎の土地とは、売却が可能であるため、上手く買い手が見つかれば土地売買による売却益が得られます。

また、土地を現金に変えることができれば、現金は分割しやすいため遺産相続における分割の話し合いなども進めやすくなるのです。

一方、田舎の土地とはなかなか買い手がつかないことが通例であり、この「売却しづらい状態」に伴うデメリットもあります。

買い手が見つからない場合、その間の固定資産税や管理費用などは通常通り発生し、相続人の懐事情を圧迫してしまうのです。

不動産仲介に依頼する

田舎の土地売却とは、個人で完遂することも可能ながら、仲介業者に依頼することも可能です。

仲介業者とは、当該不動産が存在する地元の不動産会社などが該当します。

不動産会社などの仲介業者に田舎の土地売却を依頼することで、当該業者独自の販路に自分の物件を乗せられることがメリットです。

仲介業者は、店頭広告を始めとして地元地域の新聞折込や、ウェブ広告などを活用して、当該不動産が存在すること、売り出していることを世間にアピールします。

個人では難しい営業活動を代行してくれる不動産仲介には、不動産売買を依頼する価値があるといえます。

さらに一度依頼してしまえば、後は自らの時間的コストもカットできるのです。

一方、不動産仲介に田舎の土地売却を依頼すると、仲介手数料が発生します。

仲介手数料について知っておくべきことは以下の点です。

仲介手数料について知っておくべきこと

  • 仲介手数料とは、土地売却が成功しなかった場合は発生しない
  • 土地の売買価格が200万円以下の場合の仲介手数料:売買価格×5%+消費税
  • 土地の売買価格が200万円を超える~400万円以下の際の仲介手数料:売買価格×4%+2万円+消費税
  • 土地の売買価格が400万円を超える際の仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税

また、不動産仲介でも地方であればあるほど買い手の母数も少なくなるため、田舎の土地を売るまでに時間がかかることがざらにあります。

土地売却が決まるまでの管理費用、固定資産税は、所有者が負担することになるので気をつけてください。

また手広く不動産を取り扱う仲介業者の場合、地方物件であっても気軽に売買を引き受けるものの、当該業者の社内での優先が下がった状態で取り扱われることがあります。

こういった、企業ごとの内部事情は顧客には明かされないため、注意しましょう。

専門の買取業者に依頼する

地方の不動産とは売りづらいとされているため、仲介業者が取り扱いを断ることがあります。

あるいは、仲介業者が取り扱いを開始したものの、売却が長期化してしまうこともあるのです。

そんな場合は、訳あり住宅・土地専門の買取業者に売却を依頼してください。

訳あり物件専門の買取業者とは、地方の物件のようなマイナスの特徴を持った不動産であっても活用したり売却するためのノウハウ・知識を持ち合わせています。

さらには、独自の販売網や顧客リストを所持しており、このような備えにより訳あり物件を売却することが可能です。

地方の物件でも、活用方法が存在しないわけではありません。

地方である強みを活かした、古民家カフェやペンション、民泊といった活用方法が可能なのです。

コロナ下におけるワーケーションの流行や、昭和レトロブームの効果により、地方の物件の需要は高まりつつあります。

専門の買取業者とは、地方の物件をこのような現代の流行に即した形でリリースするためにリフォームしたり、リノベーションを施したりといったノウハウを所有しています。

さらにそういったリニューアル施策について、どうすればコスト安で実施できるかといった手はずを取り揃えており、専門の買取業者自身が手持ちを切り崩して売却する、ということもありません。

また専門の買取業者に売却すると「契約不適合責任」の免責という結果が得られます。

契約不適合責任とは、以下の意味を持ちます。

引き渡した不動産に「契約書に記載されていない不具合」があった場合に売った側が負わなければならない責任

消費者契約法8条

例えば、個人間のやり取りで古民家などを売却した際、後から雨漏りなどが頻発したりすると、売った側が買った側から契約不適合責任を問われます。

そういった場合、古民家を売却した側は、「建物の修繕費用」や「売買契約の取り消し」に応じなければなりません。

一方、この古民家の売却を買取業者に任せた場合であれば、宅建業法40条により、売った側の契約不適合責任が免責されるのです。

この結果は、契約不適合責任が「個人に対して適用される」ため得られるのです。

古民家には、所有者すら把握しきれていない不具合などが残りがちです。

そういった瑕疵を見抜けないまま、個人間で不動産売買を行うにはこのようなリスクがあるため、不安がある物件であればあるほど専門の買取業者に売却するメリットは高くなります。

譲渡する

古民家のような田舎の土地を処分したいながらも、売却といった方法では処分が長期化することが見込まれる場合は、譲渡も有益な処分方法といえます。

譲渡であれば、処分までのスピードがかなり短縮されることがあり、不動産の処分が主目的の場合は大きなメリットとなるのです。

不動産の譲渡は、隣人や近隣の法人といった団体などに交渉して行うことが想定されます。

これは土地が完全に接している場合は、譲渡を受けた側が単純に自己の所有する土地を拡大することになり、利用価値が高まるためです。

一方、譲渡という行為が無償で行われるものであっても、ケースによっては贈与税などが発生することがあるため気をつけてください。

譲渡による不動産の引き渡しであっても、贈与税などが発生するケースがあります。

端的に述べると、譲渡する側、される側が個人か法人かにより課税状況が変動します。

各ケースの違いについては、以下の表を参照してください。

譲渡による課税状況の変化

  • 個人から個人への無償譲渡:不動産を手放す側は課税なし(「所得」が発生しておらず所得税は課税されないという考え方)、譲渡を受ける側は「買い主」として贈与税が発生(相続税評価額に基づく)
  • 個人から法人への無償譲渡:譲渡する個人に所得税(0円のみなし譲渡所得、不動産鑑定士による土地鑑定評価を推奨)、譲渡を受ける法人に法人税(受贈益の発生によるもの)
  • 法人から個人への無償譲渡:譲渡する法人に法人税(不動産の時価が帳簿上の簿価より高い場合のみ)、譲渡を受ける個人に所得税(本来価値のある不動産を無償で得たことによる益によるもの)
  • 法人から法人への無償譲渡:両者に法人税(時価売買が起きたとみなされる。何らかの利益が発生した場合に課税)

寄付をする

処分が難しいとされる田舎の土地であっても、売却や譲渡以外に「寄付」という選択肢があります。

寄付とは、国や自治体、個人などに対して行うことが可能です。

しかしながら、国や自治体がすべての寄付に応じるわけではありません。

たとえば、公共事業の一環となりえるような利益をもたらす寄付でないと、土地の寄付を受け入れないこともあるのです。

ほか、国や自治体、あるいは個人に対して寄付する場合の注意点は以下の通りです。

寄付先寄付を受け入れやすい条件寄付する上での注意点
個人・相手に負担がない状態に土地を整える
・交渉を行う
・贈与契約書を締結する(後からの取りやめを受け付けないようにするため)
・土地の手入れが必要となることがある
・法務局での所有権移転登記が必要(固定資産税・損害賠償などの請求先変更のため)
・贈与税の発生に注意
国・自治体・法人・国や自治体、法人それぞれによって、受け入れる条件が異なる
・公益法人であれば受け入れやすいことがある
・寄付の事前相談に参加する
・土地管理義務を嫌気する国や自治体が存在する可能性がある
・基本的にどのような土地でも受け入れるわけではない

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度とは2021年に成立、2023年から施行された制度であり、以下の意義を持ちます。

相続土地国庫帰属制度

相続などで「土地の所有権」を手に入れてしまった人が、当該土地の所有権を手放すことで、その土地を国庫に帰属させられるという制度。法務大臣の承認を受けることが必要

もし、相続により田舎の土地を所有することになってしまったものの使いみちがないような場合には利用すべき制度です。

相続土地国庫帰属制度は、相続もしくは相続人への「遺贈」によって土地を所有することになった人のみが利用可能であることに注意してください。

しかしながら土地管理には人手などコストがかかることから、どんな土地であっても国庫に帰属させられるわけではなく、以下のように「適用要件」が存在します。

申請をすることができないケース

・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている土地
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

相続土地国庫帰属制度の概要(法第2条第3項)

承認を受けることができないケース

・一定の勾配・高さの崖があって、管理するために過剰な費用・労力がかかる土地
・土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
・土地の管理・処分を行うために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
・隣接する土地の所有者等との争訟を通さなければ管理・処分ができない土地
・その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

相続土地国庫帰属制度の概要(法第5条第1項)

相続土地国庫帰属制度を利用する際は、上記適用要件に気をつけて申請し、承認を受けてください。

また、相続土地国庫帰属制度を利用する上では、以下のように「審査手数料」、承認を受けた後には「管理費用」が発生します。

相続土地国庫帰属制度を利用する上で必要な費用

  • 審査手数料:土地一筆当たり14000円(申請時、申請書に審査手数料額に相当する額の収入印紙を貼って納付)
  • 管理費用:国が管理をすることとなった土地について、元々の土地の所有者が土地の管理の負担を免れる程度に応じて、国に発生するとされる管理費用の一部を負担

※相続土地国庫帰属制度により、土地所有権の国庫への帰属の承認を受けた場合、承認された土地につにおける「国有地の種目」ごとに、管理のための「10年分の標準的な費用」の額を参考に算出される額の負担金を納付する義務が発生する

また本制度は開始されて間もないため、各要件について明確にされていない部分が存在します。

例えば適用要件における「過分な費用、労力がかかる~」という表記が、どれほどの数値を意味するのか、などです。

手間を一切かけずに田舎の土地を手放すならどの方法がおすすめ?

田舎の土地を手っ取り早く手放したいのであれば、処分方法の中でも「売却」に該当する、訳あり物件専門の買取業者への売却がおすすめです。

専門の買取業者であれば、仲介業者に依頼ても売れ残ってしまうような土地でも売却可能です。

訳あり物件専門の買取業者は、田舎の土地が持つデメリットをプラスに変えるレベルの利活用方法を熟知しており、売却や処分するための知識やノウハウ、再販ルートも所有しています。

例えば、再販ルートでは独自のリストにより、地方における古民家カフェ経営志望者や不動産投資家、民泊事業者などにアプローチをかけることが可能です。

また訳あり物件専門の買取業者とは、訳あり物件についてどのように手を加えればよいか、さらにはどのようなリノベーション・リフォームであればコスト最安値であるかなども経験により熟知しています。

また上記のような活用施策も、買い取りによって田舎の土地を入手した後、独自に買取業者が手を加えるやり方であるため、売却した側がリフォーム代金などを負担することはありえません。

さらに個人が直接業者に土地を売却するため、仲介手数料も発生しません。

このようなスピード感ある売却に加え、専門の買取業者に売却することで「契約不適合責任」が免責となることもおすすめの理由です。

契約不適合責任とは、ある引き渡した不動産について「契約書に記載されていない不具合」があった場合、当該不動産を売った側が負わなければならない責任です。

契約不適合責任が問われると、最終的に修繕費用や契約そのものの取り消しが起こり得てしまいます。

契約不適合責任とは個人に対する適用であり、訳あり物件専門の買取業者に売却したのであれば免責されます。

注意点として、不要になった家屋などの家財搬出を請け負わない業者が存在する可能性があることが挙げられます。

もし買取業者を探す際は、このような自分にとって必要な諸条件をクリアしている業者であるかを事前に判断しましょう。

専門の買取業者が集まる一括査定サイトなどを利用することで、自分の所有物件の相場感などについても知ることができます。

ぜひ、複数の会社から見積もりを受け、各社の特色などを比較してみてください。

田舎の土地の相続放棄に関するよくある質問

田舎の土地が不要な場合、相続放棄で手放すことが可能です。

そこで以下からは、土地の相続放棄を行う際に知っておくべき「よくある質問」について一問一答形式で解説します。

Q1:田舎の土地を相続放棄したあとにやるべきことはありますか?

相続放棄は、個人で行なえます。

遺産分割協議と異なり、他者(他の相続人)の合意も必要ありません。

しかも、「放棄した事実」を他の相続人に伝える義務すらないのです。

しかしながら一般的に、相続順位が高い者から自分に順番が回ってきて、自分が田舎の土地の相続人になっていたことも知らないまま固定資産税などの請求を受けた場合、戸惑ってしまいます。

場合によっては係争の原因となってしまうこともありえます。

したがって、相続放棄を行う上では他の相続人に対し、以下の内容をすべて満たすような報告をすることが無難です。

相続放棄を行う上で、他の相続人に対し報告した方が良いこと

  • 自分が相続放棄を行った旨
  • 田舎空き家の相続権は当人に移ったという事実
  • 田舎の空き家が不要である場合、当人も相続放棄ができる
  • 相続放棄が可能な期限は「相続開始を知った日から3カ月以内」である
  • 弁護士への相談も可能

「相続放棄の事実」を伝えるだけではなく、当人にとっての相続放棄の権利があること、相続放棄が可能な期間について伝えることがトラブルを生まないポイントです。

こういった手続きが行われないと、例えば亡くなった親戚が大量の借金を抱えており、別の親戚から相続放棄した旨だけ伝えられ、知らない間に自分が当該借金を抱えてしまうというパターンが起こり得てしまうのです。

Q2:相続放棄した場合、相続財産清算人(相続財産管理人)を選任する必要はありますか?

もし相続放棄を行い、「相続人全員による相続放棄の手続き」が終わった場合、家庭裁判所に「相続財産管理人選任の申立て」を行う必要があります。

本手続きにより、「相続財産の管理・処分」を相続財産管理人に依頼することになります。

このため相続放棄が行われれば、すべてが終わるわけではないことに注意してください。

また、相続財産管理人に「相続財産の管理と処分」を依頼するには、以下費用がかかります。

相続財産管理人に「相続財産の管理と処分」を依頼するために必要な費用

  • 相続財産管理人への相続財産管理・処分依頼費用:数10万円~100万円程度の予納金(最終的に予納金が余った場合、返還される)

※原則として、当費用は相続財産におり充当
※相続財産管理人が選任される前に、土地管理費などを相続財産で充当してしまうと相続放棄できなくなってしまうため注意

田舎の土地の相続放棄はメリットもあるがデメリットも大きい!まずは相続放棄をせずに手放す方法を模索しよう!

今回は、相続してしまい手に入れることになってしまった田舎の土地について、相続放棄する方法を解説しました。

土地に関する相続放棄については、メリットもデメリットも存在します。

大きなデメリットとして、土地や財産問わずすべての財産について相続できなくなることが挙げられます。

また、予告なしでの相続放棄は人間関係のトラブルともなってしまうのです。

一方で、不要な土地の管理、同費用を捻出しなくてよくなることは大きなメリットです。

しかしながら、こうした田舎の土地でも利活用のために買い取る、訳あり物件専門の買取業者も存在します。

こちらの条件を満たす買取業者が見つかれば、手間や費用をかけず、土地の処分ができるだけではなく、売却益を手に入れることも可能です。

あるいは、その土地の所有権を国庫に帰属させるという相続土地国庫帰属制度も存在し、相続放棄以外にも選べる手段はさまざまです。

ぜひ、自分の希望に沿った土地の処分方法を本記事で探してみてください。

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