相続した空き家を売るにはどうすればいいのか?売れない理由や売却方法を徹底解説

近年、相続によってそれまで預かり知らなかった空き家を所有することになるケースが増えています。

空き家とは、所有しているだけで管理義務が発生したり、あらゆる費用がかかるものです。

このため、空き家を処分したいと思うものの、相続した空き家とは管理不足などで問題を抱えているケースが多く、簡単には手放すことができないという実情があります。

そこで今回は、相続した空き家が売れない理由について分析しつつ、相続した空き家を売却して処分する方法、さらには売却以外の手段で処分する方法について解説します。

また、売却する上での注意点や、どうしても売却できない場合に選ぶべき手段についても紹介するため、不必要な空き家に困った際はぜひ参考にしてみてください。

目次

相続した空き家が売れない5つの理由

相続した空き家は、買い手が現れづらい理由がさまざま存在します。

相続した空き家が売れない5つの理由

  • 築年数が古い
  • 立地条件が悪い
  • 隣地との境界線がはっきりしない
  • 再建築不可物件に当てはまる
  • 物件の状態が悪い

各理由それぞれが物件の購入をためらわせるに至るものであり、管理されなかった空き家とはその複数の条件を備えてしまっていることがあるのです。

また、この諸条件を解消しようとしても、持ち主には大きな負担が生じます。

以下からは、空き家が売れない理由それぞれについて、より詳しく解説します。

理由1:築年数が古い

相続により所有することになったような空き家とは、築年数がかなり経過していることが多いものです。

築年数が経過しているということは、その建物が古いことを意味します。

古い建物とは、買い手がつきにくいのです。

物件の買い手とは、新たにその物件に住んだり、何らかの活用をすることが目的です。

このため、古い空き家とは敬遠されがちとなってしまいます。

買い手によっては、当初から空き家を検索対象から外して購入候補を探すことも大いにありえます。

空き家の古さがもたらすデメリット・空き家の古さが敬遠される理由とは、以下の通りです。

空き家の古さがもたらすデメリット

  • 雨漏りする可能性がある
  • 外壁や屋根が劣化して見栄えが悪い
  • 劣化状況によりリフォーム費用が必要である
  • 古民家・空き家活用の知識がなければ持て余してしまう

理由2:立地条件が悪い

相続した空き家とは、地方に存在することがあります。

地方でも、街の中心から離れていたり、完全に「田舎」ともいえてしまうような場所にある場合は、その立地条件の悪さが敬遠されることがあります。

それは新しく住居を買おうとする側からすると、あえて「街の中心から遠い、不便な土地」には住もうとは思わないためです。

新規に住宅の購入検討予定の買い手も、80%以上のケースで都会の物件のみを参照するという統計が不動産市場では語られています。

市場における潜在顧客自身が、はじめから田舎の物件を対象外としているのであれば、実績ある不動産仲介業者であっても売却は困難と考えられます。

まして、個人のみで空き家売却サイトなどに登録すれば、売却までの道のりはさらに遠のくことになってしまうのです。

このような理由から、空き家にお金をかけたリフォームをしたとしても売却の確率はほぼ上がらないのです。

立地条件が悪い空き家の例とは、以下のようになっています。

立地条件が悪い空き家の例

  • 交通機関がない
  • 交通機関までの道のりが遠い
  • 交通機関が存在しても、列車やバスの本数が少ない
  • 通勤や通学に多くの時間がかかる
  • 主要公共施設(スーパー・病院・銭湯など)が遠い

理由3:隣地との境界線がはっきりしない

相続した空き家の境界線が判然としていない場合、あるいは理由があり境界線が引けない場合なども注意が必要です。

家と家の境界線が明確でないことは、他人の土地と自分の土地のエリアがはっきりしていないことを意味しており、将来的なトラブルを呼び込む可能性が高いためです。

将来的に、自己の土地と第三者の土地とで揉め事を起こしかねないと予想される土地を購入したいと思う買い手は多いものではありません。

さらに、境界線をはっきりさせる行為にもハードルがあります。

それは境界線を明確にできるのは、土地家屋調査士など、専門家のみであるためです。

さらに専門家に境界線についての依頼をすれば、時間的コストや金銭的コストが発生します。

土地家屋調査士とは、土地や建物について、性格な「広さ、構造、利用状況」などを把握するための調査・測量を行う者です。

ときには図面の作成、不動産の売却を行う場合に必要な書類の作成・申請手続きなども請け負います。

境界線が判然としない場合でも、空き家が売れる場合があります。

それは、立地条件が良かったり、建物の状態がよい、といった場合です。

こうした場合であれば、土地家屋調査士に境界線の調査などを依頼する価値があります。

理由4:再建築不可物件に当てはまる

相続した空き家とは、「再建築不可物件」となっていることがあり、該当してしまうと売却には至りづらいことになります。

再建築不可物件とは、以下の意味を持ちます。

再建築不可物件

もし現在時点で当該場所に建造された建物を、さらに解体したのであれば、以後その場所に新らしく建物を建てられない土地。

接道義務(建築基準法で定義される「幅員4m以上の道路」に、建物の敷地が2m以上接する義務)を果たしていない物件であることが多く、都市計画法において定める「都市計画区域」と「準都市計画区域」に存在する場合が多い。

建築基準法についての法令遵守について、平成10年代ごろまでは完全に守られてはいなかったという実情がありました。

しかしながら実際には築30年前後の物件について、接道義務を果たしておらず再建築不可物件でありながら見過ごされていたケースが非常に多くなっています。

建物を建設する場合、建築基準法の条件を満たさなければなりません。

条件に適合した建築物であることを証明するために、建築業者とは関係書類を作成、申請手続きを行うのです。

再建築不可物件には住むことこそ可能であっても、将来的に不備が発生した場合などでも建て直しができない不便があります。

また再建築不可物件とは以下のように、条件をすべて満たさなければリフォームですら制限がかかり、不可能なのです。

再建築不可物件がリフォーム可能になる条件

  • 2階建て以下
  • 延床面積が500平方㎡
  • 高さ13m以下
  • 軒の高さ9m以下、かつ木造建築物

建て直しにも、リフォームにも制限がある物件には、だましだまし住んでいてもいつか大きな不具合がもたらされる可能性があり、敬遠されます。

理由5:物件の状態が悪い

「築年数が古い」ことによる売れない理由とも共通する部分があるものの、相続した空き家とは住居としての諸条件が悪いことも大きな売れない理由です。

もし相続以前に、その空き家が管理されずほったらかしにされてしまったのであれば、以下のようなかなりの老朽化が進んでいると考えられます。

空き家を放置した結果起きうる老朽化

  • 雨漏りがある
  • 床が壊れていたり抜けている箇所がある
  • 柱・基礎部など重要な部分が腐食していたり、害虫の餌食となっている可能性がある
  • 雑草や庭木が伸び、庭が荒れ地になっている

こうした悪条件が揃った空き家について、買い手を探すことは困難が予想されます。

リフォームを行うにも、再建築不可物件についての諸条件などについての制限に阻まれたり、高額なリフォーム費用自体の捻出が困難なこともあります。

空き家で戸建てとなると、リフォームは大掛かりな作業となり費用は500万円以上となるのです。

基礎部分の腐食などを直す場合は、リフォーム費用が一千万円ともなることがあります。

相続した空き家を売るためにはどうすればいいのか?売却方法は?

相続した空き家を売却するためには、いくつかポイントがあります。

相続した空き家を売却する方法

  • 売却希望価格を2割以上値下げする
  • 解体やリフォームをしてから売却する
  • 不動産会社を変更してみる
  • 専門の買取業者に売却する

以下からは、それぞれの方法についてより詳しく解説します。

【1】売却希望価格を2割以上値下げする

2020年代以降における不動産市場では、戸建ての空き家とは販売価格が高く設定されがちです。

そこで、相続した空き家を売り出す場合、現状の価格より2割以上値下げしてみてください。

公益財団法人東日本不動産流通機構の調べによると、マンションの成約価格とは売り出し価格の101%とやや元値を上回るものの、戸建ての成約価格とは元値の8割であることが多いとわかっています。

この状況は、売りに出される戸建てが築30年前後経過していることが多いためであるとされています。

平均的な戸建ての販売価格は2000万円~3000万円でありながら、実際の成約価格は2000万円前後となるのです。

一千万円近くも値引きしなければいけないのは心情として難しいものがありながら、戸建てとはそれぐらいの譲歩をしなければならないと売却できない現状があります。

【2】解体やリフォームをしてから売却する

費用がかかるものの、空き家の解体、もしくはリフォームを施すことで、相続したままの状態よりは注目されやすい物件として売却することもできます。

しかしながら、管理されなかった空き家についてのリフォーム費用は非常に高額です。

例えば、空き家の解体・リフォームを行う上で発生する費用は以下の通りです。

空き家の解体・リフォームで発生する費用

  • 木造:3~5万円/1坪(3.3㎡)
  • 軽量鉄骨造・重量鉄骨造1坪:6~7万円/1坪
  • RC造(鉄筋コンクリート):6~8万円/1坪
  • 水回りリフォーム・部分リフォーム:数十万円以上
  • 建物全体のリフォーム:1,000万以上

解体だけでも、100~200万円といった費用が発生します。

さらに、建物の解体やリフォームに関しては、以下のようにさまざまなリスクが付随します。

解体後、年をまたぐと固定資産税が6倍になるため注意が必要

空き家を売却するために状態を良くしようと、解体により更地化した場合、年をまたいだときに固定資産税が最大6倍となります。

これはそれまでその土地の上に住宅地が建っていた場合、「住宅用地の特例」が適用されていたためです。

本特例により、固定資産税は1/6に減額されていました。

しかしながら、更地とは建物が建っておらず「人が住むための土地」ではありません。

すると更地は「住宅用地の特例」の適用外となり、固定資産税が6倍になるのです。

もし更地化した状態で土地が売れるのを待つ場合、売れるまでの「それまでの6倍となった固定資産税」を所有者が納めなければなりません。

この税額負担を気にするのであれば、建物の解体・更地化についてはよく考えなければなりません。

費用をかけて売却活動をしたとしても、相続した空き家が売れるとは限らない

解体やリフォームには高額な費用がかかるものでありながら、売れない理由のひとつでもある「立地条件の悪さ」がある場合、全く売れない可能性もあります。

立地条件の悪さとは、解体やリフォームをいくら行っても解消されないためです。

また立地条件が悪い土地とは、売却額も低くなりがちです。

売却額が低い場合、せっかくの解体・リフォーム費用を回収できないケースが十分にありえてしまいます。

つまり、空き家の売却によって結果的に所有者が損をするのです。

このため、解体やリフォーム前には専門家や不動産業者に相談し、本当に不動産売却のために解体やリフォームが必要かについてのオピニオンを訪ねてみてください。

【3】不動産会社を変更してみる

相続した空き家がなかなか売れないという場合、不動産会社を変えてみてください。

売却の可能性が高い不動産会社とは、以下の特徴を持っています。

古民家専門の不動産会社

古民家ブームにより、築40年程度の家屋を専門に取り扱う実績を持つ。顧客リストに「古い家を愛好する顧客」が多い。

リフォーム工事も行う不動産会社

不動産会社の中でも工務店に多い。「自分でリフォームした家に住みたい」という需要を持つ顧客を抱えていることがあり、そういった顧客は「リフォーム等の工事費用」および「物件価格」がそれぞれ個別にかかるという費用観についてすでに納得済みである。

【4】専門の買取業者に売却する

相続した空き家をすぐに手放したい、売ってしまいたい場合は、専門の買取業者に直接売却してみてください。

この場合の専門とは、「訳あり物件の専門」であることを意味します。

つまり買い手が見つかりづらいとされる「管理が行き届いていない空き家」であっても、そういったわけがある物件の取り扱いを専門としているため、こうした業者であれば売却できるのです。

相続した空き家を売却以外で手放す方法はある?

不必要な空き家を相続してしまった場合、以下の方法で「処分」することが可能です。

相続した空き家を売却以外で処分する方法

  • 寄付・譲渡する
  • 賃貸として活用する
  • 空き家バンクに登録する

しかしながら、いずれの方法も「確実に空き家処分ができる方法」とはいえず、確実性は低いものです。

このため、あくまで不動産処分についての手段のひとつであり、知識として知っておく程度に捉えておくことをおすすめします。

以下からは、それぞれの空き家処分方法について詳しく解説します。

【1】寄付・譲渡する

相続した空き家を処分する上で、売却以外にも「寄付」「譲渡」という方法が選択できます。

寄付や譲渡に応じる可能性がある受け手とは、以下のように分類されます。

寄付や譲渡に応じる可能性がある受け手

  • 自治体
  • 自治会
  • 町内会
  • 個人
  • 法人

以下からは、それぞれの寄付・譲渡先について詳しく解説します。

自治体

自治体に対しては、当該空き家がある地域の自治体を選んで寄付を行うことになります。

しかしながら自治体とは、なんでも寄付を受け付けるわけではありません。

自治体が寄付を簡単には受け付けない理由とは、固定資産税が徴収できなくなるためです。

固定資産税とは、当該自治体にとって財源です。

自治体がその固定資産税が発生していた土地を自分のものとしてしまうと、それまで固定資産税を支払っていた人がいなくなることを示しており、固定資産税は発生しなくなります。

同様に、当該空き家の所有権が寄付により自治体に移ったのであれば、空き家の管理義務も自治体が持つことになります。

こうした理由から、自治体はそう簡単に寄付を受け入れようとはしません。

そこで、自治体がその土地を欲しがるような条件を揃えていれば、寄付を受け入れる可能性が高まります。

自治体が寄付に応じるような土地の転用条件とは、以下の通りです。

自治体が寄付に応じるような土地の転用条件

  • 防災用具など何らかの倉庫・置場として利用できる土地・建物
  • 住宅地に点在する公園・ポケットパークとして利用できそうな土地
  • 小規模公民館のような、住民の交流・集会場所として利用できる建物

自治会・町内会

自治会や町内会とは、公益性の高い活動をしているため寄付に応じる可能性があります。

似た団体として、公益法人があります。

とくに「認可地縁団体」は税金に関する優遇措置を備えており、空き家の寄付に応じる可能性が高いです。

認可緑地団体とは、地方自治体により定められた要件を満たしている必要があります。

このため、寄付先に自治会や町内会を選ぼうとするよりは、当該団体がまず認可地縁団体であるかどうかを確めたほうが寄付の受け入れ先の探し方として堅実です。

認可地縁団体ではない団体の場合、メリットが見いだせず寄付の受け入れに応じないかもしれないのです。

とくに以下の団体は認可緑地団体とは異なるため、気をつけてください。

認可緑地団体とは異なる団体

  • 同好会
  • スポーツ活動団体
  • 環境美化活動団体
  • その他、特定の目的の活動を行う団体
  • 構成員について、「住所」以外の特定条件(年齢・性別など)を設定している団体(老人会・子ども会・青年団・婦人会など)
  • 不動産を保有する予定がない団体

個人

空き家の贈与とは、個人に対して行うことができます。

個人の場合も、空き家の贈与に応じやすい相手を見つけることがポイントとなります。

空き家の贈与に応じやすい個人見つけられるケースとは、おおむね「隣人」を相手にする場合です。

隣人であれば、空き家の贈与を受けることで単純に自己の所有する敷地面積が増えることとなり、自宅の改装などにおいて自由度が高まるといったメリットがあるのです。

しかしながら、贈与に応じるための条件などが提示されることがあるため気をつけてください。

例えば、敷地だけを求められる場合、ならびにあらかじめ建物部分を解体するように要求される場合などです。

贈与に際しては、受け取った側に贈与税といった負担が生じるため、このような要求が行われる場合があります。

このため、どうしても相続した空き家を売り抜けたい場合には可能であれば、贈与先からの要求に応じることが無難です。

同時に、贈与に際しては譲り受けた側に贈与税が発生することを知らない個人もいます。

この場合は、その存在を明かさず一方的に土地や建物だけ押し付けるのではなく、贈与税といった先々のことまで伝えた上で交渉すべきです。

法人

相続した空き家は法人に寄付することも可能です。

しかしながら、空き家の寄付を受け入れる側の法人には「法人税」が課せられます。

このため、相当のメリットがない限り法人が寄付を受けつけることはないと思っておくべきです。

同時に、法人が空き家を引き受けた以上、管理義務から免れることもできません。

管理義務とは法人にとって人件費などの諸経費が追加発生することを意味します。

このため、基本的に法人が寄付に応じることはないと考えて空き家処分を進めることが無難です。

【2】賃貸として活用する

相続した空き家とは誰も住んでいない物件でもあるため、賃貸化が可能です。

空き家を賃貸化する際には、空き家を所有し続ける選択を行うことも意味します。

もし空き家が戸建ての場合でも、シェアハウスとみなせば複数の相手に賃貸物件として貸し出し、家賃収入を得ることが可能です。

シェアハウスとしてだけでなく、コワーキングスペースなどシェアスペース、民泊としての利用方法も考えられます。

しかしながら、相続した空き家が古い物件である場合、多くのパターンで賃貸用のリフォームやリノベーションを行うことになります。

リフォームやリノベーションには相応のコストがかかります。

相続した空き家について、賃貸物件としての家賃収入がどれだけ期待できるかが正確に試算できるのであれば、賃貸化に関わる諸費用とは先行投資として処理可能です。

しかし、投資した費用が回収できなければ意味がないため、賃貸物件を経営し、収益を上げるための知識やノウハウも必要となります。

【3】空き家バンクに登録する

空き家バンクには、相続した不必要な空き家でも登録可能です。

空き家バンクとは、当該自治体が運営する公式サイト上などに存在する空き家情報ポータルサイトであり、当該地域で空き家を欲している人や売ったり貸したりしたい人が情報を掲載します。

需要と供給がマッチすれば、売買や贈与などが成立するのです。

しかしながら、空き家バンクの認知度が未だにあまり高くないこと、ならびに地方の物件であればあるほど買い手がつかないといった理由から、そこまで簡単に物件が処分できるわけではありません。

また地方自治体によっては、そもそも空き家バンクの運営がまだ行われていないケースさえあります。

また空き家バンクとは情報を掲載するだけで、運営側が積極的に販売活動を行うわけでもありません。

同時に、空き家バンクを運営する自治体も不動産売買についての専門家ではないため、売却するためのアドバイスなどが受けられるわけでもありません。

こうした理由から、不動産売買について何らの知識も持ち合わせていない所有者や買い手同士で起こるトラブルも増加傾向にあります。

空き家バンクへの登録は、決してゴールではありません。

空き家バンクに登録したからすぐに買い手が見つかるだろうとは考えず、その間にも発生する固定資産税などを支払い続けなくてもよくなるためにも、あくまで手段のひとつであると捉えておきましょう。

相続した空き家を売却する前に確認すべき4つのこと

もし相続した空き家が売却できる可能性があったとしても、以下のことについて疎かにしてしまった場合はトラブルにつながるどころか、空き家の売却が成立しない可能性があります。

相続した空き家を売却する前に確認すべき4つのこと

  • 空き家の権利関係を確認しておく
  • 境界線を確認しておく
  • 共有名義の空き家なら共有者全員の同意をとる
  • 特別控除を受けられる期間内に売却する

そこで以下からは注意点として、それぞれの「空き家売却前に必ず確認すべきポイント」について詳しく解説します。

注意点1:空き家の権利関係を確認しておく

もし相続した空き家の名義が、共有持分などの関係で共同名義になっている場合、売却する際に権利者に売却の意思を確認しなければなりません。

権利関係を無視した上で空き家売買はできないため、事実関係は完全に判明させておきましょう。

注意点2:境界線を確認しておく

もし空き家の売却を行い、所有者が変わるのであれば、不動産の登記を行わなければなりません。

登記によって、「名義変更」を行うのです。

同時に、土地の境界線の確定も必要となります。

登記手続きには、専門知識が必要です。

さらに、登記申請自体に費用が発生します。

土地の境界が確定せず曖昧なままでは、正確な土地の価格がわからない上に、近い将来に近隣地とのトラブルを生みかねません。

登記以前に、境界確定の手続きにも土地家屋調査士による専門的な測量技術が必要となります。

所有者は、この測量経費なども負担しなければなりません。

確定測量にかかる費用は数十万円とされています。

さらに、隣地の「境界立会」「承諾」が求められます。

注意点3:共有名義の空き家なら共有者全員の同意をとる

もし売却する空き家について、複数の相続人により所有している場合は名義が共有名義となり、相続人全員の同意が得られなければ売却はできません。

このため、空き家売却の目処がつく前から、空き家所有者である相続人全員で話しあいを行ってください。

共有物の空き家とは、売却に共有者全員の同意が必要です。

もし、共有者のうち1人でも売却に反対しているのであれば、その空き家が売却できません。

一方、共有者が売却に賛成しない場合でも、「共有持分だけ」であれば売却可能です。

注意点4:特別控除を受けられる期間内に売却する

空き家を売却する際には、ある特例を受けられることがあります。

特例の内容は、相続あるいは遺贈によって取得した空き家の売却に際し、譲渡所得額から最大3,000万円の控除を受けられる、というものです。

本特例における空き家とは、「被相続人の居住用家屋」「家屋の敷地」を示します。

被相続人の居住用家屋であると認められるためには条件があり、以下3つの要件すべてを満たさなければなりません。

被相続人の居住用家屋であると認められるための条件

  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • 「区分所有建物登記」がされている建物ではない
  • 相続開始の直前において、被相続人以外に居住していた人がいない

また、本特例には期間が定められていたり、ほか各種条件があります。

以下は本特例の適用条件における、一部です。

空き家特例の適用条件の一部

  • 令和5年12月31日までの間に売却すること
  • 「相続の開始があった日から3年目」の年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 他の特例の適用を受けていないこと
  • 売却先が、親子や夫婦など特別な関係ある者ではないこと

本特例は、国税庁ホームページで詳細が記載されているため、自身が該当するかどうかを確かめて見てください。

不動産会社に依頼しても売れない空き家は、専門の買取業者に売却するのが最もおすすめ

相続した空き家を素早く手放す方法は、専門の不動産買取業者に直接売却することです。

専門の不動産買取業者とは、いわゆる「訳あり物件」の取り扱いに長けています。

訳あり物件とは、住居としての需要がなかったり、条件が悪かったりと、どうしても買い手が見つからない不動産です。

訳あり物件専門の買取業者に相続した空き家を売却すれば、所有者は「解体」や「リフォーム」といった手間をかける必要もなくなります。

手間どころか、各種費用が一切カットできた上に売却益も得られるのです。

寄付や譲渡であっても、交渉の末に煩雑な注文を付けられたり、受け入れ拒否が行われることさえあります。

また専門の買取業者とは、隣地との境界線トラブルなども引き受けた状態、つまり境界確定をせずとも買い取りに応じることもあり、いずれも大きなメリットといえます。

専門の買取業者が売れない空き家を買い取れる理由

通常の売却や寄付、贈与などでは、空き家を受け入れる側が「居住」といった狭い目的で不動産を手に入れることになり、ここにハードルがあります。

しかしながら、訳あり物件専門の買取業者は収益化を見込んだ不動産事業の一貫として当該空き家を買い取ります。

もし生活に不便な立地状況であったり、建物自体の老朽化があっても、居住用ではなく事業用としてであれば利活用できる場合が多く、そういった建物転用、土地活用のノウハウを専門の買取業者は兼ね備えているのです。

近年ではコロナ禍の影響もあり、専門の買取業者は、空き家の事業活用ノウハウを実績とともに豊富に持ち合わせています。

例えば、空き家でも以下のような利活用方法が考えられます。

空き家の利活用方法

  • リフォームを施し、賃貸物件として運用
  • リフォームを施し、入居者を確保した上で不動産投資家に売却
  • あえて古民家風にリフォーム、コワーキングスペースとして活用もしくは古民家カフェのオーナーに売却

このように一見売れなさそうであり、活用の芽もなさそうな建物でも、専門の買取業者であれば何かしらの収益源と化すことができるため、相談する価値があるといえるのです。

相続した売れない空き家を専門の買取業者に売却するメリット

訳あり物件専門の買取業者であれば、一見価値がないような物件でも買い取り可能です。

売却可能なだけでなく、メリットがあるのであれば処分に困る不動産を手放す意味は大いにあるといえます。

相続した空き家を、専門の買取業者へ売却するメリットとは以下の通りです。

相続した売れない空き家を専門の買取業者に売却するメリット

  • 売れない不動産をスピーディーに現金化できる
  • 近隣に知られずに売却できる
  • 売却に関する手間が少ない

そこで以下からは、売れない空き家を実際に専門の買取業者へ売却した際のメリットについて詳しく解説します。

メリット1:売れない不動産をスピーディーに現金化できる

一般的にはマイホーム目的に物件を探す個人の市場へ建物を売りに出した場合、売買契約に至るまで、最短でも「3ヶ月~半年」といった期間がかかります。

相続した空き家は地方にある場合が多く、さらに立地条件や家の状態が悪いこともあるため、より多くの期間を要すことも起こり得ます。

しかしながら訳あり物件専門の買取業者は、最短「数日」での買い取りを実現するのです。

直接業者が買い取るため、購入者の登場を待つ必要がありません。

そのため、仲介業者に売却活動を頼むよりも遥かにスピード感のある売却処分が可能です。

もし空き家の所有者側が、買取業者の提示した売却金額に同意すれば、その時点で売買契約が成立します。

メリット2:近隣に知られずに売却できる

専門の買取業者による直接買取で空き家を売却すると、空き家を売りに出しているといった情報を世間に示す必要がありません。

一方、仲介業者に売買を依頼した場合、地元の不動産市場に自分の土地を売りに出している情報を提示することは避けられません。

仲介業者とは、店頭に当該物件の情報や、各家庭への折り込みチラシなどに販売物件の情報を載せてPRをします。

この場合、自分が家を相続したことや、その家を手放そうとしているといった個人情報が明るみになってしまいます。

もし、所有している空き家の売却を人に知られたくない事情がある場合や、個人情報の提示を避けたい場合などにも、訳あり物件専門の買取業者へ空き家を売却するメリットはあるといえるのです。

メリット3:売却に関する手間が少ない

空き家売買に関して、いわゆる仲介業者を通じての一般向け売買での額は、訳あり物件専門の買取業者に直接売却した場合よりも高いケースが多くなります。

専門の買取業者への売却とは、「買取後の空き家リフォーム費用」などを見越した額ともなることが多く、費用を差し引いた額が提示されることがあるのです。

しかしながら、仲介業者に依頼した場合、買い手が見つかるまでの諸費用、固定資産税などは変わらず所有者の負担であり、買い手が全く見つからなかったのであれば、その費用は限りなく膨らむことになります。

そういった将来的な負債も込みで空き家売買を考えた際、土地の境界線や登記手続きなども引き受けた上で買取に応じる業者の存在は見逃し難いものとなります。

単純に、即座に不必要だった不動産が売却益として現金に替わる事実は、所有者にとって大いにプラスの結果をもたらすのです。

専門の買取業者に依頼すれば、相続した売れない空き家を手間なくスピーディーに現金化できる!

今回は、相続した空き家を売るための方法や、売れない理由について解説しました。

相続した空き家とは、問題を抱えた物件であるケースが多いものです。

そういったワケあり物件とは、なかなか買い手がつきません。

売却方法があるにはあります。

しかしながら、売却するための一工夫には相応の費用がかかります。

譲渡や寄付といった手段でも同様です。

不動産とは、受け入れる側にも対価の支払いが必要となるケースがほとんどであるため、売却以外の方法でも簡単に手放すことはできません。

そこで、もし手早く空き家を手放したいのであれば、ワケあり物件専門の買取業者へ買い取りを依頼することをおすすめします。

専門の買取業者とは、ワケあり物件でも利活用のノウハウを持っており、仲介業者などを通すことなく、直接売却可能です。

空き家を処分できるだけでなく、処分に関わるあらゆる経費なども気にしなくて良い上に、売却益まで得られるのであれば、メリットは多いといえます。

もし、扱いに困る空き家の処分に迷っている場合は、ワケあり物件専門の買取業者へ相談を持ちかけてみて下さい。

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