【専門家が教える】再建築不可物件を再建築可能にする7つの裏ワザ・抜け道を徹底解説!

建築基準法や都市計画法が施行されたことにより、それ以前に建築された建物が建っている土地が「再建築不可物件」となってしまう事例があります。

これは、その土地が現行の建築基準法や都市計画法に定められた要件を満たしていないことによります。

そこで今回は、「再建築不可物件」を再建築可能にする7つの裏ワザ・抜け道などについて徹底的に解説します。

そもそも再建築不可物件とは?

「再建築不可物件」とは、現在建っている建物を解体して更地にしてしまうと、新たに建物を建てることができない土地のことをいい、都市計画法で定められている「都市計画区域」と「準都市計画区域」にのみに存在します。

具体的には、建築基準法で定められた幅員4m以上の道路に建物の敷地が2m以上接していなければならないという「接道義務」を満たしていないために建物を建てることができないというものです。

たとえば、次のような土地の場合は「再建築不可物件」となります。

再構築不可物件の例

  • 土地が道路に全く接していない場合
  • 土地が建築基準法で定められた道路ではない道路にしか接していない場合(※たとえば、接している道路の幅員が4m未満である、接している道路が私道であるなど)
  • 土地が建築基準法で定められた道路と接しているが、接道幅が2m未満である場合

再建築不可物件ができた理由

「再建築不可物件」の根拠となる建築基準法は1950年に制定された法律であり、さらに都市計画法は1968年に制定されたものです。

そのため、1950年以前に建てられた建物の中には「接道義務」を満たしていないケースが存在しており、これが「再建築不可物件」となっています。

たとえば、総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、東京都23区の総住宅数約490万戸のうち、接道幅2m未満の住宅数が約18万戸、道路に接していない住宅数が約6万戸となっていますので、東京都23区には「再建築不可物件」が約24万戸あると推定されます。

再建築不可物件を再建築可能にする裏ワザ・抜け道は7つ!

「再建築不可物件」を再建築可能にする裏ワザや抜け道は次の通りです。

再構築不可物件の例

  • 【1】隣の土地の一部を買い取って接道義務を満たす
  • 【2】隣の土地の一部を借りて接道義務を満たす
  • 【3】隣の土地と等価交換して接道義務を満たす
  • 【4】セットバックを行って道路の幅員を広げる
  • 【5】位置指定道路を申請する
  • 【6】43条但し書きを申請する
  • 【7】自治体に建築許可を得る(市街化調整区域内にある場合)

以下では、それぞれについて詳しく解説します。

【1】隣の土地の一部を買い取って接道義務を満たす

自分の土地の接道幅が2m未満の場合に、接道幅が2m以上になるように隣の土地の一部を買い取ることができれば「接道義務」を満たしますので、再建築可能にすることができます。

たとえば、現状の接道幅が1.5mしかない場合に、接道幅が2m以上になるように隣の土地から0.5mの幅の部分を買い取ることができれば「接道義務」を満たします。

隣の土地の所有者から同意が得られることが不可欠ですので、慎重に交渉を進める必要があります。

しかしながら、隣の土地の所有者の同意が得られなければこの裏技は使えませんし、隣の土地に接道幅を2m以上に広げるだけの余裕がない場合も採用できません。

また、土地を購入することになりますのでその費用がかかります。

【2】隣の土地の一部を借りて接道義務を満たす

自治体によっては、建築確認時や建て替え工事の期間中に「接道義務」を満たしていれば再建築が可能としているところがあります。

この場合は、建築確認時や建て替え工事の期間中だけ隣の土地を借りて接道幅を2m以上にすることができれば再建築可能になります。

自治体がこの方法を認めている場合は、わざわざ隣の土地を購入する必要がありませんので、買い取り費用よりは安い費用で済ませることができます。

隣の土地の所有者にとっても、土地を売却することには難色を示すことがあるかもしれませんが、一時期だけ貸し出すのであれば同意を得られる可能性は高くなると思われます。

しかし、隣の土地との境界にブロック塀などがある場合も考えられますので、その移動費用や復旧費用などがかかることも考えられます。

【3】隣の土地と等価交換して接道義務を満たす

自分の土地の接道幅が2m未満の場合に、「接道幅が2m以上になるような隣の土地の一部」と「自分の土地の一部」を等価交換することができれば、接道幅が2m以上になりますので再建築可能になります。

この場合も隣の土地の所有者の同意が得られなければ成立しません。

隣の土地の所有者が等価交換による何らかのメリットを感じなければ断られる可能性もあります。

隣地の所有者との交渉になりますので、日頃から良好な近所付き合いができていないような場合は、そもそも等価交換の相談を持ちかけること自体が難しいことも考えられます。

【4】セットバックを行って道路の幅員を広げる

土地に接している道路の幅が4m未満の場合は、「セットバック」を行って道路の幅員を4m以上に広げると再建築可能になります。

「セットバック(Setback)」には「後退」という意味があり、道路の幅員4mを確保するために土地の一部を道路にして、宅地と道路の境界を後退させることをいいます。

もし、道路の両側に宅地がある場合は、双方の宅地で道路の幅員が4m以上になるように境界を後退させれば良いのでそれぞれの宅地の「セットバック」は半分で済みますが、向かい側が川や崖の場合は、自分の土地だけで道路の幅員の不足分を補うことになりますので、その分だけ境界を後退させる必要があります。

「セットバック」をすると、敷地面積から「セットバック」部分の面積を差し引いて建ぺい率や容積率を計算しますので、建物の延べ床面積が小さくなることがあります。

【5】位置指定道路を申請する

土地に接している道路が幅員4m以上で接道幅2m以上を満たしていても、その道路が建築基準法上の道路でない場合は、「接道義務」を満たしません。

この場合は、自治体に「位置指定道路」の申請をすることによって再建築可能になります。

たとえば、広い宅地の古家を解体して複数の宅地として造成する場合に、奥の方の宅地に入っていくための私道をつくることがありますが、これが「位置指定道路」です。

「位置指定道路」として認められるためには特定行政庁への申請が必要ですので、まず自治体の建築課などに、接道している私道が「位置指定道路」の条件を満足するかどうかを確認する必要があります。

「位置指定道路」の指定を受けるための主な条件は次の通りです。

「位置指定道路」の指定を受けるための主な条件

  • 道路の幅員が4m以上であること
  • 道路の形態や境界が明確であること
  • 道路に排水整備が設けられていること
  • 原則として通り抜けできる道路であること(行き止まりの場合は長さ35m以下)

【6】43条但し書きを申請する

土地に接している道路が建築基準法上の道路でない場合でも、一定の基準を満たしている場合は、建築基準法の「43条但し書き」の申請をすれば、再建築可能になることがあります。

建築基準法の「43条但し書き」の適用を受けた道路のことを、「43条但し書き道路」または「但し書き道路」といいます。

43条但し書きの申請で許可を得る条件

建築基準法の「43条但し書き」の申請で許可を得るための主な条件は次の通りです。

43条但し書きの申請許可を得るための主な条件

  • 土地の周囲に公園や広場などの広い空き地があること
  • 土地が幅員4m以上の公共道路(農道や河川管理道路など)に2m以上接していること

43条但し書きの申請方法

建築基準法の「43条但し書き」の申請をするためには、まず自治体の窓口に相談して条件を満たしていることを確認しましょう。

その後申請をして自治体の建築審査会に認められれば特定行政庁の許可を得ることができます。

しかし、「第43条但し書き」の許可とは「特例として今回の建て替えを許可している」というものですので、次回建て替えをするときには改めて申請する必要があり、そのときに許可が下りないケースもあり得るということには注意が必要です。

【7】自治体に建築許可を得る(市街化調整区域内にある場合)

「市街化調整区域」とは、無秩序な市街化を防止するという観点から市街化を抑制することを目的とした区域ですので、原則として新たに建物を建築することはできませんが、例外的に認められる場合があります。

たとえば、従来から建物が存在していた場合、その敷地の範囲内で同一の用途で同様の規模・構造の建物を建築する場合などです。

しかしながら、自治体によってケースバイケースで判断されるため、事前に自治体の担当窓口に相談することが必要となります。

建築許可を申請する手順

自治体に「建築許可」を申請する際の一般的な流れは、以下の通りです。

自治体へ事前相談をする
「市街化調整区域」に建物を建てる場合は自治体の担当窓口に事前相談をします。
一般的に、所在地、面積、土地所有者などの情報を記載した事前相談書を提出します。
事前相談書を検討し判定する
自治体が事前相談書の内容を検討し、建築の可否と許可の要否について判定します。
事前相談書の判定結果について回答がある
事前相談書の判定結果について自治体から回答があります。
「建築許可」を申請する
建築可能で許可が必要と判定された場合は、「建築許可」を申請します。
許可を得る

建築許可が不要となる条件

なお、次の条件などを満足する建て替えの場合は「建築許可」が不要となります。

建築許可が不要となる条件

  • 原則として従来の建物の敷地の範囲内で行われるものであること
  • 原則として従来の建物と同一の用途であること
  • 建て替え後の主な建物の棟数が1棟であること
  • 建て替え後の建物の規模や構造などが従来の建物と比較して過大ではないこと
  • 建て替え後の建物の規模や構造などが周辺の土地利用の状況等からみて適切なものであること
  • 建て替え後の建物の床面積の合計が従来の建物の床面積の合計の1.5倍以下であること
  • 開発行為を行わないこと

【結論】再建築不可物件を再建築可能にするのは手間や時間がかかる

「再建築不可物件」を再建築可能にする裏ワザや抜け道を7つ紹介してきましたが、いずれも手間や時間がかかってしまうことが大きな問題点です。

たとえば、隣の土地を買い取ったり借用したり等価交換する場合には、隣の土地の所有者と良好な関係があるということが大前提となっているうえに、相手に断られないように慎重に交渉を進めなければならず、予想以上に大きな手間や時間が必要となります。

また、「位置指定道路」や「43条但し書き」の申請をしたり、「建築許可」を得たりするためには、自治体の担当窓口への相談や実際の申請手続きが必要となり、これにも多くの書類を取り揃えなければならないなどの手間と時間がかかります。

活用予定がないのであれば専門の買取業者に売却するのがおすすめ

「再建築不可物件」を再建築可能にする7つの裏ワザや抜け道は、いずれもその土地に再建築をして活用することが目的ですが、そもそも活用する予定がないのであれば、早く手放してしまうことも選択肢の一つとなります。

具体的には、専門の買取業者に売却する方法があり、そのメリットは次の通りです。

専門の買取業者に売却するメリット

  • 売却するメリット1:そのままの状態で売却できる
  • 売却するメリット2:短期間で現金化できる
  • 売却するメリット3:契約不適合責任が免責される

それぞれのメリットについて、以下で説明します。

売却するメリット1:そのままの状態で売却できる

専門の買取業者に売却する場合は、建物の中や庭などを片付けたり掃除したりする必要はなく、そのままの状態で売却することができます。

不要な家具や家電品などがそのまま残っていても買い取ってくれます。

売却するメリット2:短期間で現金化できる

専門の買取業者に売却する場合は、買い手を探す必要がありませんので短期間で現金化することができます。

通常は1週間~1ヶ月、最短では数日という短期間で現金で買い取ってくれます。

売却するメリット3:契約不適合責任が免責される

「契約不適合責任」とは、中古住宅を売却した後に売買契約書に記載されていなかった雨漏りやシロアリ被害などの不具合が見つかった場合に、売り主が買い主に対して負わなければならない責任のことです。

具体的には、修繕費用を負担したり売買代金の減額などをしなければなりません。

しかし、専門の買取業者に売却する場合は、買取業者が買い取った後にリフォームなどを行って再販することを前提としていますので、売り主の「契約不適合責任」は免責されます。

活用予定がない再建築不可物件は売却するのが最善策!

この記事では、「再建築不可物件」を再建築可能にする7つの裏ワザ・抜け道などについて説明しましたが、いずれの方法も大きな手間や時間がかかることが分かりました。

その上で、活用予定がない場合におすすめの方法として、専門の買取業者への売却を紹介しました。

何らかの活用方法を考えているのであれば、再建築可能にするために手間や時間をかけることに意味がありますが、活用予定がない「再建築不可物件」の場合は、専門の買取業者に売却するのが最善策と考えられます。

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