再建築不可物件の倒壊リスクとは?所有者が知っておくべき対策を解説

再建築不可物件を所有していると、「もし倒壊したらどうなるのだろう」「安全に管理する方法はあるのだろうか」といった不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
再建築不可物件は、老朽化が進むと倒壊リスクが高まり、近隣への被害や所有者の責任問題につながる可能性があります。
しかし、適切に対策することで、リスクを軽減して不要なトラブルを未然に防ぐことができ、安心して物件を管理・売却することが可能です。
この記事では、再建築不可物件の倒壊リスクや対策について詳しく解説します。

有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. 倒壊前に知っておくべき再建築不可物件のリスク
- 1.1. 建物の老朽化による倒壊リスクが高い
- 1.2. 倒壊しても建て替えができない
- 1.3. 倒壊後更地になると固定資産税が高くなる
- 1.4. 売却しにくくなる
- 1.5. 倒壊による被害で損害賠償を請求される可能性がある
- 2. 再建築不可物件倒壊によるリスクを回避する対策
- 2.1. 耐震補強や防火対策で倒壊リスクを減らす
- 2.2. 災害保険や地震保険に加入する
- 2.3. 相続放棄や自治体への寄付で不動産を手放す
- 2.4. セットバックや隣地購入で「再建築可能」にする
- 2.5. 専門業者に売却する
- 3. 活用予定がない再建築不可物件は早めの売却が最善策!
- 3.1. 再建築不可物件を売るのに最適なタイミング
- 3.2. 再建築不可物件を売る際に業者を選ぶポイント
- 4. 再建築不可物件の売却ならスマイル空き家買取センターまで
倒壊前に知っておくべき再建築不可物件のリスク
再建築不可物件とは、現在の建築基準法に適合しておらず、新たに建物を建てることができない物件のことを指します。
特に老朽化が進んでいる場合、以下のようなリスクがあります。
再建築不可物件のリスク
- 建物の老朽化による倒壊リスクが高い
- 倒壊しても建て替えができない
- 倒壊後更地になると固定資産税が高くなる
- 売却しにくくなる
- 倒壊による被害で損害賠償を請求される可能性がある
5つのリスクについて見ていきましょう。
建物の老朽化による倒壊リスクが高い
再建築不可物件の多くは、現在の建築基準法や都市計画法が制定される昭和時代以前に建てられたものがほとんどです。
特に築年数が50年以上経過している古い建物や、木造建築でシロアリの被害があるケースでは、倒壊リスクが高くなります。
老朽化が進んでいる建物は、地震や台風などの自然災害に弱く、被害を受けやすい状態です。
また、再建築不可物件は狭い道路に面していることが多いため、震災が起きて倒壊した場合、緊急車両が通れずに住人が避難できない状況に陥る事例も少なくありません。
倒壊しても建て替えができない
再建築不可物件の問題点は、万が一倒壊してしまった場合でも、新たに建物を建てることができない点です。
これは、建築基準法の「接道義務」に関係しています。
建物を建築するためには、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります。
しかし、再建築不可物件はこの要件を満たしていないため、建物が倒壊したとしても新築することが許可されません。
その結果、居住している場合は別の場所で新しい住まいを探す必要があり、倒壊した建物の解体費用として金銭的負担も増えてしまいます。
倒壊後更地になると固定資産税が高くなる
再建築不可物件が倒壊し、更地になった場合、固定資産税の負担が増加する可能性があります。
日本の税制では、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が軽減される仕組みになっています。
再建築不可物件であっても住宅用地の特例の対象です。
しかし、建物がなくなり更地になってしまうと、住宅用地の特例が適用されなくなり、翌年からの固定資産税が最大で6倍に跳ね上がることがあります。
再建築不可物件が倒壊してから長期間放置すると、税負担だけが増え続け、損失が拡大するおそれがあるため注意が必要です。
売却しにくくなる
再建築不可物件は土地としての需要が低い傾向にありますが、更地の状態ではさらに売却難易度が上がります。
再建築不可物件の倒壊後や解体後でも新たに住宅を建設できないため、利用用途が大きく制限されるからです。
たとえば、資材置き場や畑といった限られた用途にしか活用できないことが多く、また前面道路が狭い場合には駐車場として活用するのも難しい場合があります。
売却できたとしても低価格になりやすいため、早めに買取専門の不動産業者に相談することが重要です。
倒壊による被害で損害賠償を請求される可能性がある
再建築不可物件が倒壊すると、周辺の建物や住民に被害を与える可能性があり、損害賠償請求を受けるリスクがあります。
震災が起こった際、老朽化によって倒壊した建物が隣家や通行人に損傷を与えた場合、所有者の管理責任が問われることがあります。
損害賠償が請求されるかどうかは震災の規模や建物の管理状態によって異なりますが、実際に賠償請求が命じられたケースもあるので、特に古い状態の建物には注意が必要です。
再建築不可物件倒壊によるリスクを回避する対策
再建築不可物件は、さまざまな問題を引き起こす可能性があるため、事前に対策することが重要です。
具体的な対策として、以下の5つが挙げられます。
再建築不可物件倒壊によるリスクを回避する対策
- 耐震補強や防火対策で倒壊リスクを減らす
- 災害保険や地震保険に加入する
- 相続放棄や自治体への寄付で不動産を手放す
- セットバックや隣地購入で「再建築可能」にする
- 専門業者に売却する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
耐震補強や防火対策で倒壊リスクを減らす
再建築不可物件の倒壊リスクを低減するためには、耐震補強や防火対策が不可欠です。
再建築不可物件であっても、リフォームなどの耐震・耐火対策によって、倒壊リスクを軽減することができます。
再建築不可物件の建て直しはできませんが、場合によっては柱や基礎部分だけを残した大掛かりなリフォームが可能です。
たとえば、耐震壁の設置や基礎補強を行い、建物の揺れに強い構造にしたり、耐火建材を使用したりすることで、震災に強い建物にすることができます。
災害保険や地震保険に加入する
災害による倒壊リスクに備え、保険に加入することも重要です。
再建築不可物件は震災によるリスクが高いため、地震保険と火災保険に加入しておきましょう。
倒壊してしまった場合、その土地での建て直しはできませんが、保険金によって万が一の災害時に経済的な負担を軽減できます。
保険の適用条件や補償範囲を事前に確認し、適切なプランを選択することが大切です。
相続放棄や自治体への寄付で不動産を手放す
再建築不可物件の管理が困難な場合、相続放棄や自治体への寄付を検討するのも一つの方法です。
亡くなった親などの財産を相続放棄すれば、不動産の管理や税負担を回避することができます。
ただし、相続放棄を行うと、対象となる不動産だけでなく、預貯金などを含む全ての財産を相続できなくなる点に注意が必要です。
また、ほかの相続人も全員相続破棄した場合には、引き続き管理責任が残る可能性もあるため、慎重に検討しましょう。
一方で、不要な土地を自治体に寄付できるケースがありますが、自治体によって不動産寄付の受け入れ条件が異なるため、事前に相談することが重要です。
セットバックや隣地購入で「再建築可能」にする
建築基準法に適合させるために、以下のようにセットバックや隣地購入によって「再建築可能」にする方法も検討できます。
再建築可能にする方法
- セットバック(道路後退)を行い、接道義務を満たす
- 隣地を購入し、道路幅員の基準をクリアする
セットバックとは、建築基準法に基づく接道義務を果たすために、前面道路の幅員を広げる目的で所有する土地を後退させることです。
敷地を後退させて道路にする必要がありますが、建築基準法を満たせば、建物を新たに建て直すことができます。
具体的にどのくらいセットバックする必要があるかは、道路の状態や地域によって異なるため、自治体に確認すると良いでしょう。
また、前面道路の道幅は足りていたとしても、道路に面する接道距離が2mに満たない場合、セットバックしても再建築可能にできません。
接道距離の条件を満たすために隣地を買い取ることで、再建築可能にすることが可能です。
専門業者に売却する
再建築不可物件は、一般市場では売却が困難なため、専門の買取業者を利用するのが有効です。
専門業者に買い取ってもらうことで、仲介業者を挟んだ個人間取引では需要が少ない物件でも、すぐに現金化することができます。
事前のリフォームなどの手間が不要で、現状引き渡しできるケースが多く、売却によって維持費や固定資産税の負担軽減が可能です。
買取実績のある業者を選ぶことで、スムーズに売却でき、適正価格での売却が期待できます。
活用予定がない再建築不可物件は早めの売却が最善策!
特に活用予定がなく居住者もいない場合、老朽化しやすい再建築不可物件は早めに売却を検討することをおすすめします。
再建築不可物件を売る最適なタイミングと、買い取り業者を選ぶポイントについて解説します。
再建築不可物件を売るのに最適なタイミング
再建築不可物件を所有していても、どのタイミングで売却すべきか迷う人も多いでしょう。
再建築不可物件を売却するタイミングは重要です。
適切な時期を見極めることで、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。
以下のポイントを踏まえ、最適なタイミングを判断しましょう。
再建築不可物件を売るのに最適なタイミング
- 老朽化が進行している場合
- 維持費や税負担が増えている場合
- 隣家が引っ越すタイミング
- 市場の不動産価格が上昇している時期
- 法改正や都市計画変更の可能性がある場合
老朽化が進行すると、倒壊リスクや修繕費・維持費の負担が増し、売却価格にも悪影響を与えます。
特に築50年以上の物件は、早めの売却を検討することが賢明です。
また、固定資産税や管理費が増加し、所有するメリットが薄れたと感じた場合も、売却を考えるべきタイミングといえます。
もし隣家が引っ越しなどで土地を手放すことを検討していれば、購入することで再建築可能物件にでき、売却しやすくなる可能性があります。
さらに、市場の不動産価格が上昇しているときは、より高値で売却できるチャンスがあるため、定期的に市場動向を確認することが重要です。
加えて、建築基準法の改正や都市計画の変更により、再建築不可物件の価値がさらに下がる可能性があります。
そのため、将来的な規制の変更を見据えて、できるだけ早めに売却することを検討すると良いでしょう。
再建築不可物件を売る際に業者を選ぶポイント
再建築不可物件は、一般的な不動産市場では買い手が見つかりにくいため、適切な業者を選ぶことが大切です。
業者ごとに対応や査定額が異なるため、以下のポイントを押さえて慎重に選びましょう。
再建築不可物件を売る際に業者を選ぶポイント
- 再建築不可物件の買取実績が豊富な業者を選ぶ
- 複数の業者に査定を依頼し、比較する
- 契約条件や手数料を事前に確認する
- 口コミや評判をチェックする
再建築不可物件の買取経験が豊富な業者であれば、適正価格での売却が可能になります。
実績のある業者は、再建築不可物件の特性を理解しており、スムーズに手続きを進めてくれるため、過去の取引事例を確認しながら信頼できるかどうかを判断しましょう。
また、1社だけに査定を依頼するのではなく、複数の業者に依頼することで、より高い価格での売却が可能です。
業者によって提示額が異なることがあるため、比較することで最適な選択ができます。
さらに、業者ごとの対応の丁寧さや売却後のフォロー体制も確認しておくと安心です。
買取業者によっては手数料が発生する場合があり、契約内容をよく読まずに進めると、売却後に不要なトラブルが生じる可能性があります。
特に、解体費用や手続きに関する費用負担について明確にしておくことが重要です。
再建築不可物件の売却ならスマイル空き家買取センターまで
再建築不可物件には倒壊リスクが伴いますが、このリスクを軽減するためには適切な対策をとることが重要です。
特に、物件が倒壊した場合には周囲の安全や所有者自身の責任にも関わってきます。
事前に倒壊リスクを認識し、定期的な点検や修繕といった管理が必要です。
再建築不可物件の管理にお困りの方や売却を検討している方は、ぜひスマイル空き家買取センターまでご相談ください。
スマイル空き家買取センターでは、再建築不可物件の買取にも対応しています。
物件の状態に応じて最適な提案をいたしますので、まずはお気軽にご連絡ください。

有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。