無道路地でも売れる!売れないと言われる理由や売却方法を解説

無道路地とは、「建築基準法上における『道路に接道していない土地』」のことです。

無道路地は、再建築不可など建て替え制限があったり、出入りしづらいといったデメリットから資産価値が低く、売却しづらいものとされています。

無道路地を売却したければ、専門知識が必要です。

一般の不動産業者も、無道路地の売買は難しく取り扱っていないことすらあります。

そこで今回は、無道路地であっても売れやすくする方法や、資産価値を高める方法、さらには無道路地を利活用するための施策や、そもそも無道路地とはどういった性質を持つのかといった基礎知識について詳しく解説します。

もし無道路地の売却方法を知りたい場合、ぜひ参考にしてみてください。

無道路地が売れないと言われる4つの理由

無道路地はその性質から、非常に売却しづらい不動産です。

無道路地が売れづらい理由は以下の4つです。

無道路地が売れづらい理由

  • 理由1:建物の再建築ができないから
  • 理由2:日当たりや風通しが悪いから
  • 理由3:住宅ローンが組みにくいから
  • 理由4:隣地を通る必要があるから

以下からは、無道路地が売却しづらいこれら4つの理由それぞれについて詳しく解説します。

理由1:建物の再建築ができないから

無道路地とは、建築基準法における「接道義務」を満たしていないのです。

接道義務

都市計画区域・準都市計画区域上における「土地に関するルール」であり、土地とは「幅4m以上の道路に、2m以上接していなければならない」という決まり(例外も存在する)

接道義務がない土地は、住宅を新築することばかりか建て直し、増築のために果たすべき「建築確認の申請」が通りません。

よって、無道路地に何らかの建築を施したい場合、制限がある中での建築行為を行うに留まるのです。

理由2:日当たりや風通しが悪いから

無道路地が存在しがちな場所には、問題があります。

それは、無道路地が存在する場所が「住宅密集エリア」であることが多いことを意味します。

住宅密集エリアとは、前面の道路が細いのです。

そのため接道としての道が「接道義務の基準以下」ともなりがちです。

さらには、ほんの小さなスペースを挟んですぐに住宅が建てられていることがほとんどとなっています。 

このように住宅が密集してしまうエリアだと、必然的に「日当たり」と「風通し」が悪いと想像されます。

「日当たり」と「風通し」は不動産を求める人にとって、土地選びでまず選択肢から外す物件をふるいにかける基準点ともいえます。

このため、無道路地は売却しづらくなっています。

理由3:住宅ローンが組みにくいから

無道路地の特性である、「建築等工事が不可能および大幅制限」により、価値は低くなりがちです。

価値が低い土地とは扱いづらいものとみなされ、住宅ローンの担保として設定しにくくなります。

もしその土地を買いたい人がいたとしても、住宅ローンが組めないのだとすれば買う時に「現金一括」を選択しなければなりません。

無道路時とはいえ、不動産の売買を現金一括で行うには経済的に豊かでなければ実現しづらいため、結果的に住宅ローンが組みづらい土地ということで売却しづらくなっています。

理由4:隣地を通る必要があるから

実際に無道路地を利用するとありがちなのが、道路に面していないため隣地を通らなければならないことです。

土地が道路に面していなければ、土地への行き来のために隣地を使うことになります。

このとき、隣地の通行には「通行権」の対価としてお金を払う必要があります。

無道路地に住んでいる人がそこから出入りして、別の場所に行くために隣地を通るのであれば、この隣地の方にお金を支払うのです。

この「通行料」には算出方法としてルールや相場がありません。

通行料がどのように決まるかが不透明であれば、購入がためらわれます。

もっとも一般的な土地であれば、通行時に料金など発生しないため、この雑費が敬遠されることも大きな理由です。

売れない理由が売却におよぼす影響は?

売却しづらい理由がある「無道路時」は、実際の売却時にもそれらの理由が悪い影響を及ぼすことになります。

無動路地が売れない理由が、売却時にも及ぼす影響は以下の2パターンです。

無道路地が売れない2つのパターン

  • 売却価格が低くなる
  • 売却まで時間がかかる

各「無動路地が売却しづらい理由が売却時に及ぼす悪影響」について以下から詳しく解説します。

売却価格が低くなる

道路に面していない、無動路地の売却価格は低くなりがちです。

道路に面した一般的な土地に比べると、3〜5割ほどの価格低下が現状の市場にはみられます。

また不動産業界において「新築」物件の人気はいまだ高いものです。

したがって、リフォームや立て直し、増築などが不可能だったり制限がある無動路地を買いたいと思う顧客は多くはないと想定されます。

このように、何らかのリフォームなどが施せない無動路地の場合は売却価格にマイナスの影響が起こることは避けがたいものです。

売却まで時間がかかる

無動路地は市場で人気が低くなりがちであり、敬遠されてしまうため土地売買の専門家などでなければ取り扱えないことがあります。

つまり売買が難しいケースであるため、無動路地の売却が成立するまでには、一般の不動産よりも時間がかかるという影響があります。

この影響はその土地が無動路地である限り起こり続ける影響であるため、もし相談先の不動産会社などが直接買い取れて、かつ売却を急ぐのであれば、そちらに買い取りを依頼することになります。

一般的に不動産会社による無動路地の買い取りは、相場よりも価格が安くなるため、早期現金化といったメリットに対して本項におけるようなデメリットを織り込まなければなりません。

売れない無道路地を売却する5つの方法

解説の通り無道路地とは、売れないイメージが強く、実際に理由があって売りづらいものです。

しかしながら以下のように発想や方法を変えてみると、意外に売れることがあります。

無道路地を売却できる5つの方法

  • 方法1:隣地の所有者に売却する
  • 方法2:接道義務の条件を満たしてから売却する
  • 方法3:専門の買取業者に売却する
  • 方法4:地方公共団体に申請し、建築の許可を得てから売却する
  • 方法5:リフォームしてから売却する

それぞれの方法について、次から詳しく解説します。

【1】隣地の所有者に売却する

売れないとされる無道路地ではあるものの、隣地の所有者であればそれなりの額で買い取ってくれる可能性があります。

そもそも無道路地とは住宅密集エリアに存在することが多いため、隣地も無道路地となっている可能性は高いのです。

そのため隣地にしてみれば、こちらの土地を買い取ることで無道路地のリスクを回避できるようになるかも知れません。

自分の土地が無道路地でなくなれば、土地の価値が大きく上昇します。

不動産とは将来的な価値をも見込まれて売買されるものであるため、隣地の所有者が堅実に土地活用について考えている方である場合、交渉の余地があります。

【2】接道義務の条件を満たしてから売却する

売却益との兼ね合いにはなるものの、自分の無道路地を「無道路地でなくなった状態」にしてから売却する方法もあります。

土地を無道路地でなくした状態とは、「接道義務」の違反などを解決することです。

義務違反の解決により、無道路地ではなく通常の住宅として市場で取り扱えるようになります。

接道義務の条件クリアとは大掛かりなものだと、「前面道路の幅員確保」や「接道距離の確保」が挙げられます。

接道距離を確保するためには、2mのスペースが必要です。

例えばこのスペースを、隣地の買い取り、もしくは一部の土地交換により確保するのです。

こういった行為により、無道路地ではなく普通の宅地としての売買が可能に、さらに無道路時よりは大きな売却益が見込めるようになります。

【3】専門の買取業者に売却する

無道路地のような「売りづらい物件」でも買い取りを行う専門の買取業者があります。

専門の買取業者は、無道路時のような道路に面さない土地であってもその扱いに長けています。

さまざまな条件を抱えた土地の扱いに慣れている理由は、専門の買取業者が一般以上に建築基準法などにおける細かい部分の知識を豊富に持っているということです。

専門の買取業者はそちらを利用し、ノウハウにより接道義務の条件を満たすなどでたとえ無道路地のような土地でも高値で売却することができます。

専門の買取業者へ相談する場合は、さまざまな業者を比較検討すべきです。

その際は、情報を一度入力するだけで複数業者への問い合わせが実現できる一括査定サイトなどを利用してください。

もちろん、自分で地道に複数の業者に相談しに行く方法でも大丈夫です。

しかしながら普通の不動産買取業者は、無道路地の買い取りしていないことも多いため注意してください。

【4】地方公共団体に申請し、建築の許可を得てから売却する

「建築基準法第43条2項2号の特例」というものを用いると、「建物の再建築」が認められることがあります。

本特例による申請は、地元の自治体など地方公共団体に対して行うものです。

申請が承認されると、例えば無道路地における接道義務の基準に達していない場合でも、別途国が定める基準(建築基準法施行規則第10条の3第4項)を満たすことで建築許可が得られます。

問い合わせは、自治体の建築課などに対して行ってください。

【5】リフォームしてから売却する

無道路地が抱えるネックである「再建築の許可」が得られない場合、リフォームを施すことで売却益を高められる可能性があります。

再建築許可がなくても、リフォームは実施できます。

もしリフォームにより、無道路時の宅地でも新築のように生まれ変わらせられれば、資産価値が高まり、購入希望者が喚起できるのです。

このリフォームの場合でも、リフォーム費用と売却益の兼ね合いに注意すべきです。

実際にリフォームする場合は、売却価格を試算した上でリフォームの見積もりを複数業者に提示させてください。

更地にすると資産価値が低下するため要注意!

無動路地とは、一度建物を解体して更地にしてしまうと、「接道義務を果たすまで再建築不可」となる可能性が高い不動産です。

このため、無道路地を見境なく解体しようとするのは避けてください。

もし仮に建築物が老朽化していても、更地にしてしまうことで再建築のための条件をクリアする必要が生じてしまい、当該地の資産価値が低下したとみなされることになります。

つまり、以後の購入者の購入ハードルが大きく上昇してしまいます。

無道路時に手を加えたい場合、「その土地が購入希望者にとって『費用以上の付加価値』が得られるものなのかどうか」を基準に考えねばなりません。

どうしても売れない無道路地を活用する方法

無道路地の売却が難しかったり、売却の準備を長期的に続けなければならない場合などは土地の利活用を考えてみてください。

無道路地の活用方法として、以下が考えられます。

無道路地の活用方法

  • 活用方法1:賃貸物件として活用する
  • 活用方法2:バイク置き場として活用する
  • 活用方法3:物置として活用する

それぞれの方法について、さらに詳しく解説します。

活用方法1:賃貸物件として活用する

売却という結果と少し異なるものの、無道路地に建物が残っている場合はリフォームを施せば「戸建て賃貸物件」として魅力的な存在に生まれ変わらせることができます。

土地や建物に魅力があれば、顧客を集め、家賃収入を得られるかもしれません。

都会の場合であれば、駐車場が確保しづらい無道路地であっても住みたい人は多いです。

リフォームによる建物の賃貸物件化は、リフォーム費用と家賃収入との兼ね合いを事前に試算する必要があります。

家賃収入による資金回収には時間がかかることもあるため、自分の生活を圧迫するほどのリフォーム工事代金を負担することは勧められません。

活用方法2:バイク置き場として活用する

無道路地は車の出入りができないものの、バイクや自転車であれば行き来できる場合が多いです。

したがって、売れない無道路地はバイク置き場・駐輪場として利活用できます。

やはり人口が多いエリアでは住宅が密集しており、バイクや自転車置場が確保できない住民は多いものです。

つまりそのような需要がある土地であることが事前にわかっていれば、バイク置き場や駐輪場として土地を活用する価値があるのです。

活用方法3:物置として活用する

物置やトランクルームとして無道路地を利用する方法もあります。

物置やトランクルームとは、不用品などが収納できれば役割を果たします。

そのため、土地の形状などは重要視されにくい傾向にあるのです。

重要なことは当該物置を使いたい方が何をそこに収納しにくるかです。

物置やトランクルームとして利用できるのであれば、無道路地というだけでなく不整形地であっても需要は高まります。

楽器、サーフボードといった、特定期間だけ使うような道具は一定数存在します。

それらは捨てられるものではなく、保管需要があるのです。

いずれの方法も、自己負担ができるだけ緩和できるように専門家などへ相談してから実行してください。

売れない無道路地をそのままの状態で手間なく売却したいなら専門の買取業者に依頼するのがおすすめ!

今回は、無道路地の売却方法、利活用の方法について解説しました。

無道路地は再建築の条件が厳しかったりするため、売却が難しいものです。

しかしながら、無道路地を売却するために工夫する方法や、売却益を高める方法、売却とは少し異なる方法ではあるものの無道路時から一定の収入を得る方法は存在します。

無道路地のような訳あり物件をどうしても売却で手放したい場合は、専門の買取業者への依頼がおすすめです。

専門の買取業者であれば無道路地のような条件がわるい不動産であっても、売るためのノウハウを持ち得ています。

昨今では買取業者を選別できるサイトも存在するため、さまざまな業者を比較検討してみてください。

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