再建築不可物件は火災保険に加入できる?保険加入の必要性や補償内容を解説

再建築不可物件は火災のリスクが高く、火災が発生したときも被害が大きくなりやすいとされています。

そのため、万が一に備えて火災保険に加入しておくことは重要です。

しかし、「『再建築不可』という条件が保険加入のハードルになるのではないか」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、再建築不可物件は火災保険に加入できるか、また保険加入の際に押さえておきたいポイントについて解説します。

【結論】再建築不可物件でも火災保険に加入できる

結論からいうと、再建築不可物件でも火災保険への加入は可能です。

再建築不可物件とは、建築基準法により定められている「接道義務」を満たしていないため、家を建て替えられない土地を指します。

ほかの物件よりも不利な条件があることから、「再建築不可物件では火災保険に加入できない」と思っている方もいるでしょう。

しかし、保険契約の審査で確認されるのは、建物の築年数や構造、状態などです。

再建築不可物件とほかの物件との違いは建て替えに関する点だけであり、審査基準は変わりません。

したがって、接道義務を満たしておらず再建築ができないからといって、火災保険への加入を断られることはありません。

再建築不可物件が火災保険に加入すべき理由

誰も住んでいないといった理由から、「再建築不可物件に保険料を支払うのはもったいない」と思う方もいるでしょう。

しかし、再建築不可物件だからこそ、火災保険への加入が必要です。

再建築不可物件が火災保険に加入すべき理由は、以下のとおりです。

再建築不可物件が火災保険に加入すべき理由

  • 火災になるリスクが高い
  • 火災が拡大しやすい
  • 火災による金銭的負担が大きい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

火災になるリスクが高い

以下の理由から、再建築不可物件は一般的な物件よりも火災の被害に遭うリスクが高いといえます。

再建築不可物件が一般的な物件よりも火災の被害に遭うリスクが高い理由

  • 木造住宅が多い
  • 放火の標的にされやすい
  • 延焼による被害を受けやすい

再建築不可物件の多くが昭和25年の建築基準法改正前に建てられた木造住宅です。

耐火リフォームが施されていない限り、一度火がつくと大きな火災になり、全焼する可能性が高いと考えられます。

また、再建築不可物件は築年数が古く、空き家となっている建物も多くあります。

老朽化した空き家は放火のターゲットにされやすい点からも、再建築不可物件は火災のリスクが高いといえるでしょう。

さらに、近隣で火災が起きた場合も、再建築不可物件は被害を受けやすいといえます。

再建築不可物件は建物が密集した住宅地にあるケースが多く、近隣で火災が起こると、延焼により被害を受ける可能性も少なくありません。

このように、再建築不可物件は火災に遭う可能性が高いことから、火災保険に加入すべきといえます。

火災が拡大しやすい

再建築不可物件はその性質上、火災が拡大して被害が大きくなりやすいことも重要なポイントです。

再建築不可物件は「接道義務」を満たしていない土地のことを指します。

接道義務とは「幅員4m以上の道路に、建物の敷地が2m以上接している」というものです。

接道義務を満たしていない物件は、消防車や救急車などの緊急車両が建物の近くまで入れません。

そのため、再建築不可物件で火災が発生すると、緊急車両の到着や消火活動が遅れてしまい、被害が拡大するリスクが高いといえます。

再建築不可物件が全焼するだけでなく、周囲の住宅に燃え広がってしまうこともあるでしょう。

原則として、火災が延焼しても失火責任法により免責となり、損害賠償の責任を負うことはありません。

しかし、火災の原因が「重大な過失」、つまり防げたはずの明らかな不注意にあれば、損害賠償を請求される可能性があります。

したがって、自身や近隣の損害を補填できるように火災保険に加入しておくべきでしょう。

火災による金銭的負担が大きい

火災による経済的ダメージを受けやすいことも再建築不可物件の特徴です。

近隣の火災が延焼して再建築不可物件が被害を受けた場合でも、火災の原因となった住民は免責となります。

損害賠償を請求できないため、再建築不可物件の修繕は全て自費で行わなければなりません。

建物の一部が損傷した程度であれば、再建築不可物件でも修繕は可能です。

しかし、全焼となると同じ土地での建て替えはできないため、別の土地を購入して建物を建てる必要があります。

この場合、土地の購入費用と建物の建築費用がかかり、相当な金額の出費が発生するでしょう。

さらに、建物が全焼して再建築不可物件に人が居住しなくなったとしても、土地がある限り固定資産税の負担は継続します。

新しい土地購入費や家の建築費、固定資産税などを補填するためにも、火災保険への加入をおすすめします。

火災保険でカバーできる範囲

火災保険は、火災による被害だけを補償するものと思われがちです。

しかし、実際はさまざまな災害や事故、事件による被害も補償の対象となります。

以下では、一般的な火災保険で補償される内容について解説します。

補償される内容

火災保険で補償される主な対象は、次のとおりです。

火災保険で補償される主な対象

  • 火災
  • 落雷
  • 風災(台風・竜巻など)
  • 雹災
  • 雪災
  • 爆発・破裂

火災保険のメインの補償対象である「火災」は、燃え広がった火災により自宅が被害を受ける「類焼」や、周囲へ燃え広がる「延焼」も含まれます。

また、「落雷」は火災を引き起こす可能性がある災害であるため、火災保険の補償対象となっています。

雷が落ちて建物が損傷する場合だけでなく、近隣への落雷で家電や電気設備が故障するケースも補償の対象です。

さらに、次のような災害や事故、事件も補償の対象に組み込める場合があります。

火災保険の補償の対象に組み込める可能性のあるもの

  • 水災(大雨・洪水・土砂崩れなど)
  • 物体の衝突・落下・飛来
  • 盗難・空き巣
  • 騒擾(デモ活動)
  • 破損・汚損

特に、再建築不可物件が空き家となっている場合は盗難や空き巣の被害に遭いやすいため、対応できる補償があると安心です。

盗難や空き巣の際に窓ガラスやドアが破損された場合も、補償の対象となります。

なお、補償内容は保険会社や保険のプランにより異なるため、加入時によく確認しましょう。

【注意】地震による被害は補償されない

火災保険に加入しても、地震による被害は補償されないことに注意してください。

火災保険は幅広い災害による被害をカバーしますが、地震に関連する以下の被害は補償対象となりません。

火災保険の補償対象外のもの

  • 地震の揺れによる建物の損傷や倒壊
  • 地震により発生した火災
  • 津波や噴火

地震は発生の予測が困難な災害であるうえに、範囲が広く、被害が拡大しやすい特徴があります。

そのため、地震による補償は火災保険ではなく、国と保険会社が共同で運営する「地震保険」で対応されます。

再建築不可物件は古い建物が多く、現在の耐震基準を満たしていないものも少なくありません。

さらに、多くの建物で老朽化が進んでおり、地震による損傷や倒壊のリスクが高いため、地震保険への加入を検討すると良いでしょう。

なお、地震保険は必ず火災保険とあわせて加入する必要があり、地震保険のみの加入はできません。

再建築不可物件に合った火災保険の選び方

各保険会社がさまざまな火災保険のプランを用意しており、どれを選べばよいか迷うこともあるでしょう。

再建築不可物件に合う火災保険の選び方について、押さえておくべきポイントは以下のとおりです。

再建築不可物件に合う火災保険の選び方のポイント

  • 必要な補償内容を見極める
  • 地震保険を付帯するか検討する
  • 補償内容と保険料のバランスを考える

それぞれ詳しく解説します。

必要な補償内容を見極める

適切な火災保険を選ぶには、自分が所有する再建築不可物件に補償内容が合っているか見極めることが大切です。

一般的な火災保険には、保険のベースとなる「基本補償」と、契約者がオプションとして追加できる「任意補償」が用意されています。

自分の物件にとって価値のある補償は備えるべきですが、無駄なものまで追加する必要はありません。

たとえば、近くに大きな河川がなく物件が高台にある場合、水災の補償が手厚いと無駄になる可能性があります。

雪がほとんど降らない、降ったとしても大きな被害になる可能性が少ない地域では、雪災の補償は必要ないかもしれません。

このように、再建築不可物件の立地や環境を考慮して、最適な補償内容を選びましょう。

地震保険を付帯するか検討する

日本は地震の発生が多いにもかかわらず、地震による損害は火災保険では補償されません。

そのため、地震保険の付帯も検討する余地があります。

しかし、地震保険の保険料は火災保険の2倍以上になることも多く、地震保険に加入すると金銭的負担が増加します。

さらに、地震保険の保険料は建物の所在地と構造によって決まるため、多くが木造建築である再建築不可物件は保険料が高くなりがちです。

また、地震保険に加入しても損害金額を全てカバーできるわけではありません。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定されます。

ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円までの制限があるため、必要な補償金額に届かない可能性もあります。

地震保険の加入は保険料や補償金額をよく確認し、慎重に検討しましょう。

補償内容と保険料のバランスを考える

補償内容が充実すれば安心ですが、補償を増やすほど保険料は高額になります。

特に再建築不可物件の場合、木造で築年数が経過した建物が多いため、同じ補償内容でも一般的な物件より保険料が高くなる傾向があります。

そのため、再建築不可物件の火災保険を選ぶ際は、複数の保険会社の火災保険を比較し、補償内容と保険料のバランスが取れた保険を選ぶことが重要です。

火災保険に加入すると、定期的に保険料を支払い続けることになるため、よく比較検討して火災保険を選びましょう。

再建築不可物件の火災保険に関するよくある質問

再建築不可物件の火災保険についてよくある質問に回答します。

再建築不可物件の火災保険加入を検討している方は、事前に確認しておきましょう。

再建築不可物件に火災が起きても再建築はできない?

再建築不可物件では、現在建っている家屋を解体して、同じ土地に新しい建物を建築することができません。

火災により建物が全焼した場合も同様です。

しかし、再建築不可物件でもリフォームは可能です。

火災で建物の一部が損傷しただけであれば、その部分を修繕すれば住み続けられます。

ただし、再建築不可物件では、建物の構造を変えるような大規模なリフォームは認められないことに注意しましょう。

再建築不可物件の保険料は、通常の物件よりも高くなる?

再建築不可物件が理由で、火災保険の保険料が高くなることはありません。

しかし、建物の築年数や構造が火災保険の保険料に影響するため、古い木造住宅が多い再建築不可物件は、結果的に保険料が高くなる可能性があります。

たとえば、鉄筋コンクリートの建物よりも木造住宅の方が燃えやすく、火災時の被害も大きくなりやすい傾向があります。

また、築年数が古い家では給排水設備の老朽化も進み、水漏れによる損傷が少なくありません。

このように、さまざまな損害が起こるリスクがある古い木造住宅に対して、保険会社は保険料を高めに設定しています。

したがって、建築から長い年月が経過した木造住宅が多い再建築不可物件は、保険料が高くなるといえます。

再建築不可物件の補償範囲は通常の物件と同じ?

再建築不可物件だからといって、火災保険の補償範囲が制限されることはありません。

再建築不可物件でも、火災や落雷、風災など、一般的な物件と補償内容は同じです。

また、保険金の支払い基準も一般的な物件と変わらず、損害の程度に応じた補償を受けられます。

ただし、補償範囲は保険プランや任意補償の有無により異なる場合があるため、契約前によく確認しておきましょう。

再建築不可物件の火災保険加入に悩んだら、売却する方法もある

再建築不可物件は火災に遭うリスクが高く、火災による被害の影響も大きいため、火災保険に加入すべきです。

しかし、再建築不可物件が誰も住んでいない空き家である場合、保険料の支払いがもったいないと感じるかもしれません。

再建築不可物件について今後活用する予定がないのであれば、売却するのも選択肢のひとつです。

売却して再建築不可物件を手放せば、保険料を支払う必要がなくなるうえに、物件の管理や固定資産税の支払いからも解放されます。

とはいえ、再建築不可物件は建て替えができないデメリットがあるため、売却しても買い手が見つかりにくいとされています。

物件を手放したい場合、不動産仲介業者へ依頼するのが一般的ですが、買い手が現れなければ売却は進みません。

再建築不可物件をすぐにでも手放したいのであれば、不動産買取業者への依頼を検討すると良いでしょう。

取り扱いに困る再建築不可物件は買取業者に相談しよう

今回は、再建築不可物件でも火災保険に加入できるのか解説し、あわせて火災保険の補償内容や保険を選ぶ際のポイントなどを紹介しました。

再建築不可物件は火災保険に加入すべきですが、空き家であれば保険料の支払いがもったいないと感じることもあるでしょう。

火災保険への加入を迷う場合、買取業者に売却して再建築不可物件を手放すのもおすすめです。

空き家になっている再建築不可物件をお持ちの方は、スマイル空き家買取センターにご相談ください。

スマイル空き家買取センターは、再建築不可物件など、一般的な売買では買い手が見つかりにくい物件を専門に扱う買取業者です。

長年放置している物件や老朽化が進んでいる物件でも対応いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

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