再建築不可物件でコンテナハウスを活用する方法|メリットや注意点を解説

再建築不可物件を有効活用する方法の一つに、「コンテナハウスの設置」があります。
コンテナハウスは自分で利用するだけでなく、貸し出すことで収入を得る手段にもなります。
ただし、再建築不可物件にコンテナハウスを設置するには、いくつかの条件や注意点を理解しておくことが重要です。
この記事では、再建築不可物件におけるコンテナハウスの活用方法や注意すべき点について詳しく解説します。

有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. 再建築不可物件にコンテナハウスを設置できる?
- 1.1. コンテナハウスとトレーラーハウス、プレハブ小屋の違い
- 2. 再建築不可物件でもコンテナハウスを設置できる条件
- 3. 再建築不可物件でコンテナハウスを活用する方法
- 3.1. 住居にする
- 3.2. 倉庫や作業場として使う
- 3.3. 事業活用する
- 3.4. 貸し出す
- 4. 再建築不可物件にコンテナハウスを設置するメリット
- 4.1. 耐久性が高い
- 4.2. 設置工期が短く、移動や撤去も容易
- 4.3. さまざまな用途に活用できる
- 5. 再建築不可物件にコンテナハウスを設置するときの注意点
- 5.1. 定期的にメンテナンスを行う必要がある
- 5.2. 設置や維持に費用がかかる
- 5.3. トレーラーやクレーンが使えない場所は設置が困難である
- 5.4. 建ぺい率と容積率に注意する
- 6. 再建築不可物件×コンテナハウスに関するよくある質問
- 6.1. コンテナハウスの設置は本当に賢い選択?
- 6.2. 再建築不可物件にコンテナハウスを設置する以外に活用方法はある?
- 7. 再建築不可物件の取り扱いに悩んだら買取業者に相談しよう
再建築不可物件にコンテナハウスを設置できる?
再建築不可物件は、建築基準法の接道義務を満たしていないため、新たな建物の建築が認められません。
しかし、コンテナハウスであれば再建築不可物件にも設置できる可能性があります。
コンテナハウスとは、鉄道や船で貨物の運搬に利用されるコンテナを居住や事業用途に適した形に作り替えたものです。
コンテナハウスも建築基準法では建築物に該当するため、通常は再建築不可物件には設置できません。
しかし、一定の条件を満たす場合、再建築不可物件へのコンテナハウスの設置が可能になります。
コンテナハウスとトレーラーハウス、プレハブ小屋の違い
コンテナハウスと似た建造物に「トレーラーハウス」と「プレハブ小屋」がありますが、これらの違いをご存じでしょうか。
コンテナハウスとトレーラーハウスの違いは、法律上の分類にあります。
コンテナハウスは「建築物」である一方、トレーラーハウスはタイヤが付いており移動可能なため、「車両」として扱われます。
ただし、タイヤを外して土地に固定したり、階段やベランダなどを設置して公道を走行できない状態にしたりすると、建築物として扱われる点に注意が必要です。
また、コンテナハウスとプレハブ小屋の違いは、使用される建材にあります。
コンテナハウスは厚さ6mm以上の重量鉄骨、プレハブ小屋は厚さ6mm未満の軽量鉄骨が使用されています。
プレハブ小屋はコンテナハウスよりも設置コストが低い一方で、軽量鉄骨を使用しているため、耐久性や断熱性、防音性が劣る点がデメリットです。
再建築不可物件でもコンテナハウスを設置できる条件
通常、建物を建築する際は、その建物が建築基準法に適合しているか審査する「建築確認申請」が必要です。
再建築不可物件は建築確認申請が通らないため、建物を建築できません。
ただし、一定の条件を満たすと建築確認申請が不要になり、再建築不可物件にもコンテナハウスを設置できるようになります。
建築確認申請が不要になる条件は、次の3つです。
建築確認申請が不要になる条件
- 床面積が10平方メートル以下である
- 防火地域、準防火地域外である
- 新築ではない
10平方メートルの床面積は約3坪、6畳程度の広さです。
防火地域や準防火地域は都市計画法で定められており、駅前や繁華街など建物が密集しているエリアに多く指定されています。
新築ではない建物とは、増築や改築、移転が当てはまります。
なお、上記の条件とは別に条例で独自の規制を設けている自治体もあるため、事前に確認しましょう。
再建築不可物件でコンテナハウスを活用する方法
再建築不可物件では、大きなコンテナハウスの設置は難しいものの、それでもさまざまな方法で活用可能です。
再建築不可物件でコンテナハウスを活用する方法として、以下の4つがあります。
再建築不可物件でコンテナハウスを活用する方法
- 住居にする
- 倉庫や作業場として使う
- 事業活用する
- 貸し出す
それぞれの活用方法について詳しく紹介します。
住居にする
コンテナハウスをワンルームタイプの住居として活用するのも方法の一つです。
コンテナハウスは頑丈で、断熱性や防音性にも優れており、居住空間として快適に利用できます。
水道工事を行えば、キッチンやトイレも設置可能です。
ただし、家族で毎日過ごす自宅としては手狭なため、別荘やセカンドハウスとしての利用がおすすめです。
倉庫や作業場として使う
コンテナハウスを倉庫や作業場、アトリエ、スタジオとして利用する方も少なくありません。
普段は使用しないアウトドア用品や季節の衣類・雑貨など、自宅では収納しきれない荷物を保管するために設置しても良いでしょう。
趣味のバイクや自転車、それらのパーツを収納しつつ、作業場として使用するのにも最適です。
また、創作活動に集中できるアトリエや音楽を練習するためのスタジオとして利用する方法もあります。
コンテナハウスを快適な作業場や趣味の空間に変えれば、充実した時間を過ごせる場所になるでしょう。
事業活用する
コンテナハウスは汎用性が高いため、店舗や事業用のスペースとしても活用可能です。
実際に、以下のような店舗として活用されています。
コンテナハウスの活用事例
- カフェ
- ベーカリー
- ピザショップ
- コーヒーショップ
- フラワーショップ
- ネイルサロン
- 美容室
また、オフィスや事務所、教室、コインランドリーなどの事業用途としても利用されています。
コンテナハウスは外装や内装を自由にカスタマイズできるため、さまざまな業種に対応できるのが魅力です。
貸し出す
コンテナハウスには、他人に貸し出す活用方法もあります。
たとえば、貸オフィスや貸スタジオ、コワーキングスペースとして運用されている事例があります。
また、居住が可能な利点を活かし、宿泊施設として貸し出すのも方法の一つです。
近年は、トランクルームとしての需要も高まっています。
他人に貸し出すことで、賃料収入を得られる点も魅力です。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置するメリット
再建築不可物件にコンテナハウスを設置するメリットは、次の3つです。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置するメリット
- 耐久性が高い
- 設置工期が短く、移動や撤去も容易
- さまざまな用途に活用できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
耐久性が高い
コンテナハウスの最大の特徴は、耐久性の高さです。
木造住宅の耐用年数は22年とされていますが、コンテナハウスは34年と、約1.5倍も長く使用できるといわれています。
さらに定期的にメンテナンスを行えば100年以上使用できるほど、コンテナハウスは高い耐久性を備えています。
さらに、耐震性や防火性に優れていることも魅力です。
本来のコンテナは貨物を長距離輸送する用途で使われていたものであり、大事な貨物を安全に運ぶため、衝撃や揺れ、火災にも耐えられるよう設計されています。
したがって、コンテナハウスも耐震性や防火性に優れており、人が過ごす空間としても安心して利用できます。
設置工期が短く、移動や撤去も容易
コンテナハウスは短期間で設置可能で、移動や撤去の手間もあまりかかりません。
一般的な住宅は建築現場で建材を加工するため、現場に材料を運び込み、加工して建築するまでに時間を要します。
一方で、コンテナハウスは、工場で規格化された部材を生産し、コンテナの形に加工する「モジュール建築」と呼ばれる方法で作られています。
そのため、コンテナハウスは工場から現場に運ぶと、あとは設置するだけなので、工期が短期間で済むのが特徴です。
また、トラックやトレーラーを利用すればコンテナハウスごと移動でき、撤去も一般的な住宅ほど手間がかかりません。
したがって、コンテナハウスは手間をかけず建物を設置したい場合に最適な選択肢といえます。
さまざまな用途に活用できる
コンテナハウスはさまざまな方法で活用できます。
コンテナハウスはいわば金属の箱であり、元の形はシンプルです。
そのため、汎用性が高く、自由にカスタマイズして理想の空間に作り上げる楽しさがあります。
また、断熱性や遮音性に優れていることもポイントです。
コンテナハウスは金属に厚みがあり、壁には断熱材が入っているため、断熱性能は一般的な住宅と遜色ありません。
また、遮音性が高く、大きな音が発生する作業や楽器の練習なども行えます。
したがって、コンテナハウスは人が過ごす場所として問題なく利用可能であり、理想の空間を実現できる魅力的な建築物といえるでしょう。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置するときの注意点
頑丈で便利なコンテナハウスですが、再建築不可物件に設置する際は次の4点に注意しなければなりません。
再建築不可物件に設置する際の注意点
- 定期的にメンテナンスを行う必要がある
- 設置や維持に費用がかかる
- トレーラーやクレーンが使えない場所は設置が困難である
- 建ぺい率と容積率に注意する
それぞれの注意点について詳しく解説します。
定期的にメンテナンスを行う必要がある
コンテナハウスの耐用年数は長いものの、良好な状態を保つためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
コンテナハウスにおいて特に注意すべきポイントは、次の3つです。
コンテナハウスにおいて特に注意すべきメンテナンスのポイント
- さび
- シロアリ
- 雨漏り
コンテナハウスは金属でできている特性上、どうしてもさびが発生します。
さびを防ぐためには、防錆塗料を使用した外壁塗装が3〜5年に1度は必要です。
シロアリは、コンテナハウスの断熱材に繁殖する可能性があります。
配管周辺から侵入することが多いため、侵入を防ぐメッシュを設置すると良いでしょう。
また、コンテナハウスはドアや窓などの開口部から雨漏りするケースが多く、定期的にシーリングを行い、隙間を埋める必要があります。
このように、コンテナハウスの快適な環境を維持するには、こまめなメンテナンスが必要であることを覚えておきましょう。
設置や維持に費用がかかる
コンテナハウスは安価で設置できるイメージがありますが、実際には木造住宅を建築するよりも費用がかかることも少なくありません。
中古のコンテナハウスを利用すれば、本体はコストを抑えることが可能です。
しかし、設置には以下のような費用もかかります。
コンテナハウスの設置にかかる費用
- 運送費
- 基礎工事費
- 給排水繋ぎ込み費
- 電気工事費
- 外装・内装費
コンテナハウスは工場からそのまま運び込むだけで設置できますが、運搬するトラックやトレーラー、設置のためのクレーンやフォークリフトを手配しなければなりません。
住空間として利用するなら、水道や電気も必要です。
さらに、中古のコンテナハウスを利用する場合、補修に費用がかかり、新品よりもコストがかかってしまうケースもあります。
加えて、以下の維持費用も必要です。
コンテナハウスの維持にかかる費用
- 固定資産税
- 火災保険料
- 修繕費
地域によっては都市計画税がかかる場合もあります。
コンテナハウスは金銭的負担を抑えられると思われがちですが、実際は意外に費用がかかることに注意しましょう。
トレーラーやクレーンが使えない場所は設置が困難である
コンテナハウスの設置には、トラックやクレーンなどの車両が必要です。
そのため、道幅が狭く、車両が入り込めない場所には設置できません。
地盤が弱く、大型車両の通行により地盤沈下のリスクがある場所も設置が困難です。
さらにクレーンは、電線や樹木に接触するおそれがある場所では使用できません。
特に、再建築不可物件は接道義務を満たしていないため、大型車両の搬入が難しいケースがあります。
コンテナハウスを設置可能な場所であるか、事前によく確認しましょう。
建ぺい率と容積率に注意する
コンテナハウスを設置予定の土地にすでに建物がある場合、建ぺい率と容積率が基準内であることを確認しましょう。
建ぺい率とは土地の面積に対する建築物の面積の割合、容積率とは土地の面積に対する建築物の延べ床面積の割合です。
建築基準法により、建ぺい率と容積率には制限が設けられています。
すでに建物がある土地にコンテナハウスを設置する場合、建ぺい率と容積率は、建物とコンテナハウスの面積を合計した値を使用して求めます。
コンテナハウスの増設により、建ぺい率と容積率が制限を超えてしまうと違法建築となるため、注意しましょう。
再建築不可物件×コンテナハウスに関するよくある質問
再建築不可物件とコンテナハウスについてよくある質問に回答します。
再建築不可物件へのコンテナハウスの設置を検討している方は、ぜひ確認しておきましょう。
コンテナハウスの設置は本当に賢い選択?
結論として、再建築不可物件にコンテナハウスを設置する選択はおすすめできません。
コンテナハウスの設置には建築確認申請が必要ですが、再建築不可物件で申請を通すことはまず不可能です。
建築確認申請が不要になる条件は存在しますが、かなり限定的であるため、あまり現実的ではないでしょう。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置できたとしても、適切に維持するには費用と労力がかかります。
負担が大きい方法をあえて選ぶより、再建築不可物件をほかの方法で活用する方が良いでしょう。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置する以外に活用方法はある?
再建築不可物件の活用方法には、次のようなものがあります。
再建築不可物件の活用方法
- 駐車場・駐輪場
- ドッグラン
- 農園
- 資材置き場
- 買取業者に売却
接道義務を満たせていなくても、車両が出入りできる間口が確保できれば、再建築不可物件でも駐車場や駐輪場として活用できます。
ドッグランも有効な活用方法ですが、近隣とトラブルにならないように、鳴き声や衛生面に配慮する必要があります。
また、土地が農地ではなくても、農園にすることは可能です。
自身の家庭菜園に利用するほか、貸農園にすれば賃料や利用料が収入になります。
さらに、建築会社や土木会社に貸し出し、資材置き場として利用してもらう方法もあります。
活用が難しい場合や、管理や税金の負担が煩わしい場合は、買取業者に売却するのがおすすめです。
再建築不可物件の取り扱いに悩んだら買取業者に相談しよう
コンテナハウスの設置は魅力的な活用方法の一つですが、再建築不可物件に設置するのはあまり現実的ではありません。
再建築不可物件にコンテナハウスを設置できたとしても、メンテナンスや税金の支払いを負担に感じるでしょう。
再建築不可物件を無理に活用するよりも、売却して手放したほうが結果的にメリットが大きい可能性があります。
再建築不可物件を売却したい方は、スマイル空き家買取センターまでご相談ください。
再建築不可物件をはじめ、活用が難しい物件の買取を行ってきた実績がございます。
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有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。