「43条但し書き道路」とは?売却前に知っておきたいポイント
物件の売却を検討している際に、不動産業者から「この物件は43条但し書き道路に面しています」という説明を受けたことはありませんか?
不動産売買の世界では、「43条但し書き道路」という言葉がしばしば登場しますが、その意味や影響を正確に理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、「43条但し書き道路」が何を意味し、その物件の売却や活用にどのような影響を与えるのかについて、具体的な事例やたとえ話を交えながら、詳しく解説していきます。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
建築基準法第43条とは?
「43条但し書き道路」を理解するためには、まず建築基準法第43条について理解する必要があります。
建築基準法第43条は、建物を建てる際の敷地の要件を定めた法律です。この法律では、建物の敷地は原則として「幅4メートル以上の道路」に2メートル以上接していなければならない、と規定しています。
この規定を「接道義務」と呼びます。
接道義務は、建物の安全性や住環境の改善を目的としています。
例えば、幅の広い道路に接することで、建物にアクセスしやすくなり、火災などの災害時に消防車や救急車が迅速に到達できるようになるためです。
また、道路の幅が広ければ、居住者の生活の安全性や快適性も向上します。
「43条但し書き道路」とは?
では、「43条但し書き道路」とは何なのでしょうか?
実際には、すべての土地が幅4メートル以上の道路に接しているわけではありません。
特に都市部では、狭い路地や、私道、農道に接している土地も多く存在します。これらの道路は建築基準法第43条の「道路」として認められていないため、原則として新しい建物を建てることができません。
しかし、こうした土地に建物を建てられないのでは、土地の利用価値が大きく制限されてしまいます。
そこで、建築基準法第43条には「但し書き」が設けられており、特定の条件を満たせば、「道路」として認められていない狭い道や私道に接する土地にも、例外的に建物を建てることができる場合があります。
この例外措置が「43条但し書き道路」に当たる土地の扱いです。
43条但し書き道路に面した物件の特徴
「43条但し書き道路」に面した物件には、いくつかの特徴があります。
これらの特徴は、物件の売却時や購入希望者への説明において重要な要素となるため、よく理解しておくことが大切です。
建築の制限がある
「43条但し書き道路」に面した土地は、通常の道路に面した土地と比べて、建築に際して一定の制限があります。
具体的には、地方自治体の判断で、建物の構造や高さ、建ぺい率や容積率に制限がかかることがあります。
これにより、自由な建築計画が難しくなるケースがあるため、購入希望者は慎重になることが多いです。
再建築不可物件になりやすい
「43条但し書き道路」に面した物件は、再建築不可物件となることが少なくありません。
再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊した場合、新たに建物を建てることができない物件を指します。
このため、将来的に家を建て替える計画がある購入希望者には敬遠されやすく、売却の際には物件の価値が下がる可能性があります。
売却価格に影響する
前述の通り、建築の制限や再建築不可のリスクがあるため、43条但し書き道路に面した物件の売却価格は、一般的な物件に比べて低くなる傾向があります。
購入希望者が土地の活用に不安を抱えるため、買い手が見つかりにくいということもあります。
43条但し書き道路の例外措置:認定手続き
43条但し書き道路に面した物件でも、一定の条件を満たせば新たに建物を建築できることがあります。
これを実現するためには、地方自治体に対して「認定手続き」を行う必要があります。
この手続きにより、行政が建物の安全性や周囲の環境への影響を確認し、適切と判断されれば、建築が許可されます。
認定を受けるためには、以下のような条件が求められる場合があります。
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- 消防車や救急車の通行が確保できること:幅が狭い道でも、緊急時に必要な車両が通行できるかどうかが重視されます。
- 周囲の住環境への影響が少ないこと:建物が近隣の住環境に悪影響を与えないことが求められます。
- 近隣住民の同意が得られること:一部のケースでは、近隣住民の同意が必要となることもあります。
43条但し書き道路に面した物件を売却する際のポイント
「43条但し書き道路」に面した物件を売却する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。
正確な情報を把握する
まずは、物件がどのような道路に面しているのかを正確に把握し、自治体での確認を行いましょう。
売却前に認定手続きを行っておくことで、買い手に対して再建築が可能な物件としてアピールすることができ、売却の成功率が高まります。
専門家のアドバイスを受ける
43条但し書き道路に関する法律や手続きは複雑なため、専門の不動産業者や弁護士、行政書士などのアドバイスを受けることをおすすめします。
これにより、適切な手続きが行われ、トラブルを避けることができます。
6-3. 売却価格に反映させる
43条但し書き道路に面した物件は、通常の物件と比べて売却価格が低くなることが一般的です。
しかし、物件の価値を正確に把握し、適切な価格設定を行うことで、買い手に対して合理的な提案が可能となります。
認定手続きを行った場合は、その手続きをアピールポイントにすることで、価格の下落を防ぐことができるかもしれません。
43条但し書き道路に面した物件の売却は専門家への相談がおすすめ!
「43条但し書き道路」に面した物件は、一般的な道路に面している物件に比べて、売却や活用に制限があることが多いです。
しかし、適切な手続きを行い、自治体の認定を受けることで、建物を建てたり売却をスムーズに進めたりすることが可能です。
物件の売却を検討している方は、まずは43条但し書き道路について正しい知識を身に付け、専門家のアドバイスを受けながら売却の手続きを進めることが大切です。
適切な準備を行うことで、売却活動が成功し、最良の結果を得ることができるでしょう。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。