ボロ家を売る8つの方法。売却の流れや知っておくべきポイントを解説
相続したまま空き家になっていて今後も住む予定がない家は、固定資産税の負担などが大きくならないうちに早目に売ってしまった方が良いでしょう。
たとえボロ家であったとしても、その状態や自分の希望に相応しい売り方を選べば確実に売却することが可能です。
今回は、ボロ家を売る8つの方法とそのメリット・デメリット、売却の流れ、知っておくべきポイントなどについて詳しく解説します。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
- 1. ボロ家を売却する8つの方法
- 1.1. 方法1:家を残したまま売却する
- 1.1.1. 家を残したまま売却するメリット
- 1.1.2. 家を残したまま売却するデメリット
- 1.2. 方法2:ボロ家を解体して更地の状態で売却する
- 1.2.1. 更地の状態で売却するメリット
- 1.2.2. 更地の状態で売却するデメリット
- 1.3. 方法3:古家がおまけでついた土地として売る
- 1.3.1. 古家がおまけでついた土地として売るメリット
- 1.3.2. 古家がおまけでついた土地として売るデメリット
- 1.4. 方法4:リフォームしてから売却する
- 1.4.1. リフォームしてから売却するメリット
- 1.4.2. リフォームしてから売却するデメリット
- 1.5. 方法5:買取業者に買取を依頼する
- 1.5.1. 買取業者に依頼するメリット
- 1.5.2. 買取業者に依頼するデメリット
- 1.6. 方法6:空き家バンクを利用して売却する
- 1.6.1. 空き家バンクを利用して売却するメリット
- 1.6.2. 空き家バンクを利用して売却するデメリット
- 1.7. 方法7:オークションで売却する
- 1.7.1. オークションで売却するメリット
- 1.7.2. オークションで売却するデメリット
- 1.8. 方法8:任意売却を利用して売却する
- 1.8.1. 任意売却を利用するメリット
- 1.8.2. 任意売却を利用するデメリット
- 2. ボロ家を売却する流れ
- 2.1. 不動産仲介で売却する場合
- 2.2. 専門の買取業者に依頼する場合
- 3. ボロ家を売却する前に知っておきたい3つのポイント
- 3.1. ポイント1:更地にすると固定資産税が6倍に
- 3.2. ポイント2:建物の解体は不動産会社や買取業者と相談してから決めるのがベター
- 3.3. ポイント3:自治体によっては助成金を活用して解体することが可能
- 4. ボロ家を手間なく確実に処分したいなら専門の買取業者に依頼しよう
ボロ家を売却する8つの方法
処分したい家が築古だったり、外観や室内の傷みが激しかったりするようなボロ家でも、適切な方法を選べば売却することは可能です。
以下に、ボロ家を売却する8つの方法について紹介します。
方法1:家を残したまま売却する
ボロ家であっても築古というだけで、まだまだ住むことができるのであれば、家を残したまま「中古住宅」として売却することができます。
特に、過去にリフォームをしたことがあるような家であればなおさら、まずはそのまま売却することをおすすめします。
また、リフォームをしたことがない家であっても、柱などの基本的な構造物に問題がないのであれば、自分でリノベーションをすることを前提に物件を探している人も増えていますので、そのようなニーズを持っている人に売却することができます。
家を残したまま売却するメリット
現状の家を残したまま売却しますので、解体費用やリフォーム費用、改修費用などが発生しないことがメリットとなります。
家を残したまま売却するデメリット
家を残したまま「中古住宅」として売却しますので、売主は「契約不適合責任」を負うことになります。
「契約不適合責任」とは、物件の引渡し後の一定の期間内に、売買契約書に記載されていない雨漏りやシロアリ被害などの建物の基本的機能に関する不具合が見つかった場合に、売主が買主に対して果たさなければならない責任のことです。
もし売却する時点で、雨漏りやシロアリ被害などがあることが分かっている場合は、修繕や適切な対策を行ったうえで販売する必要があります。
このように、空き家を「中古住宅」として売却する場合は、「契約不適合責任」に基づいて、買主から補修費用の請求や購入代金の減額の要求が起こされる可能性があり、売主はそれに応じなければならないというリスクがあることがデメリットになります。
方法2:ボロ家を解体して更地の状態で売却する
ボロ家が築古で、とても住むことができないような状態の場合は、ボロ家を解体して更地にして売却する方法があります。
更地の状態で売却するメリット
買主が購入後すぐに建物を建築することができますので、売却価格を比較的高めに設定できるというメリットがあります。
更地の状態で売却するデメリット
ボロ家の解体費用や廃材処理費用、整地費用などが発生するというデメリットがあります。
また、建物を解体すると土地に対する「住宅用地の特例」がなくなりますので、固定資産税が最大6倍まで高くなります。
ただし、固定資産税は1月1日時点の状態によって課税されますので、1月2日以降に解体すれば次の1月1日までは同じ税額のままとなります。
方法3:古家がおまけでついた土地として売る
建物の状態が悪くて住むことができない場合に、ボロ家は解体せずに「古家」として売却することも考えられます。
この場合、ボロ家はあくまでおまけで住むことはできないという考えですので、契約書において「契約不適合責任」を免責にしておく必要があります。
古家がおまけでついた土地として売るメリット
ボロ家を解体しませんので解体費用などがかからないというメリットがあります。
また、「住宅用地の特例」が適用されますので固定資産税が高くなりません。
古家がおまけでついた土地として売るデメリット
買主は購入後にボロ家を解体しなければなりませんので、その費用分だけ売却価格を下げなければ売れません。
さらに、売却交渉の過程で「ボロ家の解体費用がかかる」と言ってさらに値引きを要求されることもあり、場合によっては更地の価格よりも安くなってしまうこともありえます。
方法4:リフォームしてから売却する
家を残したままで、かつリフォームして「中古住宅」として売却することもできます。
リフォームしてから売却するメリット
リフォーム済であるということから査定額が高くなるため、売却価格を高くすることができるということがメリットとなります。
リフォームしてから売却するデメリット
一方でリフォーム費用がかかってしまうというデメリットがあります。
また、近年増加している「極力安い中古住宅を購入して自分でリノベーションしたい」というニーズに応えられないため、これらの購入希望者を逃してしまうというデメリットもあります。
また、水回り設備の更新など機能的なリフォームであれば、あまり好みの問題は起こりませんが、部屋の間取りや色調、デザインなどのリフォームは、買主の好みと合わなければ購入候補者を逃すことになるかもしれません。
この場合も「中古住宅」を売却することになりますので、売主は「契約不適合責任」を負うことになります。
方法5:買取業者に買取を依頼する
「買取業者」という物件を買い取ってリフォームなどを行った後に再販して利益を得るというビジネスを行っている不動産会社に買い取ってもらうことができます。
買取業者に依頼するメリット
ボロ家の状態によらず現状のままで、1週間~1ヶ月程度の短期間で買い取ってくれることが最大のメリットです。
さらに、通常の不動産売買では売主は「契約不適合責任」を負うことになりますが、「買取業者」はリフォームを行うことを前提として購入するため、特約によって「契約不適合責任」が免責されるのが一般的であり、これもメリットとなります。
買取業者に依頼するデメリット
「買取業者」がリフォームして再販する価格から「買取業者」の利益を差し引いた金額以下でしか買い取ってくれませんので、売却価格はそれほど高くなりません。
つまり、一般的に売却価格がかなり安くなってしまうことがデメリットとなります。
方法6:空き家バンクを利用して売却する
ボロ家を「空き家バンク」に登録して買手を探して売却する方法もあります。
「空き家バンク」とは、空き家の売主と買主をマッチングさせることを目的として、国や自治体が運営している不動産情報サイトです。
空き家バンクを利用して売却するメリット
「空き家バンク」には、不動産会社が取り扱わないような掘り出し物の物件が掲載されている可能性があるため、それを目的に閲覧する人がいます。
「空き家バンク」に登録することによって、このような購入希望者の目に止まり売却につながる可能性があります。
空き家バンクを利用して売却するデメリット
「空き家バンク」は、国や自治体が運営するサイトであり、売却したい物件の情報が掲載されるに過ぎません。
不動産会社のように営業マンが積極的に買い手を探して回るわけではありませんので、短期間で売却につながることは稀でしょう。
また、サイト運営者の国や自治体の職員は、空き家や不動産の専門家ではありませんし、売却交渉や売買契約などに関わってくれるわけではありません。
「空き家バンク」を利用して売却する場合も、売主は「契約不適合責任」を負うことになりますので注意が必要です。
方法7:オークションで売却する
不動産専門のオークションの他、ネットオークションでも不動産の売却ができるようになっています。
出品に際しては、それぞれのオークションの規約に従う必要があり、一般的にはオークション企業と提携する場合がほとんどとなっています。
たとえば、ネットオークション大手の「ヤフオク!」では、個人が直接不動産を出品することが規約で禁止されており、出品したい場合には企業を介する必要があります。
その他の不動産オークション企業としては、マザーズオークション、SBI不動産、インベスターズオークション、船井不動産などがあります。
出品方法としては、一般の人に物件情報を公開する「公開オークション」と、限定された人にしか物件情報を公開しない「非公開オークション」の2通りがあります。
オークションで売却するメリット
オークションは、出品時に終了日時を設定することができ、その期間内に最高額で入札した人に売ることができますので、短期間で売却することができます。
また、入札車が多くて競争になった場合は相場よりも高い価格で売れる可能性もあります。
オークションで売却するデメリット
オークションのデメリットは、購入者を選ぶことができず最高額で入札した人に売却しなければならないことです。
また、相場よりも安い価格で落札された場合でも、その価格で売却しなければなりませんが、出品時に「最低落札価格」を設定すればこの問題を回避することができます。
しかし、「最低落札価格」が物件の相場価格よりも高い場合には、落札されないこともあります。
方法8:任意売却を利用して売却する
「任意売却」とは、住宅ローンを組んでいる金融機関などの債権者の許可を得て、不動産を売却する方法です。
ボロ家やその土地に住宅ローンが残っている場合に利用できます。
任意売却を利用するメリット
金融機関で住宅ローンを組んだ際に設定された抵当権を抹消してもらえるため、住宅ローンが完済できない場合でも、不動産を売却することができるようになります。
競売よりも高い売却金額で売ることができる点もメリットと言えます。
任意売却を利用するデメリット
任意売却を行う場合は、金融機関などの債権者と交渉して抵当権を抹消してもらうことになり、その条件として不動産の売却額をすべて住宅ローンの返済に充てるという条件がつけられます。
したがって、売却したお金を他の用途に利用することは難しくなります。
ボロ家を売却する流れ
ボロ家を売却する際の主な流れについて、不動産仲介の場合と買取業者に依頼する場合を例に挙げて、簡単に説明します。
不動産仲介で売却する場合
不動産会社の仲介で売却する場合の一般的な流れは次の通りです。
- 【STEP1】査定を依頼する
- 古い家を売却する際には査定を行い、査定価格に基づいて売出し価格を決めます。
古い家の場合は、不動産会社によって査定価格に差が出ることが多いため、複数の不動産会社に査定を依頼して高く売却してくれる不動産会社を見つけることが大切です。
- 【STEP2】媒介契約を締結する
- 仲介を依頼する不動産会社が決まったら、その不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産会社に仲介を依頼する契約のことで、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。
- 【STEP3】売却活動を行う
- 媒介契約を締結すると、売出し価格を決定して不動産会社が売却活動を開始します。
物件に対する問い合わせがあると、不動産会社の営業マンが対応しますが、売り主が立ち会うこともあります。
売却活動の期間としては、3ヶ月程度が一般的です。
- 【STEP4】売買契約を締結する
- 買主が決まると、不動産会社が買主側の住宅ローン事前審査を行い、不動産売買契約を締結します。
売買契約の締結時には、売主と売主側仲介業者、買主、買主側仲介業者が、売主側仲介業者のオフィスに集まって行い、同時に手付金の授受を行うことが一般的です。
- 【STEP5】残金決済・物件引き渡しを行う
- 売買契約で定めた日時(一般的に1~2ヶ月後)に残金の決済と物件の引渡しを行います。
売却価格から手付金を差し引いた残金を買主から受け取り決済が完了したら、引き続き現地で不動産の引渡しを行います。
売主の住宅ローンが残っている場合は、決済時に金融機関に返済をし、抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼します。
- 【STEP6】確定申告を行う
- ボロ家の売却によって「売却益」が生じる場合は、その譲渡所得に応じた税金を支払う必要がありますので、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い納税する必要があります。
専門の買取業者に依頼する場合
一方、専門の買取業者に依頼する場合の一般的な流れは次の通りです。
- 【STEP1】買取査定を依頼する
- 専門の買取業者に買取査定を依頼します。
多くの買取業者があり、査定価格が違ってくることがありますので、複数の買取業者に依頼した方が良いでしょう。
買取業者によっては、現地を見ずに「机上査定」で買取価格を提示する場合がありますが、必ず現地を見た上で査定してもらうようにします。
- 【STEP2】買取金額を提示してもらう
- 買取査定をした買取業者から買取金額を提示してもらいます。
買取業者によって買取金額や条件が異なっていますので、スケジュールや物件の引き渡し条件などについて細かく確認しておくことが必要です。
たとえば、家の中に不要物が残っている場合に、そのまま買い取ってくれるのか売主が処分しなければならないのかなども確認が必要です。
- 【STEP3】売買契約を締結する
- 買取金額と条件に納得できた場合は、買取業者と売買契約を締結し手付金を受け取ります。
なお、買取の場合は、売買契約締結・代金決済・引き渡しを同一日に行うこともあります。
- 【STEP4】残金決済・物件引き渡しを行う
- 売買契約で定めた日時に残金決済と物件引渡しを行います。
買取金額から手付金を差し引いた残金の受取り、固定資産税等の各種精算、鍵や登記移転のための書類等の引渡しを行い、不動産買取の取引は終了となります。
- 【STEP5】確定申告
- 買取によって「売却益」が生じる場合は、その譲渡所得に応じた税金を支払う必要がありますので、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い納税する必要があります。
ボロ家を売却する前に知っておきたい3つのポイント
ボロ家を売却するに際して知っておいた方が良い3つのポイントがありますので、順に説明します。
ポイント1:更地にすると固定資産税が6倍に
ボロ家を解体して土地だけの更地にすると「住宅用地の特例」による減免措置が適用されなくなりますので、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。
「住宅用地の特例」は、建物が建っている土地の固定資産税を標準税額の1/6に減額するという減免措置ですが、建物を解体して更地にすると対象外となってしまい標準税額が課税されることになるのです。
ポイント2:建物の解体は不動産会社や買取業者と相談してから決めるのがベター
一般的に、ボロ家は解体して更地にした方が売れると考えられていますが、外観が古いだけや築古というだけで、リフォームやリノベーションが可能な場合があります。
近年、極力安い家を購入してDIYで修理やリフォームをして自由にリノベーションをしたいと考える人が増えています。
また、買取業者は古い家を購入してリフォームをしたうえで再販することをビジネスとしています。
ボロ家の程度によってはこのようなニーズに応えることができますので、不動産会社や買取業者に相談したうえで、建物を解体するかどうかを決めた方が良いでしょう。
ポイント3:自治体によっては助成金を活用して解体することが可能
空き家問題対策の一環として、空き家の解体費用に対する助成金を設けている自治体があります。
「空き家解体補助金」「空き家解体助成金」など、名称は様々ですが、解体費用の1/5~1/2程度が支給されるケースが多いようです。
たとえば、東京都大田区では耐震性が不足する木造住宅を除去する費用の一部を助成しており、助成金額は工事費用の2/3まで(上限金額75万円)です。
また、東京都豊島区では災害発生の危険度が高い木造住宅の密集エリアを不燃化特区として定めており、そのエリア内で老朽化建物を除却する場合に上限1,000万円までを補助しています。
補助の対象は、老朽化建物の解体だけではなく整地費用も対象となり、さらに建物を除去した土地の固定資産税・都市計画税の減免措置が最長5年間受けられます。
このほかにも多くの自治体が、独自の助成金や補助金を設けていますので、売却したいボロ家のある自治体が助成金や補助金を設けていないかどうかを調べてみましょう。
ボロ家を手間なく確実に処分したいなら専門の買取業者に依頼しよう
この記事では、ボロ家を売却する8つの方法、売却の流れ、知っておくべきポイントなどについて説明しました。
それぞれの方法にはメリットやデメリットがありますが、手間をかけずに確実に短期間で処分したいのであれば、専門の買取業者に依頼することがおすすめです。
多くの買取業者がありますので、複数の業者から見積もりを取って買取価格や条件を比較しながら売却先を選定するようにしましょう。
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など不動産を活用する事業も並行して行う。2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。