何が原因?売れる家・売れない家の条件や売れない時の対処法を解説します

家を売りに出す場合、売れるかどうかはどうしても気になるものです。

実は不動産とは、立地条件やその地方の特色により、素早く売れるかどうかや、納得の行く値段で売却できるかどうかは大きく左右されます。

そこで今回は、家の売却を考えた際に役立つ「売れる家の条件」そして「売れない家の条件」について詳しく説明します。

また、「不動産仲介などを利用してもなかなか売れない」といった場合に使える対処法についてもあわせて解説するため、家の売却で困った際にぜひ参考にしてみてください。

売れる家の条件とは?

物件を売りに出す場合、「売れる条件」というものが以下のように存在します。

売れる家の条件

  • 売り出し価格が適切
  • 築25年未満
  • 立地条件が良い
  • 一般的な間取り・敷地面積で住みやすい
  • 道路付けや方位が良い

そこで以下からは、売れる物件となるために必要な諸条件について、それぞれ詳しく解説します。

【1】売り出し価格が適切

不動産を求める消費者が、ある物件について「買おう」と決断するときとは、「建物の価格が適正である」と思えたときです。

つまり「ある程度の予算を必要とする売買行動をともなう、不動産というジャンルの取引」においては、買う側も相場観などについて相応に学んでいるため、適切な価格設定が必要なのです。

このとき、相場より安い物件であれば売れやすくなります。

つまり、適切な売り出し価格とは「相場より少し安い」といった金額です。

相当の郊外や僻地でない限り、旗竿地や再建築不可物件でも適正価格であれば売却可能なのです。

こうした理由から、物件を売却する際は売り手としても「不動産の相場観」については見識を深めておきましょう。

所有する不動産の売却時は、盲目的な取引を行うのではなく、多数の不動産業者から売買価格についての見積もりを得たり、事前に当該地域の販売価格などについてのリサーチを済ませておきたいところです。

また、地域における不動産相場は変動することがあります。

相場が変動した時の対策としても、一度相場価格の調査をして満足するのではなく、期間をあけて再度調査を行い、自分の物件を販売する適正価格について確かめるようにするなど、その内容を常にアップデートさせておきましょう。

地域の不動産価格の相場が知りたい場合は、近隣で売りに出されている物件の価格を参考にすることもおすすめです。

自分でも、能動的にその地域特有の不動産販売価格、およびその相場について見識を深めておくことで、仲介を依頼するにせよ直接売却などをおこなうにせよ、相手から買い叩かれる心配がなくなります。

【2】築25年未満

不動産の買い手は、築年数も気にすることがあります。

つまり買い手が「家の古さ」を除外条件として設定した上で不動産の買い物をするため、あまりに古い建物となると敬遠されがちなのです。

買い手が敬遠し始める建物の古さとは、一般的に「築10年」前後からです。

こうした背景を含めて、売却しやすい不動産の築年数とは、限界まで見積もっても「25年未満」となります。

このため、売却しようと思っている建物の築年数がじきに25年以上となってしまいそうな場合は、売却活動を急ぐ必要があるのです。

【3】立地条件が良い

立地が良い建物とは、買い手の注目を集めやすくなります。

不動産を仲介で売却する場合も、仲介業者にとっては購入候補者にセールスポイントとして立地の良さを打ち出しやすくなるため、積極的に売却候補に選ばれる可能性が高まります。

代表的な立地の良さとは、以下のような状態のことです。

エリアの人気度が高い・地盤がしっかりしている(地震対策)
・閑静な住宅街で落ち着いて暮らせる(騒音対策)
利便性が高い・最寄り駅の人気が高い(交通インフラへの好感)
・駅から徒歩10分以内
・生活利便施設が近くにある(生活インフラへの好感)
ライバル物件が少ない

このように、不動産を買い求める顧客とは、物件の所有者となることで「生活のしやすさ=快適な生活」が手に入ることを求めているのです。

生活のしやすさや快適な生活の定義とは、必ずしも万人に共通な内容とはならないものの、各立地条件のうちひとつでも多くクリアしている物件であればあるほど、売却できる可能性は高まります。

さらに以下からは、物件を売却するために必要な3項目の立地条件について、個別に詳しく解説します。

エリアの人気度が高い

次項目の「利便性がよい物件」と共通する内容として、売れる物件の人気度とは「そのエリアにおける交通の便の良さ」に左右されます。

つまり、あるエリアにおける交通の利便性が高ければそのエリアは人気度が高く、エリア内の物件の人気度も高まるのです。

近年、地方を除くと世帯における車の所有率が減っています。

このため、地域住民の移動手段として電車やバスなどがメインとなるケースが増えています。

したがって、今後新しく住居を探そうとする方々にとって「公共交通機関」に対するアクセスの良さは重要な項目なのです。

さらには、地元の公共交通機関を乗り継いだ先で「いかに利用率の高い交通機関と接続されるか」も重要視されます。

また、最寄りの交通機関が急行電車や特急電車の停車する駅であれば、地域の人気度はより高まるのです。

利便性が高い

土地の利便性の高さとは、「交通機関までの近さ」や「生活インフラへの近さ」に左右されます。

このため、電車やバスなど公共交通機関に近い立地であれば、その不動産は売れやすくなるのです。

例えば、最寄り駅・バス停までの「徒歩の分数」が短ければ短いほど、交通の便がよく、利便性が高い土地といえます。

住宅市場においては「各種交通機関へ至るまでの所要時間が『10分以内』であれば成約率が高まる」といったデータが得られており、このデータは交通の利便性についての重要性を物語っています。

このため、交通の便が良い物件であればあるほど、土地の値段も高くなるのです。

交通の便がよい土地の物件は、1㎡あたりの価格が約65万円以上ともなります。

一方、交通機関までの距離が「徒歩20分」を越え始めると、物件の価格は1㎡あたり約40万円以下といった値まで下落する傾向があります。

同時に、最寄りの交通機関までの所要時間が「21分」を越える物件とは成約率も1%を切ってしまうのです。

本項目が重要視される理由は、やはり世代を問わず車の所有率が年々下降傾向にあることも背景となっています。

ライバル物件が少ない

何らかの商品を販売する場合と同様に、その地域における「競合」の不動産ができる限り少ない状態も、不動産を売却するために重要なファクターです。

そこでぜひ、物件を売却しようとした際には、「同じ地域において」「同じタイミングで」売りに出されている物件について調査をしておきましょう。

こうした物件は、自分にとっての「ライバル」となります。

「一体この地域におけるライバルとはどのような物件になるのか」という情報について知ることで、自分が売ろうとしている物件について「アップデート」を行うことが可能です。

物件を売り出す際のアップデートとは、買い手にとってさらに良い条件に自分の物件を仕立て上げることにあります。

つまりはスペックが近いライバル物件の情報を仕入れた段階で、もし自分の物件よりも安価に売り出されていたのであれば「自分の物件の販売価格を、ライバルと同程度かそれ以下の価格に下げる」のです。

自分の物件を「ライバルとなる物件よりも条件がよい」とアピールすることでセールス上の強みとなり、より早く売り抜けられる可能性が高まります。

例えばマンションの一室を売却する際に、ライバルが人気のある高層階や角部屋だったりした場合、そうではない部屋を売却したいのであれば、ライバルよりも抑えた価格設定をすることで売却につながる可能性が生まれます。

顧客が単純に値段だけで不動産の比較をしたのであれば、建物の値段を下げておくだけで大幅なアピールとなるのです。

【4】一般的な間取り・敷地面積で住みやすい

売却しようとしている建物が「普通」であれば、より売却しやすくなります。

普通とは、建物の間取りやデザインが個性的過ぎていなかったり、敷地面積が広すぎず狭すぎずな状態であることを意味します。

ユニークな間取り・デザインの物件に住もうとする場合、生活に必要な空間の確保しづらかったり、必要な家具が設置できない可能性があるのです。

たとえば、建物のデザインが変わっていて部屋の角があまりにも鋭角だったりすると、大抵の家具は長方形で作られているため設置できないというような不具合が予想されます。

一軒家や分譲マンションなどはリフォームを施して持ち主の好みに作り変えがちではあるものの、こだわりが強くなってしまうとこのように売却しづらい要因となります。

【5】道路付けや方位が良い

土地における「接道状況」とは、物件の売れ行きを左右します。

もし、「幅が2m以上の道路」に「4m以上接していない不動産」があった場合、この家は接道状況が悪いといえます。

このような土地とは車両の出入りがしづらかったり、荷物の運び入れなども困難になるだけではなく、建築基準法における接道義務を果たしているとはみなされず、「再建築不可物件」となってしまいます。

再建築不可物件とは、もし何らかの理由でその土地に建設された建物を解体、取り壊したのであれば、新たに同じ場所に建物が建てられない土地です。

建築基準法においては、「接道義務を果たしていない土地とは、防火などの対策が充分には行なえない」といった考え方から、再建築不可物件の概念を取り入れています。

同時に、道路が敷地に対して「南側」に接している物件とは、「方位が良い」とされます。

南側に道路がある物件とは、すぐ目の前に建物がない・建物が隣接した状態ではないため、日照条件が良く、方位が良いといえるのです。

売れない家の条件とは?

売りに出した物件になかなか買い手がつかない場合、売りに出した自分の家が以下のような「物件が売れない条件」に当てはまってしまっているのかもしれません。

売れない家の条件

  • 売り出し価格が高い
  • 立地条件が悪い
  • 建物が古く劣化が激しい
  • 間取りやデザインが個性的で生活しづらい
  • 土地の形状や敷地面積に難がある

そこで以下からは、物件が売れない条件から脱却し、売りに出した家をスムーズに売却しやすくするために確認すべき、各種「物件が売れない条件」について掘り下げて解説します。

<1>売り出し価格が高い

売り出し価格が適正でない物件とは、売れ残りやすいものです。

価格が適正でないとは、相場価格よりも高い値付けをしてしまっていることを意味します。

こうした場合は、すぐに物件の売り出し価格を引き下げ、再度売りに出すべきです。

しかしながら、値下げの際に「下げすぎる」こともまた避けましょう。

値下げしすぎることも、適正価格という定義から逸脱するのです。

例えば、相場価格よりも異様に安い物件を顧客が市場で見つけた場合、顧客がその物件のことを何か瑕疵のある物件=訳あり物件であると危惧する可能性があります。

このため、その地方における物件の相場などを調査し、「自身の持つ物件と近い条件の物件とは、どのように価格が変動しているのか」といったデータを確かめるなどして、適正な価格を設定できるようになりましょう。

<2>立地条件が悪い

新しい物件を求める顧客とは、物件を探すポータルサイトなどを利用するにあたって「立地条件が悪い物件をはじめから検索結果などに登場しない」という設定にするなどして、候補から除外することがあります。

つまり物件の立地条件が悪い場合、第三者に販売するためのスタート地点にもたてない可能性があるのです。

立地条件が悪い、とは以下のような状態を示し、上にある条件ほど重要視されます。

立地条件が悪いとは?主な条件

  • 最寄り駅、バス停などが遠い
  • 近くに生活インフラ(コンビニ・スーパーなど)がない
  • 災害対策が整っていない(海抜が低い、インフラ整備が整っていない、など)

このように近年では、移動手段について利便性が高いかどうかだけでなく、地震・洪水というような災害の発生に対する手段が確保できる立地なのかどうかも物件評価の対象項目となるのです。

また物件選びに際しては、最寄り駅について「徒歩での所要時間」が重要視されることが市場調査により判明しています。

例えば販売物件の最寄り駅まで、徒歩で21分以上の時間がかかる場合は売却成約率は1%まで下がるのです。

ぜひ、物件が売れない場合は「改善できる立地条件がないか」を探して売りに出すことを検討してみてください。

<3>建物が古く劣化が激しい

売りに出した建物が古い場合、経年劣化をも引き起こしているかも知れません。

このような「築年数が古い」ことがひと目でわかる物件とは、買い手から敬遠されることになります。

また「古い」という情報のみならず、物件とは何かしらの瑕疵ある状態であればあるほど買い手から敬遠されるものです。

瑕疵とは傷ついていたり何らかの問題がある状態を指し、建物に何かしらの傷や壊れた部分が見受けられたのであれば、買う側は不審に思い、購入には進みません。

このように不動産の買い手が気にする劣化のポイントとは、例えば以下の通りです。

買い手が気にする不動産の劣化ポイント

  • 損傷が激しい
  • 手入れが行き届いていない
  • 衛生環境に問題がある
  • 水回りに不具合がある
  • 掃除されていない
  • シロアリがいる
  • 雨漏りする

こうした物件を買う上で重要視するポイントとは、売り手と買い手の間で必ずしも共通するとは限らないため、売る側は自分が気にしないようなポイントにも注意を払う必要があります。

また、破損等が見つかった際には修繕や清掃活動を行わなければ売却が難しくなります。

さらにこうした物件における「マイナスな状態」とは、物件を売却したあとの「契約不適合責任」の根拠となってしまうことに気をつけなければなりません。

契約不適合責任とは、売買契約の以前までに発覚していなかった不動産の欠損などが、物件の引き渡し後に見つかった場合、売った側が賠償責任などに応じなければならないという責任のことです。

もし物件の売却後に、「売却以前の物件の所有者が把握していた・把握していなかった害虫被害」などが起きた場合、物件の購入者が不服を訴えたのであれば以前の所有者は「売却金の返却」「損害賠償」といった対応をしなければなりません。

この例のように、契約不適合責任とは「元の所有者がその状態を知っていたか知っていなかったかに関わらず、物件に不具合があったのであれば適用される」ため、建物の欠損などについては日頃から注意を払っておくべきです。

<4>間取りやデザインが個性的で生活しづらい

特徴的な間取りやデザインの物件は、新しく不動産を探している層からは好まれず、一般的な間取り・デザインである物件よりも売れづらい可能性があります。

特に間取りとは、独自性が高すぎると、持ち主の好きな家具や収納部を設置できないことがあり、生活に不便を引き起こします。

内装や外装に不自由のある物件とは、市場において敬遠されがちであり、仲介業者なども自信を持って売却できないことがあるのです。

<5>土地の形状や敷地面積に難がある

敷地面積が過度に狭かったり、逆に広かったりする物件の場合、新たに物件を手にした人がそれまでとの勝手の違いに扱いきれず、生活しづらいことがあります。

「土地の形状、および敷地面積の難」とは、例えば以下のような状態を指します。

土地の形状、および敷地面積の難

  • 間口が狭い
  • 奥行きが長い
  • 傾斜地
  • 地型が悪い
  • 道路に接道していない
  • 狭すぎる
  • 広すぎる

特に接道関係については、建築基準法の条件を満たしていないと再建築不可物件となってしまうため、どれほど安い価格設定をしても売れないこともあります。

再建築不可物件とまではならなくても、再設計が行いづらい物件とは市場から敬遠されがちです。

一方、間口が広く長方形で道路よりも少し高く位置するような土地とは、以後の設計も行いやすいため、市場から好感されます。

このように物件の間取りやデザイン、敷地面積とは、物件が売れやすいかそうでないかの結果を左右する要因となるのです。

不動産会社に依頼しても売れない時の対処法

不動産会社に物件の売却を依頼すると、仲介に立ってもらい買い手を探すことになります。

しかしながらこの買い手とは、そう簡単に見つかるものではありません。

もし不動産仲介に売却を依頼しても売れない場合に、取り得る手段として考えられる方法は以下です。

不動産仲介に依頼しても売れない時の対処法

  • 売り出し価格を下げる
  • 2月〜3月を狙って売る
  • 買取業者への売却を検討する

さらに以下からは、物件が売れないときの各対処法についてより詳しく解説します。

対処法1:売り出し価格を下げる

手を尽くしても物件がなかなか売れない場合、好条件なスペックであるのに売れない場合などは、価格設定が適正でない可能性があります。

適切な価格設定とは、地域の不動産売買履歴などを参考にしたりすることで自力で調査することも可能ではあるものの、専門家に依頼して確かめることも可能です。

この場合の専門家とは、地域の不動産会社などが該当します。

地元の不動産会社であれば、その地域で売却する物件の適正価格などを把握しているだけでなく、売ろうとしている物件の査定を行うことも可能です。

査定とは、その物件がどのような状態であるのかといった情報を元に売却金額を算出することであり、不動産会社には査定に特化した専門の調査員などが所属しています。

正しい販売価格を算出するためには、家の査定を「当該地域での不動産売買実績が豊富な不動産会社」に依頼しましょう。

地元の不動産会社とは、適正価格を把握しているだけではなく、購買層についても把握していることがあります。

つまり、当該地域にはどのような人が住んでいて、どの程度の金額であれば諸条件下の物件を購入する可能性があるか、といったことも予測する手立てを持っているのです。

例えば、その地域に高所得世帯がいることなどを情報として持っていた場合、当該世帯の子どもの進学や就職に伴って、一般的には好条件とはいえない物件でも売却可能とするノウハウを持ち合わせていることがあります。

販売実績が豊富な業者に売却を依頼できた場合、地方であったり生活インフラが近くになかったり、駅チカなどでもないというようなデメリットを抱えた物件でも売り抜けられる可能性があります。

また、売却活動を続けるなかで何らかの「値下げ交渉」があった場合も、売り出し価格を下げる検討をすべき頃合いといえます。

物件の購入者候補から、何度かの値下げ交渉があった場合、売り出し価格が適正でない可能性があるためです。

そうした場合は次回以降のタイミングで、相場価格よりも大きく値下げをすることで市場の注目を集められる可能性があります。

値下げ交渉が頻発するということは、「価格以外の条件」には納得している購入者候補が多い可能性があります。

またこうした場合の値下げ時に、まだ売却する物件の住宅ローンなどが残っているというような場合は、値下げのしすぎによって住宅ローンの残債を回収できなくなる事態は避けることを心がけてください。

不動産とは大きな金額が動きがちな取引を発生させるため、売買契約に関する諸費用、さらには税金などの額にも気を配らなければなりません。

こうした事前の見積もりを怠り、最終的なお金の動きについて把握できていなければ、意外なところで足が出てしまうことがあるため気をつけてください。

対処法2:2月〜3月を狙って売る

売却したい物件が「家」である場合、季節を厳選すると売れる可能性があります。

家を売却するために適した季節とは「2月~3月」です。

2月、3月といった時期は、進学・就職、転勤・異動というようにライフスタイルが変化するタイミングなのです。

このため、2月や3月は新学期に合わせて新しい環境における住居を探す人が多くなります。

むしろ、新学期である4月までに住む場所が見つけられない場合は死活問題となってしまうため、この時期に家を探す人とは明確な目的意識、購入意欲があるのです。

住宅の成約件数は、2月、3月に上昇するという市場のデータもあるほどです。

もしこの時期を狙って売却するのであれば、それ以外の時期に出していた物件を一度売却活動の場から引っ込めておき、2月~3月になると同時に「新着物件」として売り出すことで注目を集めるという方法があります。

例えば、ずっと住宅販売のポータルサイトなどに物件の情報を掲載したままだったとすると、閲覧者に「売れ残り」の印象を残してしまいます。

サイト上にずっと掲載したままで、季節の変化とともに「新着」という売り出し方をしても、それまでサイトを利用していた層により、口コミなどで「当該物件がずっと売れ残っていた」というような情報が共有されてしまうのです。

このため、もし物件を堂々と新着物件として売り出すのであれば、一度現在の状態から取り下げた上で、物件売り出しの休止期間に、できる限りの清掃活動や不具合を修繕しておくなどといった工夫をしておきたいところです。

対処法3:買取業者への売却を検討する

物件の販売方法として仲介が挙げられることが多いものの、買取業者という相手に対して「直接」、物件を販売することも可能です。

一般的に不動産仲介で所持する物件を売却するのであれば、買い手が見つかるまでにかなりの期間がかかります。

さらに、運良く売却できたとしても、成功報酬として仲介した不動産会社には仲介手数料を支払わなければなりません。

そこで、買取業者に対して物件を売却することで、以下のメリットが受けられることを理解しておきましょう。

買取業者への売却により得られるメリット

  • どんな物件でも買い取る(訳あり物件専門の買取業者など)
  • 現金化までのスピードが速い
  • 仲介手数料がかからない
  • 無償で不動産を手放すのではなく、まとまったお金が売却益として手に入る
  • 仲介などで求められるリフォーム、修繕、解体費用を一切かけずに売却できる
  • 契約不適合責任が免責される

業者への直接買い取りであれば、市場の動きをにらみながら値下げなどの価格設定を行う、売却できても高額な仲介手数料の負担がある、といったストレスからも解放されます。

また、売却益を住宅ローンなどに充当させたい場合なども、業者との交渉時に利用できるカードとなり得ます。

しかしながら、買取業者による直接買い取りとは、仲介と比較すると売却益が6~8割と下がることが一般的であることには注意が必要です。

専門の買取業者に売却する際の一般的なフロー

物件を、専門の買取業者に売却する際の一般的なフローチャートとは以下のようなステップのもとに進行します。

STEP1:売却の準備
各種書類準備:登記事項証明書/登記簿謄本・売買契約書・重要事項証明書・登記済権利証/登記識別情報・測量図・境界確認書など、業者側が準備に応じることも
STEP2:買取業者による見積もり額提示
STEP3:買取業者による物件調査
STEP4:買い取りによる価格査定
STEP5:買取業者との売買契約締結
STEP6:決済・不動産の引き渡し

買取業者によっては、各ステップを数日以内、長かったとしても1ヶ月以内には実現、完了することをセールスポイントとしていることもあります。

また双方の交渉の結果、買取額に売却主がすぐに合意できるのであれば、全てのフローについてをも3日以内に実施可能としている業者も存在します。

仲介と比較すると、内見を実施するための各種清掃やリフォームといった工程が丸ごと必要なくなるのです。

また、肝心な「買い手が見つかるまでの時間」すら必要ではないことも、売却成立期間の大幅な短縮を実現する理由となっています。

買取業者による物件調査が仲介における内見に近いものの、調査とは内見のように何度も実施されるものではないため、やはり時間はかかりません。

家が売れない時にやってはいけない3つの行動

もし売りに出している家がどうしても売れない場合、「自分が行うべき施策が足りないのか」と考えてしまうことがあるかもしれません。

しかしながら、物件を売るにあたって絶対に行うべきではない行動が以下の通り3つ存在します。

家が売れない時にやってはいけない3つの行動

  • 大規模なリフォーム
  • 空き家にして放置する
  • 解体して更地にする

こうした行動を起こしてしまうと、むしろ物件の売却から遠ざかってしまうばかりか、一気に多額の出費を要求されることにつながります。

そこで以下からは、物件が売れない場合でもやってはいけない各種行動について、詳しく解説します。

その1:大規模なリフォーム

例えば「自分が売却しようとする建物があまり現代的でない」というような思い込みをしてしまい、物件に大規模なリフォームを施すのはやめましょう。

リフォームや修繕、各種改装の中でも大規模なリフォームには数百万円~数千万円の費用がかかります。

さらには、こうした大規模なリフォームとは購入には直接結びつかないどころか、リフォームをしたのにもかかわらず売れないといった場合には、結局大幅な値下げをすることになります。

大幅な値下げが行われれば、大規模リフォームの費用が一切回収できないだけでなく、物件売却までのトータル費用が売却益で回収できない、つまり物件売却という行為自体がすべて損失でしかなくなってしまうこともままあるのです。

中古で物件を買おうとする方とは、購入後の改装工事なども織り込み済みであり、手の施されていない安い物件を買って自分の好みのリフォーム・リノベーションを行いたいと思うものです。

物件の購入候補者にはそれぞれ好みがあり、万人向けのリフォームとは存在しないといえます。

したがって、物件売却の際に大掛かりなリフォームを施すのはやめておきましょう。

その2:空き家にして放置する

家を売りたい場合、売れるまではできるだけ住み続けることをおすすめします。

もし住むのが難しかったとしても、定期的に訪れて空気の入れ替えなどを行ってください。

売りたい家に住み続けるべきである理由とは、家が放置された状態を避けるためです。

もともと不動産の所有者には、維持管理義務があります。

売りたい物件だからといって住むのをやめ、放置してしまうことはすなわち物件の劣化を招きやすいのです。

例えば、売るための物件を放置してしまうことで、以下のような問題が発生します。

空き家を放置すると起きてくる問題

  • 雨漏り:家に人が住んでいないと、屋根の劣化による雨漏りに気づけず、適切な対応を行わないことでより悪化、屋根や柱への侵食、腐食が進行する
  • カビの大量発生:人が住まない家は空気の入れ替えが行われず循環が悪化、さらに湿気がたまり、カビが発生しやすい環境になる
  • 排水管のヘドロ発生、異臭:家で人が生活しないことにより上下水道が使われず、定期的な水の流れがなくなりパイプ菅が乾燥、異臭を放つのと同時にヘドロの発生を喚起する(同時に建物内の空気が循環していないため、異臭が全体に広がる)
  • 害虫などの発生:害虫を退治する者がいないため、一度家の中に住み着いたネズミやゴキブリなどが繁殖する(排水溝が利用されないことにより、さらに害虫が出入りしやすくなる)
  • 野生動物(イタチ・猫など)の動物の住み家にされる:野生動物が入り込み、巣として利用され繁殖、糞害などが起こり、爪とぎなどに家の基礎が使われることにより家の劣化がより進行する

このように、家とは放置してしまうことで劣化のスピードが早まってしまいます。

もし自分や家族などによる定期的な訪問が見込めなかったとしても、不動産仲介業者などを通じ、管理代行業者などの人員を調達してでも家の管理をすべきです。

定期的な管理が行われていない場合、内覧などの希望者が現れた場合に上記のような家の劣化、異臭や獣害などを目の当たりにしてしまうことになり、物件の印象が確実に悪くなってしまいます。

さらにはあまりにも建物の劣化が進んだ場合、固定資産税が増額してしまうといった多くのデメリットがある「特定空き家」に国や自治体から指定されてしまうというリスクも抱えることになります。

その3:解体して更地にする

例えば売却しようとしている家が古い場合、売り主としてはその古さがネックとなり売れないのかもしれないと思い込んでしまうかもしれません。

しかしながら家が売れないからといって、無計画に解体(更地化)するにあたっては注意が必要です。

売却しようとする建物の敷地面積を「30坪」とした場合、「解体費用」とは一般的に構造の違いによって左右されることになり、以下の通り変動します。

解体費用の費用変動

  • 木造:4~5万円(一坪)×30=120万円~150万円
  • 軽量鉄骨造:6~7万円(一坪)×30=180万円~210万円
  • 鉄筋コンクリート造:7~8万円(一坪)×30=210万円~240万円

このように、建物の解体自体に100万円~200万円前後という多額の費用がかかります。

さらに建物が住居であった場合、住居が解体されることにより、その土地には、固定資産税の減税措置である「住宅用地の特例」が適用されなくなります。

つまりその土地にあった建物を解体した場合、減税措置がなくなり、翌年からの土地の固定資産税が最大6倍となるのです。

さらには、更地にしたからといっても立地条件が悪ければ、建物の販売と同様に一切売れないこともありえます。

このように建物の解体とは、解体にともなうデメリットが多いため、安易に行うべきではありません。

近年では古民家ブームや昭和レトロブームの影響で、古民家の価値が見直されています。

また訳あり物件専門の買取業者などに物件を売却する場合などにも、業者側は解体費用の自己負担を織り込み済みで買い取りに応じることがあります。

さらには、むしろ古い家が残っている方が活用の余地があり、高く売れる可能性もあるのです。

こうした理由から、物件が売れないからといって安易に建物を解体することは避けてください。

専門の買取業者なら不動産仲介で売れない家も売却できる!

今回は、家の売却を考えた際に「売れる家」「売れない家」とはそれぞれどのような特徴があるのかについて解説しました。

売れる家にするための方法、売れない家から脱却するための方法は存在します。

地域の特性や立地条件などを鑑みて、適正な価格設定にすることなどが重要です。

しかしながら、不動産仲介などを頼ってもなかなか売れないことも多々あります。

そうした場合は、下手に家を放置したり、お金をかけてリフォームや解体といったことをするのはやめましょう。

家がどうしても仲介で売れない時は、訳あり物件専門の買取業者を利用する方法があります。

メリットとしてスピード買い取りができたり、まとまった売却額がすぐに手に入るといったことが挙げられます。

もし、家の売却について困ったことがあったときには、ぜひ本記事を読み返してみてください。

Follow me!