廃墟でも固定資産税はかかる!税金や費用を軽減する方法は?

近年、全国的に管理が行き届いていない廃墟が増加しています。

廃墟が増加する理由は、相続により住居を所有した人が管理できていなかったり、固定資産税の減額を図るために建物をどうしても残しておこうとするためです。

廃墟とは、税金だけでなく、所有しているだけであらゆる費用がかかります。

さらに、処分したくても廃墟の買い手とはなかなか見つかりません。

また廃墟には不具合が存在することが多いため、買い叩かれてしまうこともあるのです。

そこで今回は、廃墟を所有している際に発生する税金や諸費用、さらにはこうした「支払わなければならないお金」から解放されるための方法について詳しく解説します。

もし手のつけられない廃墟や空き家を所有している場合には、ぜひ参考にしてみてください。

廃墟でも固定資産税はかかる!

固定資産税とは土地や建物に対して課税されます。

このため、土地の上にある建物が廃墟もしくは、どのような建物であろうと毎年1月1日には、当該土地・建物を所有するものに対して固定資産税の納付額が決定され、支払い義務が生じるのです。

利用していない建物でありながら、所有しているだけで固定資産税という経費が毎年発生することはデメリットであるといえます。

廃墟にかかる固定資産税の計算方法

「廃墟」であっても建物であることには変わりないため、廃墟の所有者に対しては毎年固定資産税が課せられます。

固定資産税とは、以下の方法で算出されます。

固定資産税の計算方法

固定資産税評価額×1.4%(都市計画税は0.3%)

さらに、土地にも固定資産税が課税されるため注意してください。

特定空き家に指定されると固定資産税は上がる

「空き家対策措置法」が施行されると、管理が行き届いていない建物は「特定空き家」に指定されることがあります。

もし当該建物が特定空き家の指定を受ける以前に、「住宅用地の特例」により固定資産税の減額措置を受けていた場合、本特例の適用がなくなります。

固定資産税が減額される特例がなくなるということは、その建物における固定資産税額が上昇することを意味するのです。

住宅用地の特例が適用された場合の固定資産税とは、本来の1/3もしくは1/6に減額されます。

空き家対策措置法とは、放置により管理が行き届かず、何らかの危険を起こす原因となう空き家をなくす目的で、そういった建物を「特定空き家」と認定するのです。

また、空き家対策特別措置法などによる勧告などを受けながら、当該建物の状態に改善が見られなかった場合には罰金が課せられることがあります。

さらに、当該空き家が本格的に危険物となってしまった場合は、強制執行により解体が行われ、解体費用は所有者が負担する、ということにもなるのです。

こうした理由により、特定空き家の指定を受けた建物とは、住宅用地として空き家が残った土地の上に残して置く意味合いがほぼなくなるといえます。

廃墟にかかる固定資産税以外の税金

廃墟とは所有しているだけで固定資産税がかかります。

その他、廃墟とは建物であるため、その性質にともない所有者の変更などで以下のようにさまざまな税金が課せられます。

廃墟にかかる固定資産税以外の税金

  • 廃墟を持ち続ける場合は「都市計画税」
  • 廃墟を相続する場合は「相続税」と「登録免許税」
  • 廃墟を売却する場合は「所得税」と「住民税」

そこで以下からは、廃墟にまつわる各種税金について、どういった行動を起こすと発生するのかについて詳しく解説します。

廃墟を持ち続ける場合は都市計画税

廃墟を持ち続けるのであれば、毎年の「固定資産税・都市計画税」支払い義務は避けられません。

固定資産税

すべての土地や家屋を対象とした税金。法人、個人を問わず、毎年1月1日時点での「不動産所有者」に対して課せられる税金。

都市計画税

「都市計画法」における、「市街化区域内」に所在する土地や家屋を対象とした税金。

このため固定資産税を気にするだけではなく、都市計画税の課税対象地域に所有する廃墟が含まれているかどうかについても事前に確認しておかなければなりません。

廃墟を相続する場合は相続税と登録免許税

「相続」が起きて、承継の対象が家屋・土地である場合は「相続税」が課せられます。

さらに、不動産を相続する場合には、「名義変更」を行うことになります。

この名義変更にともなう「相続登記」では、「登録免許税」の納付が義務付けられるのです。

相続税についての詳しい算出方法は、以下の通りです。

相続税額

基礎控除額である「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた場合に発生。

もし、被相続人の宅地が住居などに使われていた場合は、一定の要件を満たし「小規模宅地等の特例」が適用させて評価額を減額し、相続税全体の額を減らすことも可能です。

相続登記における登録免許税は、以下の方法で計算されます。

登録免許税

不動産の固定資産税評価額×0.4%

※遺言により「相続人以外の人が不動産を取得した場合」は、登録免許税の税率は2.0%となる

廃墟を売却する場合は所得税と住民税

廃墟が不要であれば、売却することも処分方法として考えられます。

建物の売却においては、その売却額について「譲渡所得」として課税額が計算されることになります。

譲渡所得の計算方法とは以下の通りで、こちらの額に基づいて「所得税・住民税」が課税されるのです。

譲渡所得の計算方法

譲渡収入-取得費+譲渡費用

譲渡所得として売却益を受けた場合、建物の所有年数を参考として、以下のように税率が決定されます。

譲渡しょとくとして売却益を受けた場合の税率

  • 建物の所有期間が5年以下の場合:所得税(復興特別所得税を除く)30%+住民税9%=39%
  • 建物の所有期間が5年を超える場合:所得税(復興特別所得税を除く)15%+住民税5%=20%

※「所有期間」とは、被相続人がその不動産を所有していた期間を含む

一方、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」「相続の開始の直前において、被相続人以外に誰も住んでいなかった」「相続年から3年が経過した日が属す年の12月31日までに譲渡する」「令和5年12月31日までの譲渡」といった諸条件をクリアして売却した空き家について、「空き家の譲渡所得が3000万円控除」という特例も存在します。

廃墟の売却において、所得税・住民税を気にする場合はこうした特例についても確認すべきです。

廃墟を保有し続けると固定資産税以外にも様々な費用がかかる

廃墟にともなう費用とはさまざま存在します。

固定資産税も、廃墟の状態によって変動することに気をつけなければなりません。

廃墟を所有していると発生する費用とは、以下の通りです。

廃墟を所有していると発生する費用

  • 維持管理費用
  • 税金
  • 火災保険料

以下からは、それぞれの廃墟保有にともなう諸費用について、より細かく解説します。

【1】維持管理費用

もし廃墟を全く利用しない場合でも、管理義務があることを忘れてはいけません。

このため、廃墟とは所有しているだけで「維持管理の費用」が発生するのです。

維持管理の費用の内訳としては、例えば以下の内容が該当します。

維持管理費用の内訳

  • 経年劣化にともなう外壁や柱部分などの修繕費
  • 庭の植生管理費
  • 上記にともなう移動費用、人件費

一方、こうした維持管理を適切に行うと、結果的に建物の劣化による近隣トラブルを未然に防ぐことにつながり、損害賠償請求などを回避することも可能です。

【2】税金

不動産とは、利用していなくても所有しているだけで課税されます。

また、土地の状態によって固定資産税の額も変動することには注意しなければなりません。

例えば、廃墟の管理が面倒だからと「更地化」を行うと、住宅用地の特例が適用されなくなり土地の固定資産税が3倍か6倍に変動します。

この固定資産税の増加を嫌気した持ち主により、使わなくなった廃墟でも解体せず放置されることが原因で、管理されない廃墟や空き家が起こすトラブルが増えていることは社会問題となっているのです。

また都市計画税は、固定資産税とは別に課税されます。

したがって、廃墟とは更地化することが近隣トラブルを防ぐ効果的な方法であり、更地化といった手間に費用をかけたくないのであれば何かしらの売却先を見つけなければなりません。

【3】火災保険料

廃墟とは、周囲にも内部にも人が寄り付かない、無人状態であると認識されるため、不審火被害が増えます。

つまり廃墟は放火されることが多く、所有者は火災保険への加入が必須であるといえます。

火災保険料の相場は、安くて年間15000円ほどです。

しかしながら火災保険料の最安値とは「人が住んでいる状態」の建物に対しての適用であることが多いため、空き家である廃墟への火災保険料とは、保険会社によって大きく異なることを意識しなければなりません。

空き家に対する火災保険料の相場とは、安くても年間25000以上ともなっています。

さらに、倒壊による周囲への損害をケアするために地震保険を追加するのであれば、トータルでは火災保険料の倍額の費用が年間で発生することもあるのです。

廃墟の保有にかかる税金や費用を軽減する2つの方法

廃墟とは建物であるため、保有しているだけで固定資産税や、管理のための諸費用が発生します。

この税金や費用について、軽減する方法は以下の2つです。

廃墟の保有にかかる税金や費用を軽減する方法

  • 売却する
  • 賃貸物件として活用する

そこで以下からは、廃墟に関する税金・費用を減らしたり、なくす方法について詳しく解説します。

方法1:売却する

廃墟を保有し続けると発生する諸費用をまるごと回避したいのであれば、「売却」を選択するべきです。

売却とは、廃墟に関わるすべての費用の支払いから解放されるだけでなく、まとまった売却益まで手に入る行為なのです。

廃墟でも「不動産」であるため、不動産の売却額は一定以上の額となり、その売却益で何らかの別な不動産などを入手し資産運用に使うことも可能となります。

また廃墟の売却においては「空き家の譲渡所得の3000万円控除」の特例が適用可能でとなる場合があります。

本特例が適用されれば、廃墟売却にともなう所得税や住民税を抑えた上で売却益を手にすることが可能です。

さらに、廃墟の相続時に「相続税」を納めたのであれば、「相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日」までに売却することで特例が受けられます。

本特例とは、「相続税の取得費加算の特例」というものであり、譲渡所得に「売却した廃墟についての相続税額」を取得費として加算可能というものです。

廃墟とは、活用方法がないのであれば完全に負の遺産となってしまうため、売却することが得策といえます。

廃墟を売却する方法は、以下の通りです。

廃墟を売却する方法

  • 不動産仲介に売却する
  • 専門の買取業者に売却する

以下からは、それぞれの廃墟売却方法についてさらに詳しく解説します。

不動産仲介に売却する

廃墟を売却するために、通常の建物と同様に不動産仲介に売却を依頼する方法があります。

不動産仲介は売却の相談を受けると、所有者の代わりに廃墟を買う方を探すことになります。

しかしながら、廃墟とは非常に買い手が見つかりづらいものです。

さらに廃墟とは売却額が安くなりがちであり、もし廃墟が売却できたとしても、不動産仲介が手にする成功報酬である「仲介手数料」がごくわずかな額となります。

廃墟についての仲介手数料が少額となりがちな理由とは、仲介手数料の計算方法に起因します。

仲介手数料の計算方法とは、以下の通りです。

仲介手数料の計算方法

  • 物件の売却額が200万円まで:売買価格×5.5%
  • 物件の売却額が200万円超~400万円まで:売買価格×4.4%
  • 物件の売却額が400万円超:売買価格×3.3%

もし廃墟を不動産仲介を通して売却し、売却額が100万円であった場合の仲介手数料とは「55000円」です。

不動産仲介業者とは、「5万円の売上」のためだけに人件費をかけてまで「廃墟が好きな買い手」を一生懸命探すとは限りません。

専門の買取業者に売却する

一般的に建物が廃墟化してしまった場合、売却先を探す難易度は高くなります。

しかしながら、訳あり物件専門の買取業者であれば、廃墟をそのまま買い取ることがあります。

専門の買取業者に廃墟を売却するメリットは、当該廃墟について、更地化をしたりリフォームなど改修作業を行うというような「売るために必要な不具合を直す手間・費用」すらかけなくてよいことです。

さらには、最短だと数日で買い取りや決済のフェーズに進み、スピード感を持って廃墟を手放せることもあります。

また廃墟を専門の買取業者に売却すれば「契約不適合責任」も免責されます。

契約不適合責任とは、売却した物品などについて契約内容と著しく異なる場合などに、売却した側が払い戻しに応じなければいけないといった責任です。

廃墟とは、どういった不具合があるかを間違いなく正確に把握することは不可能に近くなってしまう物件です。

専門の買取業者への廃墟の売却とは、「個人による法人への物件の直接売却」であるため、売る側の契約不適合責任は免責となります。

専門の買取業者が廃墟のような売却しづらい物件でも買い取りに応じる理由は、業者自身が廃墟についての土地転用、建物活用、販路確保といったノウハウ・知識を備えているためです。

地方にある廃墟は古民家風カフェに、駅チカであればコワーキングスペースにリフォームしたり、といった活用方法があるのです。

同時に、こうしたリニューアル後の物件を所有したいというオーナーとも専門の買取業者は懇意にしている場合があります。

このように、買い取った廃墟をさらに売却するために必要な顧客リストを備えており、販路を確保できていることも、当該業者が損をすることなく廃墟を納得の値段で買い取ることができる理由といえます。

一見売れなさそうな廃墟でも、訳あり物件専門の買取業者であれば正当な価格での買い取りに応じる可能性があるため、相談する価値があります。

方法2:賃貸物件として活用する

廃墟にかかる固定資産税を軽減する方法に「賃貸物件化」があります。

家屋の状態が残っていれば、なんらかのリフォームなど改修作業をかませることで賃貸物件として廃墟を再利用することが可能です。

さらには賃貸物件を住居として貸し出すことで、固定資産税における「住宅用地の特例」が適用され減税が実現します。

また、所有者が賃貸物件のオーナーであり続けることで、「家賃収入」が毎月発生するため、メリットとなります。

廃墟を賃貸物件化する際の費用を先行投資と理解して、あとあと発生する家賃収入によりまかなうことができる算段がついたのであれば、古民家風貸家として廃墟を生まれ変わらせることは実現可能です。

近年の古民家ブームも手伝って、特に地方では古民家アレンジによる空き家の活用が進んでいます。

費用をかけずに廃墟の固定資産税負担を軽減したいなら専門の買取業者に売却するのが最もおすすめ!

今回は、廃墟を所有した場合に発生する税金や費用について解説しました。

全く利用していない廃墟でも不動産であるため、毎年固定資産税や都市計画税が所有者に課税されます。

また廃墟とは適切に管理しなければならず、手間や管理費などあらゆるコストがかかるものです。

廃墟の処分方法によっても税金がかかることがあり、廃墟とは手放すだけでも苦労するイメージがあるかも知れません。

しかしながら、廃墟とは売却により簡単に処分することが可能です。

訳あり物件専門の買取業者であれば、どのような状態の廃墟でも買い取り可能です。

また売却の際には、所有者がコストを掛けて不具合を直したりする必要もありません。

業者が提示する売買契約の内容に納得すれば、数日内に廃墟を手放すことが可能です。

廃墟の売却においては、あらゆる費用から解放されるだけでなく、まとまった売却益も手にすることができます。

もし、手のつけられない廃墟の処分に困っている場合は、訳あり物件専門の買取業者に相談してみてください。

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