売れない田舎の空き家を処分する9つの方法。かかる費用や注意点を解説

相続などで、田舎のような遠距離の地方にある家を所有するケースが増えています。

田舎の空き家とは、手入れしないとさまざまなリスクを抱えることになります。

しかしながら、遠方にわざわざ出向いて管理することは時間的・金銭的コストが非常にかかるものです。

そこで空き家を処分したいとなるものの、田舎であり、かつ古い建物とは売却が簡単にできないイメージがあります。

したがいまして、今回はそんな売りづらそうな空き家でも処分・売却する方法について詳しく解説します。

あわせて、空き家を放置してしまったり処分のため必要なチェック項目なども解説しているため、不要な空き家に困っている場合などにぜひ参考にしてみてください。

目次

田舎の空き家を処分する9つの方法

空き家は処分が難しいイメージがあります。

しかしながら、手段を探せば売却や寄付などにとどまらず、様々な処分方法が存在するのです。

そこで以下からは、更地化や法律の適用など見逃されがちな空き家処分のあらゆるバリエーションについて解説します。

【1】不動産仲介を利用する

空き家処分とは不動産売買の一環でもあるため、不動産仲介業者に依頼することが可能です。

不動産仲介業者とは、建物の登記に関する専門知識などを持ち合わせています。

このため仲介業者は、独自のネットワークにより田舎の空き家でも売買を実現する可能性があるのです。

さらに大手の不動産会社であれば、不動産売買のためのポータルサイトなどを運営していることもあり、ユーザーに有益な情報をもたらします。

仲介業者に依頼することのメリットは、登記など専門的手続きを当人の代わりに担当させられること、見つけ方が難しい不動産買い取り顧客を見つけやすくなるということです。

業者によってはオプションもしくは特典のサービスとして、物件内覧者への対応、空き家の手入れといった作業を代行することもあります。

費用

不動産仲介業者にかかる費用に「代行手数料」や「仲介手数料」があります。

仲介手数料は、かつての「売買金額の5%」から18万円が上限額になる制度改正がありました。

制度改正の内容は、2018年1月1日以降の取引に適用されています。

制度改正により、不動産業者による仲介はより積極的になっていると見込まれています。

さらに、地方物件を取り扱う際には現地の不動産仲介業者に依頼する必要が発生するなど、時間的コストや交通費がかかることも特徴です。

注意点

仲介業者に田舎の空き家売買を依頼する際の注意点は以下です。

仲介業者に田舎の空き家売買を依頼する際の注意点

  • 仲介手数料が発生する
  • 代行手数料が発生する
  • 相続などで取得してしまった遠方の不動産についての売買を、同一グループの地元店舗などが請け負ってくれない可能性がある(それぞれ独立した業者であることがほとんどであり、遠方の価値不明物件を取り扱うことはリスクが大きいため)
  • 地方物件の処分を行いたい場合は、当該地方の仲介業者に依頼する必要がある
  • 地方物件の処分のために現地を訪れるために、交通費がかかる
  • 仲介依頼のために「専属専任媒介契約」を結んでしまうと、自分で買主を見つけ不動産を売却する方法が取れなくなる(一般媒介契約・専任媒介契約であれば可能)

【2】専門の買取業者に買取ってもらう

もし処分したい空き家が地方にあるような場合、通常の不動産業者は買い取りを拒否する可能性があります。

しかしながら、専門の買取業者であれば一般的に売却困難とされる物件でも自ら買い取り、積極的に売買に応じることがあります。

このため自分の保持する物件が訳あり物件に該当すると捉えるのであれば、始めから専門の買取業者へ相談を持ちかけるとスムーズです。

専門の買取業者の特徴として、一般的な不動産会社は買い取らない不人気の物件や訳あり物件を買い取ることをアピールしているというものがあります。

こういった業者は地方にも展開していることがあるため、もし相談したいという場合は当該物件がある地方に専門の買取業者が存在していないかを調べてみて下さい。

専門の買取業者は、訳あり物件の取り扱いをしていない不動産会社から紹介されることもあります。

しかしながら専門の買取業者では無料査定を行っていたり、都市部ではない不動産であっても積極的に関わろうとすることが多いため、自分で探しても損することはないといるのです。

専門の買取業者のメリットとして、当該物件の査定を済ませその買取価格に同意できればすぐに処分できるというスピーディさが挙げられます。

業者によっては公式サイトに自分で計算できる査定フォームなどを設置している場所もあるため、気軽に自己の物件を評価することができます。

しかしながら、フォームや計算ページなどに個人情報を打ち込む必要がある場合は、利用後に当該業者から連絡が来る可能性もあるため注意して下さい。

費用

専門の買取業者は、不動産そのものを買い取ることになるため、こちらには費用ではなく売却益が生じるのみとなります。

注意点

業者が一括査定サイトを用意している場合、不用意に個人情報を提示しすぎないように注意して下さい。

特に共有物件であったりする場合は、他の所有者についての個人情報が許可なく業者側に伝わってしまう可能性があります。

【3】リフォームやリノベーションをしてから売却する

賃貸用物件として売りたいのであれば、リフォームやリノベーションを検討しましょう。

やはり、老朽化して中がボロボロ、設備も旧態依然とした物件に住みたい人は、なかなか見つかりません。

賃貸物件に住む人は若い人が多いですから、リフォームやリノベーションを実施して若い人向けの住宅に模様替えをするのも有効です。

床や壁紙の張り替え、外壁や屋根の塗装など、最低限のリフォームで費用は100万円程度に収まることもあります。

まずは第一印象を良いものにすることを考えましょう。場合によっては、「リノベーション可/ご自由にどうぞ」などとアピールするのも一つの手です。

費用

専門の買取業者は見つけるまでに時間がかかることこそあるものの、ポータルサイトなどで探せば見つからないことはありません。

内容に合意すれば、後は売却するだけです。

このため、専門の買取業者での空き家処分であれば費用はほぼかからないといえます。

注意点

物件の一括査定サイトなどで安易に個人情報を入力してしまうと、専門の買取業者の中には客を逃すまいとすぐに連絡をしてくることがあります。

この対策として、メールアドレスが必要になる場合などはサブアカウントなどを用意して運用するべきです。

【4】更地にしたあとに売却する

空き家とは、土地の上に必要のない建物が存在する状態であるともいえるため、空き家処分の方法としてこの建物を撤去してしまうというやり方もあります。

つまり「土地の更地化後の売却」です。

昭和レトロブームといった流行が定期的に起こり、いわゆる古民家が注目されることがあります。

そこで空き家にリフォームやリノベーションを施し、アドレスホッパーやワーケーション向けに古民家として貸し出すといった手段も空き家処分の方法として有力です。

しかしながら需要を見極めることは難しく、利用者がいないのであればリフォーム・リノベ費用が賃貸料金などで回収できなくなり、まるまる無駄になってしまいます。

そこで「更地化」を選択することで土地に自由をもたらし、売却の可能性を高めるのです。

費用

更地化にかかる費用は、木造の空き家を想定した場合150万円ほどになります。

空き家をリノベーションする際にかかる費用も数百万円となることもあり、空き家活用方法が確立されていないのであればこの投資費用は回収できず、無駄になることがあります。

一方、更地であれば土地活用の自由度が高まるため、売却可能性が高まるのです。

更地化の費用さえまかなうことができれば、売却益を手に入れられる可能性があります。

注意点

空き家を更地化する際の注意点として挙げられるデメリットは、以下の通りです。

空き家を更地化する際の注意点

  • 建物がなくなることで住宅の特例減税が受けられなくなり、固定資産税が高くなる
  • 売却での処分の場合、買い取る人が実際に住むまでどれぐらい時間がかかるかわからない
  • 建物がなくなることで、住宅ローンの融資はなくなる
  • 新築物件を建設する場合、既に建物がなくなっているためその際のイメージがしにくい
  • 当該土地が「再建築不可物件」である場合、建物をたてられなくなる
  • 「既存不適格(過去に建築された、旧法・旧制度に適合しない物件でも適合しないままでもよいとされる制度)」が適用されなくなる

【5】周辺住民に買い取ってもらう

空き家が存在する地域の住民に、当該空き家を買い取ってもらう方法も処分方法のひとつです。

この場合、不動産の個人売買になります。

そのため自分が「空き家を売りたい」というPRを何らかの方法でおこなわねばなりません。

PRをについては、田舎暮らしの紹介サイトなどに売り込みに行くといった方法が考えられます。

あるいは、地道ながら口コミを利用するといった方法もあります。

個人売買で地元の方に空き家を売却して処分する方法は、仲介手数料といった費用が必要ないことがメリットです。

さらに、仲介者を挟んでいないため売却益はすべて自分のものとなります。

費用

「空き家売買を行っている」ことをPRをするために、各種媒体に広告掲出などを行った際には広告費が発生します。

また登記手続きは個人で行うことも可能です。

しかしながら登記手続きは煩雑な内容であるため、行政書士など専門家の手を借りた場合は契約費用が必要です。

注意点

個人間の土地売買について、土地の登記に関わる手続きは非常に煩雑であり、個人で行うには難しいことがあります。

さらに土地売買により発生する不動産に関する税金についての納付における書類も、自分で作成して届け出ることになり、こちらも複雑な内容です。

一般的にこうした手続きは行政書士や司法書士、仲介の不動産業者などに代行させることが通例となっています。

こうした手続きは買い手側に任せることができるものの、話し合いや値下げなど交渉が必要となるケースが多くなります。

【6】自治体に寄付をする

不要な空き家は、自治体に寄付することも可能です。

しかしながら、自治体はどんな不動産、建物でも受け入れるわけではありません。

受け入れ物件が選別される理由は、各地から不要物件の「押し付け」が殺到してしまうためです。

また同時に、かんたんな条件での寄付受け入れを認めてしまうと、同様の例で寄付が認められたケースがあったのに、なぜ自分のケースは受け入れられないのかといったクレームが起こる可能性もあるのです。

このため、クレーム対策に隙がない物件を自分が寄付しようとしている旨を自治体側に伝えれば、自治体が寄付に応じる可能性は高まります。

自治体が寄付に応じる不動産とは、以下のような活用方法がある場合に限られます。

自治体が寄付に応じる不動産の条件

  • 小学校の児童が放課後に過ごす児童クラブ(学童保育)の設置
  • 都道府県外から移住者が来た際、「無償貸し付け」ができる物件としての活用
  • 町内会などが「公会堂」として活用することが可能
  • 「防災倉庫」としての活用

このように「空き家の有効活用」が自治体側から注目される理由について解説します。

自治体とは、移住者の受け入れを積極的に施策として行っていることが多く、移住者が住みやすい物件を確保したいのです。

移住者が増えることで、人口増加に寄与し、人口が増えれば住みやすい町としてより多くの移住者を誘致できる可能性が高まります。

そのため、安価な貸家や無料住居貸与などが行えるのであれば、「移住者が定住するきっかけになる物件」として自治体は興味を持ちやすくなるのです。

こうした交渉を行うためには、各自治体の空き家担当部署や移住者担当部署などと交渉することになります。

持ちかけた交渉の内容が好感されれば、後述する空き家バンクなどのマッチングサイトなどを通じて、より空き家の処分がしやすい方法を自治体側が紹介してくれるかも知れません。

自己で処分するための方法を探さなくてよいのは時間的コストを短縮できるメリットといえます。

費用

寄付は売却ではないため、自治体のどういった部署に寄付の交渉を持ちかけるべきかといった下調べが必要です。

注意点

寄付は売却ではないため、売却益を得られることはないことが注意点です。

【7】相続土地国庫帰属制度を利用する

相続などが起きた際のための「取得した土地を手放すための制度に関する法律」が存在します。

この法律は、「相続土地国庫帰属法」といい、2023年4月27日から施行されています。

相続土地国庫帰属法を利用すると、相続・遺贈などで取得せざるを得なかった土地などを国に引き取らせることが可能です。

相続土地国庫帰属法により国に引き取らせることが可能な不動産には、必要な条件があります。

それだけでなく、該当している場合は適用に至らなくなる「承認不可要件」も存在するため注意して下さい。

まず、相続土地国庫帰属法の適用を受けるために必要な条件は以下の通りです。

相続土地国庫帰属法の適用を受けるために必要な条件

  • 土地の上に建物が存在していない(=更地である)こと
  • その土地について、抵当権などの担保権や、借地権・地上権・賃借権など使用及び収益を目的とする権利が設定されていないこと
  • 隣地との境界が明らかであること
  • 所有権などについて争いがないこと
  • 「他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、通路・水道用地・用悪水路・ため池など)が含まれていないこと
  • 「土壌汚染対策法」の規定する特定有害物質に汚染されていない土地であること
  • 相続土地国庫帰属法により、国に引き取らせる不動産について、「複数の所有者」がいる場合、共有者全員の同意を得ていること
  • 上記に際して、共有者の中に相続等で当該不動産を取得した人が「1人」だけでも存在していること

続いて、相続土地国庫帰属法の適用が受けられない「承認不可要件」とは以下の通りです。

相続土地国庫帰属法の適用が受けられない「承認不可要件」

  • 当該不動産が「崖がある土地(勾配が30度以上であり、かつ高さが5メートル以上)」である場合、その管理に「多額の費用・労力」を必要とする
  • 「土地の管理」「処分」を行う際、その土地に障害物となる工作物・車両・樹木などがある
  • その土地が、隣地の所有者・その他の誰かとの裁判を経てからでないと、管理も処分もできない
  • その土地が上記に当てはまらず、「管理」「処分」といった行為の際、多額の費用や労力が必要となる

承認不可要件を一読すると、土地がすでに何かにより利用されていないこと、何かしらの係争を抱えてないことが条件とも言い換えられます。

費用

相続土地国庫帰属法の適用を受けたとしても、当該土地を引き取らせるためには「10年分の管理費相当額」を支払わなければなりません。

ほか、審査手数料(14,000円)と負担金(20万円〜)が必要です。

注意点

当該土地に「建物がある場合」は建物を解体しなければなりません。

建物解体のための費用は、自己で捻出する必要があります。

土地の状態が相続土地国庫帰属法の適用を受ける上で不利な状況である場合、引き取りを実現させるために思いがけない費用負担が起こり得るのです。

【8】空き家バンクに登録する

空き家バンクに自分が所有する空き家を登録すると、処分の可能性が高まります。

空き家バンクとは、以下のような特徴を持ちます。

空き家バンクの特徴

  • 当該物件が所在する自治体における制度のひとつ
  • 空き家の「売却」「賃貸」などを希望する所有者から申し込みを受け、当該物件の情報を紹介する制度
  • 当該物件の情報は、「物件所在地への定住」などが目的のユーザー紹介するために利用
  • 登録費用無料
  • 仲介業者を通して契約が成立したような場合は、仲介手数料が発生

自治体の制度であるため、信頼度が高いことはメリットといえます。

どこか別の地方から、当該空き家がある地方へ移住を希望するユーザーが現れ、空き家バンクを利用した場合、事前に自己の物件を空き家バンクに登録しておくことで、移住候補としてピックアップさせられるのです。

また国土交通省は「全国版空き地・空き家バンク」をこれまでに作成しています。

この全国版空き家バンクの設置後に成約へ至った不動産件数は、6000件を超えているとのことです。

費用

空き家バンクへの登録費用は、無料です。

自治体によっては売却の際に仲介業者を挟むことがあります。

この時は仲介手数料が発生する可能性が高いため、注意しましょう。

注意点

日本全国、全ての自治体が空き家バンクを設置しているわけではないことに注意して下さい。

また空き家だからといって管理を怠っていた場合、移住希望者などの空き家バンク閲覧者からの評価は下がり、候補から外されてしまいます。

このため、空き家バンクに登録する物件は適度に住居として利用できる状態を保つよう管理しておくべきです。

【9】処分せず活用する

「空き家処分」はハードルが高く、売りに出してもなかなか買い手が見つからないものです。

このハードルの高さを見越して、売却に関する施策と並行して空き家の活用をする方法もあります。

例えば、以下の空き家活用方法が挙げられます。

空き家活用方法

  • 活用方法1:貸与
  • 活用方法2:アパート・マンションの経営
  • 活用方法3:駐車場経営
  • 活用方法4:老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅経営
  • 活用方法5:太陽光発電用地
  • 活用方法6:農地として活用
  • 活用方法7:シェアハウス運営

以下からは、それぞれの空き家活用方法について詳しく解説します。

活用方法1:貸与

空き家を隣人、近隣住民に貸し出す方法で活用可能です。

場所の利便性によっては、相手方との交渉次第で「売却」できることもあります。

活用方法2:アパート・マンションの経営

空き家そのままの貸し出しと同様、土地を貸し出す方法です。

土地を一度更地にするなどして、新たにアパートやマンションを建築したり、建物を住居として貸し出すことになります。

本件では、新築か中古かで利回りが異なる点に注意しましょう。

一方、更地ではなくなることなどから相続税・住民税・固定資産税などの節税が可能です。

活用方法3:駐車場経営

土地のみの相続である場合、あるいは土地の更地化が可能である場合は、すぐに「貸し駐車場」としての提供が可能となります。

このとき、駐車場がすでに近隣にあるなど周囲環境に注意しましょう。

また、駐車場運営とは、運営による収益が「管理費用や固定資産税を上回る状態」が必要です。

さらに細かい注意点として、駐車場経営を行う上では以下の点に注意しなければなりません。

駐車場経営を行う上で注意すべきポイント

  • 当該土地に車が安全かつスムーズに駐車できるか
  • 駐車場予定地が道路と接しているか
  • 土地内に、大小さまざまな車を破損したり駐車を妨害する障害物がないか
  • 土地内は、複数台の車がそれぞれ感覚に余裕を保ちつつ駐車できるほどのスペースがあるか
  • 土地の入り口は、車が出入りしやすくなっているか

活用方法4:老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅経営

活用しようとしている空き家が存在する地方が高齢化の進んだ地域である場合、老人ホームとしての利活用ができます。

特に福祉施設の需要が高い地方では、住宅地などにおいて「老人ホーム化以前に、誰かが生活していた住宅がそのまま老人ホームに転用される」といったケースが急増中です。

そのため、宅地そのままでの運用も可能となるのです。

活用方法5:太陽光発電用地

当該空き家のある土地が日当たりよく、スペースの確保も容易である場合は、更地化などを行うことによって太陽光発電用地として土地を転用することが可能です。

また、土地を太陽光発電用地として運用する際に適した条件は以下の通りです。

土地を太陽光発電用地として運用する際に適した条件

  • 土地の広さが300~500坪以上である
  • 近くに電柱がある
  • 日当たりがよい

活用方法6:農地として活用

更地は「農地」として転用可能です。

しかしながら、土地を農地と認定されたまま運用するためには以下のような注意点が存在します。

土地を農地と認定されたまま運用する注意点

  • 自己で使うだけでなく、「市民農園」として貸し出しもでき、農地であるため固定資産税の節税可
  • 常に農作物を育てなければ農地として認定されない点に注意
  • 上記に際して定期的に農地に出入りし、管理可能な人間が必要。その場合管理費が発生
  • 貸し出しによる収入が管理費や人件費、固定資産税などを上回る目算がある際に有用

活用方法7:シェアハウス運営

田舎で暮らしたい若者層向けに、空き家を「シェアハウス化」する施策です。

本施策は、「永住を目的とした田舎暮らし体験」を提供・地域活性化することが目的であり、自治体の意向などにも適した内容となっています。

例えば、秋田県は独自通貨による「シェアビレッジ」の運営に取り組み中です。

まずは所有している田舎の空き家の状態を確認!

田舎の空き家とは老朽化により、損傷などがあるかも知れません。

その度合いによっては、「売却による処分」が望めないこともあります。

どうしても売却したい場合、空き家の状態によってはリフォームなど手を加えなければならないこともあるのです。

空き家処分の前には確かめておくべき「空き家の状態」というものが存在し、それは以下の通りです。

空き家の状態

  • 【1】空き家の状態(瑕疵の有無など)
  • 【2】空き家の立地
  • 【3】建物の区分
  • 【4】リフォーム履歴
  • 【5】所有権者

そこで、以下からは「空き家の売却を考える際にチェックすべきポイント」それぞれについて、チェックすることでどのようなメリットがあり、どんなリスクを軽減できるのかなどについて詳しく解説します。

【1】空き家の状態(瑕疵の有無など)

空き家を処分する場合、まず空き家のどこかに破損がないかを調べてください。

外装・内装などどんなに細かい部分でも、あるいはどのような小さなキズでも、空き家処分にあたっては「瑕疵」とみなされます。

今からでも住めてしまうほど、修繕しなくてもよい住居であれば売却可能性も高まります。

一方、購入後に修繕やリフォーム、解体などが必要であることが明らかな住居に対して、買い手はなかなか集まりません。

古い家の場合、「雨漏り」「床の傾き」が嫌気されがちです。

【2】空き家の立地

空き家の処分上、当該不動産の立地状態は売却状況などに大きく作用します。

たとえ田舎でも駅に近かったり、人気がある場所であれば売却の可能性が高まります。

空き家である前に、田舎であること(=過疎地であること)が処分の可能性を狭めるのです。

立地においては、当該不動産の近隣状況もチェックポイントとして重要です。

当該不動産の近くにゴミ回収所、下水溝、高い建物などがあるとにおいの害や日照について不便であるという評価が加わることになります。

【3】建物の区分

アパート、マンションのように「一部の区分けされた場所」のみを所有する建物は「区分所有建物」と呼ばれます。

この場合「共用部分」には、勝手に何か手を加えてはいけません。

共用部分とは以下の場所が該当します。

共用部分

  • エントランス
  • 駐車場
  • バルコニー
  • 共用廊下

さらに区分所有建物の場合、リフォームが簡単には行えないことがあります。

それは以下の「住戸同士の境界を区切っている部分」が共用部分に該当するためです。

住戸同士の境界を区切っている部分

  • 天井

こういった区分所有建物をリフォームしたり手を加え売却する場合、管理組合から予め承認を受けなければならないこともあります。

【4】リフォーム履歴

売却しようとしている空き家について、リフォームを施したことがあれば、その時期によって価値が高まる可能性があります。

それは「直近5年以内のリフォーム」についてです。

とくに注目されるリフォーム箇所は、浴室です。

一般的に浴室では交換などを行うことがあり、相場価格は高く、50万円~150万円とされています。

そこでこういった箇所のリフォームが直近5年以内にあると注目もされやすく、売れる可能性が高まるのです。

ぜひ、リフォーム履歴は詳しく確かめておいてください。

【5】所有権者

家の所有権者は「登記簿謄本(登記事項証明書)」で確かめることができます。

そのため、空き家の処分を行う際は所有権者を確かめておきましょう。

それは、家の処分をしていい者が「その家の所有権者のみ」であるためです。

親の逝去などに伴い、不要になってしまった家を処分したくても、「相続の手続き」がされていなければ処分ができないのです。

登記簿謄本は法務局にあり、誰でも取得可能です。

空き家処分に際しては、必ず登記簿謄本を確めてください。

「状態が悪い田舎の空き家」でも専門の買取業者なら売却可能

田舎の空き家とは老朽化が進みやすくなっており、状態も悪いものです。

したがって、一般的な「町の不動産屋さん」のような場所では買い取り拒否、査定もされないことがあります。

しかしながら、そんな他社に買い取りを断られてしまうような、売れ残ってしまうような空き家でも専門の買取業者であれば買い取りに応じる可能性が高いのです。

それは空き家など悪い状態の家専門の買取業者は、土地の利活用方法や売却方法などの知識、ノウハウに長けているためです。

もしどうしても空き家の処分・売却に困ったことがあれば、専門の買取業者への相談が便利です。

田舎の空き家を放置するとどうなる?考えられるリスク

田舎の空き家を所有し続けると、以下のようにさまざまなリスク・デメリットが生じます。

田舎の空き家を所有し続けるリスク・デメリット

  • 固定資産税がかかり続ける
  • 老朽化により倒壊する恐れがある
  • 近隣トラブルに発展する可能性がある
  • 特定空き家に指定される可能性がある

田舎の空き家とは、手入れをするような「管理者」がいないことに問題があります。

管理放棄された家についてのリスクについて、以下から詳しく解説します。

リスク1:固定資産税がかかり続ける

住宅とは、誰も住んでいなかったとしても、所有しているだけで固定資産税が発生します。

固定資産税は、立地条件・家面積の広さなど、諸条件によって変動するものの、「確実に毎年発生するコスト」です。

そのため、その空き家についての所有期間が長くなればなるほど、金銭的な負担がふくれあがるのです。

ここで、「家を解体し、更地にしよう」とするとさらにリスクが高まります。

更地であれば、「建物管理」をしなくてよいというリスク回避は可能なものの、固定資産税は高くなってしまいます。

リスク2:老朽化により倒壊する恐れがある

田舎の空き家とは、管理放棄がされがちです。

これは立地条件が悪く、管理したくても所有者が遠く離れたところに住んでいるなどで管理に手が行き届かないことなどを理由とすることが多いです。

管理放棄された家は、老朽化が加速します。

例えば、外壁がひび割れたり、天井からの雨漏りなどが該当します。

これらの老朽化は見た目は大したことがないように見えても、さらに老朽化が進むと「家屋倒壊」のリスクにもつながるのです。

このため、上記リスクを避けるために、「持ち家」とは、たとえ空き家でも管理・修繕をし続けなければならないのです。

管理の手間や、修繕の費用もコストとして大きなリスクとなり得ます。

リスク3:近隣トラブルに発展する可能性がある

空き家とは管理不足になりがちで、行き届いていない管理状態が周囲に悪影響を及ぼし、空き家の存在が近隣トラブルに発展する可能性があります。

例えば庭がある空き家の場合、手入れを怠るとかなり雑草が繁殖します。

「手入れがされていない庭」であると周囲に認識されると、廃棄物の不法投棄の対象となってしまうことがあるのです。

不法投棄が行われると、次第に景観が悪化します。

さらには、利用されていない家屋と見做され、反社会的勢力のたまり場として悪用されてしまうこともあるのです。

このような状態になると、景観悪化や犯罪の温床として、近隣や自治体をも巻き込んだトラブルのもととなってしまいます。

当該空き家の処分や売却をしたかったのだとしても、悪評がつき思うような結果が得られなくなってしまいます。

リスク4:特定空き家に指定される可能性がある

管理が行き届いていない空き家は、危険な建物と見做され「特定空き家」に指定されることがあります。

特定空き家とは、「住宅用地の特例」が受けられません。

したがって、固定資産税が6倍になってしまうのです。

不動産会社に相談しても売れない場合やとにかくスムーズに売却したい場合は専門の買取業者に依頼しよう!

今回は、売りづらいイメージが高い田舎の空き家を処分する方法について解説しました。

売却しづらいイメージがある空き家でも、少しの手間やコストをかけることで処分だけでなく売却につながりやすくする方法は多数存在するのです。

また不必要な空き家でも、こまめに手入れをしなかった場合は将来的にたくさんのリスクを抱えることになります。

それどころか、管理されない家は数年もすれば特定空き家と認定され、固定資産税が6倍になってしまうというコースはほぼ避けられないものと思われます。

そこで、どうしても空き家を売却処分したい場合は、訳あり物件でも取り扱い可能な専門の買取業者に相談することをおすすめします。

専門の買取業者は、一般の不動産業者が取り扱わないような家屋でも処分・利活用するノウハウを持っています。

業者によっては査定サイトを設置していることもあるので、まずは気軽に査定から始めてみてください。

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