古民家の固定資産税を知る方法は?維持に必要な税金に関する基礎知識

古民家の場合、所有しているだけで固定資産税がかかってきます。

古民家の状態や大きさによって固定資産税金額は変わります。

中には維持しきれなかったり、うまく空き家を活用できなかったりで売却・譲渡される方もいるほど大きな出費につながってしまったりするケースもあるので、古民家を所有している方は絶対に知っておいた方が良い知識と言っても良いでしょう。

今回はそんな古民家を所有する方が知っておくべき、「古民家の固定資産税」について解説していきます。

古民家の維持にかかる2つの税金

古民家とは、一般的な住宅と同じように「所有しているだけで固定資産税・都市計画税(地方税)」が課されます。

固定資産税と都市計画税とは土地を所有していると課される税金であるため、もし更地を所有していても、建物が建っている土地を所有していても額の差はあれど同様に発生します。

それぞれの税金について、以下からさらに詳しく解説します。

【1】固定資産税

固定資産税とは以下の意味を持つ税金です。

固定資産税

土地や家屋、償却資産など「固定資産」に課される税金であり、地方税。地方税は国ではなく市町村に納めるタイプの税金である。

固定資産税の確認方法は、投函される納税通知書を見ることです。

一方、固定資産税の計算方法は以下の通りです。

固定資産税の計算方法

固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4%)

課税標準額とは、その資産価値の変動に左右されて変わる「課税対象額」のことです。

この変動値は3年ごとに「適正化」が行われ、そこで決まった額を「固定資産税課税評価額」といいます。

【2】都市計画税

都市計画税とは、「土地や建物を所有してれば絶対に発生する」というものではありません。

都市計画税は「自治体が定めた区域に不動産を持つ場合」にその土地や不動産に対して課されます。

その特定地域は「市街化区域」ともいわれます。

市街化区域とは、既に住宅や商業施設が立ち並ぶ場所および、各自治体による都市計画の対象地域などが対象となることが多いものです。

このため当該区域内に「土地」「建物」を持っていると、課税されるのです。

都市計画税は、自治体が「都市計画事業」「土地区画事業」を行うために徴収される市町村税のひとつとなっています。

都市計画税を算出する計算式は、以下のとおりです。

都市計画税額の算出方法

都市計画税額=固定資産税評価額×税率

税率は自治体により基準が定められています。

しかしながら、税率の上限が0.3%を超えることはありません。

中でも固定資産税は土地や家屋の状態によって税額が異なる

固定資産税とは、ある建物の築年数や使われている素材や構造、床面積によって変わります。

しかしながら、例えば他者の所有する建物や土地と似たような見た目や位置であっても額が異なることがあります。

その理由は、固定資産税とは「固定資産評価基準」に基づいて決まるためです。

特に土地の価値とは、以下のように様々な要素により「路線価」が変動し、評価額に影響します。

路線価が変動する要因

  • 駅や市役所など「公共施設」に近いかどうか
  • 土地の前面にある道路について、どのような幅員か
  • 角地かどうか
  • 狭い進入路であるかどうか
  • どのような土地の形状か

また「土地評価」がいかになされているかを、納税者が確認、比較することも可能です。

納税者等は、一定期間に限り「周辺の他の土地、家屋の評価額」を縦覧できる制度が平成15年度に改正された縦覧制度により保証されています。

そして、固定資産税と都市計画税の計算方法は以下の通りとなっています。

固定資産税の計算方法
更地の場合課税標準額×1.4%
敷地面積が200平方メートルまでの場合課税標準額×1/6×1.4%
敷地のうち200平方メートルを越える部分課税標準額×1/3×1.4%

固定資産税の納税額は、課税標準額×1.4%(標準税率)です。

都市計画税
更地の場合課税標準額×0.3%
敷地面積が200平方メートルまでの場合課税標準額×1/3×0.3%
敷地のうち200平方メートルを越える部分課税標準額×2/3×0.3%

都市計画税の上限は「課税標準額×0.3%」です。

このように固定資産税とは、その土地や家屋の資産価値により決められた評価額が影響し、税額が大きく変動します。

いずれの税金を納めるにも、課税標準額や固定資産評価基準の値が判明するとより内容が明確になります。

このため、自分の固定資産税や都市計画税について詳しく知りたいのであれば、固定資産税に関する納税通知書などを調べるようにしましょう。

古民家の固定資産税を調べる方法は?

古民家であっても固定資産税の納税額を算出する方法は存在します。

古民家はその築年数や初代の持ち主が不在となってしまったりすることで、当時の関係資料が見つかりづらいことがあります。

しかしながら、以下の方法で古民家の固定資産税を調べることが可能です。

古民家の固定資産税を調べる方法

  • 納税通知書を確認する
  • 課税評価額から算出する
  • 固定資産評価証明書を入手する

以下の段落からは、それぞれの方法についてさらに詳しく解説します。

方法1:納税通知書を確認する

納税通知書を確認すると、古民家や空き家であっても固定資産税が判明します。

納税通知書は、「毎年4~6月ごろ」に当該家屋の「同年、1月1日時点で所有している者」宛てに届きます。

つまり、何もしなくても各自治体が送ってくるものであるため特別な手続きなどを要しません。

登記簿に記載された者の元にしか納税通知書は届きません。

当人が死去してしまった場合は、それまで暮らしていた住所に届くことになります。

つまり、所有者の名義変更などが行われていない場合、実際の所有者の住所宛に届くことになるため注意してください。

納税通知書には、「固定資産税」および「都市計画税」についての「年間額」が記載されます。

方法2:課税標準額から算出する

納税通知書の利用ができない場合も、固定資産税額の計算をすることできます。

それは「課税標準額」を利用する方法です。

固定資産税を算出する際に参照する課税標準額とは、「固定資産評価額」というものです。

固定資産税とは、以下の計算式で算出可能となります。

固定資産税の算出方法

固定資産税=固定資産評価額×1.4%

固定資産評価額とは、固定資産税計算時に「基礎」となる額です。

固定資産評価額の確認方法は以下の2つです。

固定資産評価額の確認方法

  • 納税通知書と同時に送られる「課税明細書」における「固定資産税課税標準額」の欄:納税通知書を紛失したものの、課税明細書が残っている時に
  • 「固定資産税台帳」を閲覧する:閲覧が可能な者が限られており、「当該不動産の所有者」「相続人」「借地人」などのみ閲覧可能かつ、閲覧手続きには「本人確認書類」「手数料」が発生する

方法3:固定資産評価証明書を入手する

固定資産評価証明書とは、土地や建築物など「固定資産」の評価額がどのような内容であるかを証明する書類です。

固定資産評価証明書には、固定資産課税台帳の「固定資産評価額」が転記されています。

市区町村が固定資産評価額を証明していることにもなるため、このような名前になっています。

固定資産税は固定資産評価額を参照して納税額が決定されるため、固定資産評価証明書があれば固定資産税の計算が可能になるのです。

本証明書は不動産に関わる手続きをしなければならない時にも役立ちます。

例えば以下のケースの時に利用されることが想定され、覚えておけばいざという時に活用できます。

固定資産評価証明書が利用される典型的なケース

  • 不動産価値の目安把握
  • 固定資産税の計算
  • 相続税の計算
  • 贈与税の計算
  • 登録免許税の計算
  • 不動産売買
  • 贈与
  • 不動産関係の司法手続き

古民家の固定資産税について知っておきたい基本知識

古民家とは不動産であり、不動産とは築年数や土地の上に何があるかないかなど様々なケースが想定されるものです。

固定資産税とは、当該不動産の置かれた状況によりその額が大きく変動する特例措置などを受けてから算出されることもあります。

そこで以下からは、固定資産税において納税額が減額となるような特例措置が受けられる各ケースについて解説します。

【1】家屋の評価額が低い場合は非課税になる

固定資産税が非課税となるケースが存在します。

それは、当該古民家の評価額が「20万円未満」となる場合です。

固定資産とは、評価額が3年ごとに更新されます。

つまり、築年数が経過するに伴って評価額は下がるものであるため、本ケースに相当するような低い評価額になることがありえるのです。

また固定資産の評価額、とりわけ古民家にありがちな木造である建物は、築20~25年の経過後は評価額が据え置かれ、下がらないことが通例とされています。

【2】土地の固定資産税は住宅用地の特例が適用される

「家が建っている土地」については固定資産税額・都市計画税額に影響を及ぼす特例が存在します。

つまり土地に家が建っていることで、節税につながるのです。

これを「住宅用地の特例」といいます。

逆に土地の上に住宅がなければ、減税はおこりません。

この特例を考える上での注意点は、古民家をどうしても売ろうとして、使いみちのない家屋を解体してしまうと、その土地は更地となり、本来受けられるはずだった住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が増額します。

もしも更地を抱えたまま、当該不動産がずっと売れなかったのであれば、その間に発生する高い固定資産税を優遇措置なしで支払い続けねばならないのです。

固定資産税における住宅用地の特例は、以下の計算方法で算出されます。

固定資産税都市計画税
更地の場合減額なし減額なし
敷地面積が200平方メートルまでの場合1/6まで減額1/3まで減額
敷地面積について200平方メートルを越える部分1/3まで減額2/3まで減額

【3】増築・移築をすると固定資産税が上がる

古民家については、増築・移築をおこなうと固定資産税が上がるリスクがあります。

それは古民家については建て替えを行うと「新築」扱いとなるためです。

新築とは価値が高い不動産であるため、結果的に評価額が上がり固定資産税が上がるのです。

【4】リフォームで固定資産税が安くなる可能性がある

古民家について、増築や移築に比べリフォームやリノベーションでは固定資産税は上がる可能性は少ないです。

それどころか以下3つのリフォームであれば、実施した後に固定資産税が安くなる可能性があります。

固定資産評価証明書が利用される典型的なケース

  • 省エネに関するリフォーム
  • バリアフリーにするためのリフォーム
  • 耐震リフォーム

それぞれのリフォームについて、詳しく解説します。

省エネに関するリフォーム

省エネに関するリフォームを行うと、翌年の固定資産税が1/3軽減されます。

減税対象として該当するリフォームについては、「住宅要件」と「工事要件」を満たすリフォームである必要があります。

まず当該省エネに関するリフォームにおける「住宅要件」は以下の通りです。

住宅要件とは、工事を受ける際の住宅の状態を意味します。

住宅要件(省エネ)

  • 平成26年(2014年)4月1日以前から存在する建物であること
  • 賃貸の建物ではないこと
  • 改修工事後の床面積が「50平方メートル以上、280平方メートル以下」であること

続いて当該リフォームにおける「工事要件」とは以下の通りです。

工事要件(省エネ)

  • 窓の断熱工事(必須工事):本工事は必ず行われなければならない。さらに下記3点のいずれかひとつの工事を行うことが必須
  • 「床・壁・天井」の断熱工事
  • 太陽光発電設備の設置工事
  • 「高効率空調機器設置工事・高効率給湯器設置工事・太陽熱利用システム設置工事」

※工事により改修部位は、「平成28年(2016年)省エネ基準相当」に適合しなければならない
※工事費用は、「補助金等を除いて60万円」を超えなければならない

バリアフリーにするためのリフォーム

バリアフリーを実現するためのリフォームでも、工事を行った翌年の固定資産税に関して減税措置を受けられます。

減税措置を受けられるバリアフリーリフォームは、「住宅要件」と「工事要件」を満たさなければなりません。

当該バリアフリーリフォームにおける住宅要件は以下の通りです。

住宅要件とは、当該リフォームを受ける時点での住宅の状態を意味します。

住宅要件(バリアフリー)

  • 窓の断熱工事(必須工事):本工事は必ず行われなければならない。さらに下記3点のいずれかひとつの工事を行うことが必須
  • 「床・壁・天井」の断熱工事
  • 太陽光発電設備の設置工事
  • 「高効率空調機器設置工事・高効率給湯器設置工事・太陽熱利用システム設置工事」

※工事により改修部位は、「平成28年(2016年)省エネ基準相当」に適合しなければならない
※工事費用は、「補助金等を除いて60万円」を超えなければならない

工事要件は以下の通りです。

工事要件(バリアフリー)

  • 工事費用が「補助金等を除いて50万円以上」:当条件は必須、さらに以下のリフォームのうちひとつを実施しなければならない
  • 浴室の改良
  • トイレの改良
  • 出入り口の改良
  • 手すりを付ける
  • 通路などの幅を広げる
  • 階段の勾配(角度)を緩やかにする
  • 段差の解消
  • 「滑りにくい床」に替える

耐震リフォーム

古民家の場合、建物が古いため耐震基準も古いものである可能性があります。

そのため、古民家であれば耐震リフォームを施したことによる固定資産税優遇が受けられるかもしれません。

耐震リフォームでは、以下の条件すべてに適合する耐震改修工事を施すことによって、工事実施の次の年の固定資産税が2分の1になる税制優遇を受けることができます。

耐震リフォームにて、税制優遇を受けることができる条件

  • リフォームを施す建物が昭和57年(1982年)の1月1日以前から存在する建物であること
  • 「現行の耐震基準」に当該建物の耐震基準を適合させる工事であること
  • 工事費が50万円以上かかること

固定資産税を安くする方法はある?

今回は、建物や土地を所有しているだけで課される税金である固定資産税について解説しました。

固定資産税とは、現状よりも安くできる可能性がある税金です。

固定資産税は、国が定める路線価などにより決定される評価基準額より、課税標準額が決まります。

また新築物件であればあるほど価値が高い(一定の期間、床面積などの条件を満たす新築物件は別途税制優遇措置あり)ため、築年数が経っている古民家はおのずと評価が下がり、固定資産税が低くなる可能性があるのです。

それだけでなく、固定資産税とは優遇措置があり減税できる可能性があります。

その減税方法とは、土地を更地にしてしまわないことだったり、固定資産税の減税が受けられる各種リフォームを受けるなどさまざまな方法があります。

ほかにも、「家屋調査」を依頼するという方法もあります。

この方法が適すのは土地評価などの方法が適正でないまま評価額が決定され、更新されずに固定資産税を納税させられているケースなどが該当します。

もし、現行法などに則す固定資産税評価額がわかれば、固定資産税額が安くなる可能性があるのです。

さらに「固定資産税をクレジットカード払いで納税する」というやり方も、固定資産税を易くする方法の一つです。

クレジットカード決済は、ポイント還元があるため高くなりがちな固定資産税をクレジットカード決済すれば「トータルで見た時に税金が減額されている」という状態が再現できます。

クレカ払いの恩恵を受けるために、自分の自治体がクレジットカード決済に対応しているかどうかを調べてみてください。

ほか田舎や山奥は固定資産税評価額が低いため、当地で住宅を購入すれば固定資産税は安くなります。

また築年数が古い中古物件、つまり古民家を購入すれば、当該物件は評価額が低いため固定資産税を抑えられるのです。

つまり今回解説したように、古民家の固定資産税とは現状よりも安くできる可能性があるのです。

固定資産税の支払いに不安がある場合は売却するのも1つの方法!

固定資産税がどのような税金であるか、どういった方法でその納税額が変動するかを解説しました。

しかしながら不動産とは個別に事情が異なり、希望のケースにできないことがあるものです。

そこでどうしても固定資産税を減額できず、しかしながら税金の支払いが難しい場合などは、古民家専門の買取業者に相談してみてください。

専門の買取業者であれば「古民家活用のノウハウや売却の経験」を持っているため、通常の不動産会社に任せるといった売却方法よりもスムーズかつ高値での売却が実現できる可能性があります。

ぜひ古民家の処分で困ったことがあれば、一括査定サイトなどを利用し、専門の買取業者に見積もりを依頼してみてください。

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