売れない築40年のマンションでも売却できる!売買相場や売却のコツを解説

「築40年のマンションは売れない」と言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

今回は、築40年のマンションが売れないといわれる理由、築40年のマンションの売買相場、築40年のマンションを購入するメリット、築40年のマンションの売却のコツなどについて詳しく解説します。

「築40年のマンションは売れない」と言われる理由は6つ

「築40年のマンションは売れない」と言われる理由には、次のようなものが挙げられます。

翌年の固定資産税が軽減される対象となるリフォームの種類

  • 理由1:老朽化によって外観が悪く見える
  • 理由2:住宅設備が古くなっている
  • 理由3:共用部分の設備が古くなっている
  • 理由4:住宅ローンの審査が通らないことがある
  • 理由5:修繕積立金が高くなる
  • 理由6:耐震性に不安がある

この6つの理由について、以下で詳しく説明します。

理由1:老朽化によって外観が悪く見える

新築や築浅のマンションと比較すると、どうしても築40年のマンションの老朽化は否めず、売れにくい原因となってしまいます。

長期修繕計画に基づいてメンテナンスが適切に行われ、外壁塗装などの大規模修繕が計画的に行われているマンションであっても、築40年ともなると外観のデザインが時代遅れに見えてしまいます。

まして、大規模修繕で外壁塗装を行っていない築40年のマンションであれば、外壁の汚れやコンクリートのひび割れなどによって外観の劣化が目立つでしょう。

理由2:住宅設備が古くなっている

経年劣化によって、専有部分の水回り設備(キッチン、浴室、洗面所、トイレ、給湯器など)や空調・換気設備(エアコン、換気扇など)の住宅設備が古くなっていることも売れない理由として挙げられます。

これらの住宅設備の法的な耐用年数は15年となっているのですが、必ずしもこのタイミングで交換する必要はありません。

しかし、もし築40年まで交換をしていない場合は、外観も性能的にも老朽化しているはずですので売れない理由となります。

理由3:共用部分の設備が古くなっている

築40年のマンションでは、共用部分(エントランス、廊下、階段、駐車場、駐輪場など)と共用部分の設備(エレベーター、立体駐車場・駐輪場など)が古くなっていることも売れない理由に挙げられます。

一般的に、マンションの大規模修繕は20~30年に1回実施されますので、築40年であれば一度は実施されているはずですので、エレベーターなどは交換されている可能性もあります。

しかし、もし交換が実施されていないのであれば、時代遅れのエレベーターが使われているということであり、機能面にも古さが見られますので売れない理由となります。

理由4:住宅ローンの審査が通らないことがある

金融機関によっては、マンションの築年数によって融資対象から除外したり、融資期間に制限を設けたりするところがあります。

たとえば、融資期間を「50年-築年数」などと設定しているところがあり、このケースで築40年のマンションの住宅ローンを組もうとすると、融資期間は10年となってしまいます。

新築マンションに比べると購入金額は安くなるとはいっても、月々のローン返済額の負担が大きくなりますので購入を躊躇する原因になります。

しかし、住宅ローンの対象が中古マンションであっても築年数による制限は一切設けていないという金融機関もたくさんありますので、致命的な原因とはならないとも考えられます。

理由5:修繕積立金が高くなる

築40年のマンションが売れない理由として、修繕積立金が高くなることも挙げられます。

国土交通省の資料「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、築年数と修繕積立金(月額)の関係は次の表のようになっています。

築年数修繕積立金(月額)
9年以下8,820円
10年以上19年未満12,520円
20年以上29年未満13,112円
30年以上39年未満11,929円
40年以上13,476円

築9年以下のマンションの修繕積立金が平均8,820円/月であるのに対して、築40年以上のマンションでは平均13,476円/月となっており、約1.5倍にもなっていることが分かります。

マンションを購入すると、ローンの返済金と管理費に加えて修繕積立金も支払わなければなりませんので、月々の出費を考えると修繕積立金の高さが負担となってしまいます。

理由6:耐震性に不安がある

築40年のマンションの耐震性は、現行の新耐震基準を満たしていない可能性があるため売れにくくなります。

建築基準法の新耐震基準は1981年6月1日から適用されていますので、築40年を超えるマンションの中には旧耐震基準に基づいている物件があります。

新耐震基準に基づく建物は、震度6強~7の大規模地震でも倒壊をしない耐震性を有していますが、旧耐震基準では震度5程度で建物が倒壊しないことを目標としていました。

つまり、新耐震基準と旧耐震基準では明らかに耐震性に差があることになりますので、旧耐震基準で建てられたマンションの耐震性に不安を抱く人が出てくるのは仕方がありません。

築40年のマンションを売却することは可能?

築40年と聞くといかにも古いというイメージを抱きがちですが、実は築40年のマンションであってもコンスタントに売買が行われており成約実績があります。

たとえば、東京テアトル株式会社が運営している「マンション売却センター

によれば、2022年の首都圏の中古マンションの成約件数35,429件の中で、築40年を超えるマンションの成約件数は5,846件で、これは全体の16.5%を占めています。

しかも、2019年~2022年のトレンドで見ると、成約件数の比率は2019年:11.8%、2020年:13.3%、2021年:14.7%、2022年:16.5%というように、年々増加していることも分かっています。

このことから、築40年のマンションは売却可能であり、さらに近年人気が上昇しているということができます。

築40年のマンションの売買相場

中古マンションの売買相場は、地域によって大きく異なります。

売買相場が高いのは首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で、次いで関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)となりますが、首都圏の中でも東京都が最も高くなっています。

たとえば、スター・マイカ株式会社が運営する「URILABO(ウリラボ)

によれば、築年数40年のマンションの売買相場は、東京都3,086万円、神奈川県2,359万円、埼玉県1,950万円、千葉県1,861万円、大阪府1,816万円、京都府1,776万円、兵庫県1,677万円です。

マンションの売買相場は専有面積によって変わってきますが、同じ「URILABO(ウリラボ)」のデータにはm2当たりの単価も示されています。

それによれば、東京都77.1万円/m2、神奈川県39.3万円/m2、埼玉県30.0万円/m2、千葉県26.6万円/m2、大阪府30.3万円/m2、京都府29.6万円/m2、兵庫県25.8万円/m2となっており、東京都がダントツで高いことが分かります。

築年数ごとの成約単価の推移

国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書(H25年)」の「マンションの売買事例について」から、築年数ごとの成約件数と平均成約単価(m2当たり)をまとめると、下記の表のようになっています。

築年数成約件数平均成約単価(m2当たり)
10年未満4,291 件65 万円/m2
10年以上20年未満4,004 件57 万円/m2
20年以上30年未満1,833 件42 万円/m2
30年以上40年未満1,980 件38 万円/m2
40年以上50年未満625 件37 万円/m2

この表を見ると、築年数が20年未満のマンションの成約件数は4,000件以上ですが、築年数が20年以上40年未満になると半数以下の2,000件未満になり、さらに築年数が40年以上になるとその1/3以下の625件まで大きく減少していることが分かります。

しかし、成約単価は築年数が20年未満では60万円/m2前後で、築年数が20~30年以上になると40万円/m2前後まで低下しますが、その後の単価は大きく低下することはなく一定の水準で推移していることも分かります。

これは、マンションの建物の資産価値が30年ほどで0円にまで低下するものの、その後は土地だけの評価額になってしまうため大きく低下しないことによります。

つまり、築40年のマンションであっても成約価格が0円になることはないということであり、築40年のマンションが絶対に売れない、値段がつかないということはほとんどないということが言えるのです。

買い手が築40年のマンションを購入するメリット

「築40年のマンションは売れない」と言われるのですが、買い手にとっては次のようなメリットがあります。

築40年のマンションを購入するメリット

  • メリット1:低価格で購入できる
  • メリット2:浮いたお金をリノベーションにあてられる
  • メリット3:立地が良い物件が多い
  • メリット4:管理状況を確認したあとに購入できる

以下では、それぞれについて説明します。

メリット1:低価格で購入できる

築40年のマンションは、新築マンションと比べて低価格で購入できることが最大のメリットです。

東京都の平均成約単価(m2当たり)によると、築40年超のマンションの価格は新築マンションに比べて40~50%程度安くなるため、低価格で購入できます。

近年新築マンションの販売価格は高騰しており、なかなか購入できないものとなってきていますので、中古マンションの購入者が増えています。

低価格で購入できることは買い主にとって大きなメリットになります。

メリット2:浮いたお金をリノベーションにあてられる

築40年のマンションは購入価格が安いため、浮いたお金で「リノベーション」をすることができます。

予算よりも安いお金でマンションを購入できれば、安くなった分を「リノベーション」代に充てて自分の好みに合わせた新居に変えることができます。

また、最近では「リノベーション」をすることを前提として、程度の良い安い中古マンションを探している人も増えています。

このような点からも、築40年の中古マンションを購入することにはメリットがあります。

メリット3:立地が良い物件が多い

築40年のマンションは、立地条件の良い物件が多いこともメリットです。

40年前は戸建て住宅の人気が高かったため、立地の良いマンションでないと売れなかったことから、築40年のマンションには立地条件の良いものが多いのです。

特に大都市で通勤通学に便利なマンションを探すとなると、新築マンションよりは中古マンションの方が多くの物件が見つかります。

立地の良いマンションを安く購入できるため、買い主には大きなメリットがあります。

メリット4:管理状況を確認したあとに購入できる

築40年のマンションは、管理状況を確認してから購入できるというメリットもあります。

中古マンションの内覧の際に、居住スペースの専用部分だけしか見ないことがあるかもしれませんが、ぜひ共用部分も確認するようにしましょう。

仲介の不動産会社に依頼すると「重要事項調査報告書」を入手できる場合が多いので、実際に購入を考えだした段階で入手して確認することをおすすめします。

この中には、管理組合の体制、管理費・修繕積立金の額や変更予定、管理組合の収支状況、長期修繕計画、大規模修繕計画の実施予定などのマンションの管理状態が記載されています。

これらはすべて管理組合の活動がうまく行っているかどうかにかかってきます。

新築マンションでは管理組合の活動がうまくいくのかどうかは不確定ですが、中古マンションであれば現地や「重要事項調査報告書」を見ることによって、管理組合がきちんと活動しているかどうかがわかります。

築40年のマンションを売るための8つのコツ

築40年のマンションを売るための8つのコツは次の通りです。

築40年のマンションを売るための8つのコツ

  • コツ1:ハウスクリーニングをする
  • コツ2:ホームインスペクションを依頼する
  • コツ3:売却前にリフォーム・リノベーションをしない
  • コツ4:耐震性について確認する
  • コツ5:長期修繕計画を確認する
  • コツ6:築古マンションの実績が豊富な不動産会社を選ぶ
  • コツ7:不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
  • コツ8:業者買取を検討する

以下で、それぞれについて説明します。

コツ1:ハウスクリーニングをする

中古のマンションを購入する人は、ほとんどが内覧をします。

内覧の際に悪い印象を受けると、ネガティブなイメージが付いてしまうため購入意欲を低下させることになってしまいます。

もちろん自分でも室内の片付けや掃除をすると思いますが、キッチン・洗面所・浴室・トイレなどの水回りの掃除には、素人では落としにくい頑固な汚れがこびりついています。

そこでおすすめしたいのが、業者に依頼して行う「ハウスクリーニング」です。

プロに依頼すると、油汚れや水垢、黄ばみなどが驚くほどきれいになりますので、内覧時に清潔感や好印象を与えることができて、購入につながる可能性があります。

「ハウスクリーニング」の料金はそれほど高額ではありませんので、ぜひ検討してみましょう。

コツ2:ホームインスペクションを依頼する

住宅診断ともいわれる「ホームインスペクション」は、建物のプロである住宅診断士が第三者的立場でマンションの状態や瑕疵の有無などについて診断してくれるものです。

仲介を依頼している不動産会社などに相談すると住宅診断士を紹介してくれて、マンションの場合の費用相場は5万円程度ですが、

購入希望者に「ホームインスペクション」を行っていることを告げることによって安心感を与えることができ売れやすくなります。

また、「ホームインスペクション」を行うことによって隠れた瑕疵を見つけることができますので、「契約不適合責任」を回避することにもつながります。

コツ3:売却前にリフォーム・リノベーションをしない

売却前に、安易にリフォームやリノベーションをしないことも大切です。

最近では、中古のマンションをなるべく安く購入して自分でリノベーションをして住みたいという買い主が多くなっているという傾向があります。

特にマンションの場合は、躯体だけを残して間取り自体を変えてしまうリノベーションをしたい人が増えていますので、売り手が行ったリフォームが気に入らなければ購入してもらえなくなります。

築40年のマンションでも土地代だけは資産価値として残りますので、リフォームはせずそのまま査定を依頼してみて売り出し価格を設定することが売るためのコツです。

コツ4:耐震性について確認する

築40年を超えるマンションは、建築時期が「旧耐震基準」から「新耐震基準」に切り替わる時期に当たりますので、どちらの耐震基準に該当するのかをきちんと確認しておく必要があります。

「新耐震基準」は現行の基準で、震度6強~7程度の大規模地震でも倒壊しないような耐震性が求められており、1981年6月1日以降から適用されました。

これに対して、「旧耐震基準」のマンションは、耐震性が劣るということになります。

「新耐震基準」で建てられたマンションであれば、買主が住宅ローン控除や登録免許税の軽減を利用することができ、大きなアピールポイントになります。

なお、「旧耐震基準」の時に建てられたマンションであっても「新耐震基準」を満足する強度を有するマンションもありますので、建築年だけで耐震性が低いという判断はできません。

マンションの管理組合がマンション全体の耐震診断を実施していることもあり、「新耐震基準」に適合していることが証明されていれば「新耐震基準」の建物ということができます。

コツ5:長期修繕計画を確認する

築40年のマンションの「長期修繕計画」について確認することも必要です。

「長期修繕計画」に基づいて日常のメンテナンスや大規模修繕などが計画的に実施されていることや今後の修繕予定などを把握しておけば、購入希望者に対して適切にアピールすることができます。

コツ6:築古マンションの実績が豊富な不動産会社を選ぶ

不動産会社にも、得意な物件や不得意な物件がありますので、築古マンションの実績が豊富な不動産会社を選ぶことも非常に重要です。

築古マンションの取り扱いが多いかどうかは、その不動産会社のチラシや店頭など物件情報を確認することによって分かります。

また、不動産会社によってはホームページに売買実績を掲載していることもあります。

コツ7:不動産会社と専任媒介契約を結ぶ

中古のマンションを売る際は不動産会社に仲介を依頼しますが、この仲介には3つの契約形態があり、概要は次の表のようになっています。

契約の種類概要
一般媒介契約売り主は複数の不動産会社に並行して仲介を依頼することができます。
専任媒介契約売り主は他の不動産会社へ仲介を依頼することができません。不動産会社は販売活動状況について、売り主に対して2週間に1回以上の報告義務が発生します。売り主が買い手を探して売却することもできます。
専属専任媒介契約他の不動産会社への仲介依頼ができず、さらに売り主が買い手を探して売却することもできません。売り主に対する報告義務は、1週間に1度以上となります。

築40年のマンションの場合におすすめするのは「専任媒介契約」です。

「専任媒介契約」は、3ヶ月を限度としてその不動産会社のみに仲介を依頼しますので、短期集中で力を入れて販売活動を行ってくれて、2週間に1度以上の報告がありますので活動状況が良く分かるからです。

「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に仲介を依頼することができることから多くの人の目に触れやすいというメリットがあるため、売れやすい物件に向いているといえるでしょう。

コツ8:業者買取を検討する

築40年のマンションがどうしても売れないという場合は、「業者買取」を検討することも選択肢の一つとなります。

買取の依頼先としては、買取を行っている不動産会社や専門の買取業者などがあります。

買取価格や買取条件などが不動産会社や買取業者によって異なりますので、必ず複数の不動産会社や買取業者の買取査定を依頼して、買取価格が高くて買取条件が良いところを見つけるようにしましょう。

売れない築40年のマンションは専門の買取業者に売却しよう

この記事では、築40年のマンションが売れないといわれる理由や売買相場、購入メリット、売却するためのコツなどについて解説しました。

築40年のマンションであっても需要は確実にあり近年増加傾向にはありますが、成約件数が少ないため、なかなか売れないということになりやすいとも考えられます。

築40年のマンションがどうしても売れないという場合に、ぜひおすすめしたいのは専門の買取業者への売却です。

専門の買取業者であれば、短期間で確実に売却できて現金化できることや契約不適合責任が免責になるなどのメリットがあります。

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