別荘の固定資産税は高い?セカンドハウスとの違いや税制優遇措置を徹底解説

不動産を所有していると「固定資産税」がかかることはご存知かと思いますが、別荘やセカンドハウスを所有していても「固定資産税」がかかります。

では、セカンドハウスよりも別荘の「固定資産税」が高いということはご存知でしょうか?

今回は、税制上の別荘とセカンドハウスとの違いや税制優遇措置などについて詳しく解説します。

別荘の固定資産税は高い

毎年1月1日時点における不動産(土地や建物)の所有者には、「固定資産税」という市町村税が課税されます。

これは、自宅の土地や建物はもちろんのこと、別荘やセカンドハウスも対象となります。

「固定資産税」は、市町村の固定資産台帳に記載されている「固定資産税評価額(課税標準)」に標準税率1.4%を掛けて計算されますが、自宅については「住宅用地の特例」が適用されますので、200平方メートル以下の「小規模住宅用地」の場合は「固定資産税評価額(課税標準)」の1/6に減額され、200平方メートルを超える「住宅用地部分」は1/3に減額されます。

しかし、ここで注意しなければならないのは、別荘には「住宅用地の特例」が適用されませんので、「固定資産税」が減額されないということです。

つまり、別荘の「固定資産税」は、自宅の最大6倍になってしまうのです。

別荘とセカンドハウスではかかる税金が異なる

一般的に、別荘と同様の意味合いで使われている言葉にセカンドハウスがありますが、税制上では別荘とセカンドハウスは大きく異なり、課税される税金にも大きな違いがあります。

結論から言えば、別荘よりもセカンドハウスの方が税金の面で優遇されています。

別荘とセカンドハウスの違い

税制上の別荘とセカンドハウスの違いは、利用頻度の違いにあります。

別荘とは「余暇を利用して保養のために一時的に利用する住宅」のことをいい、セカンドハウスとは「自宅とは別に自分や家族の生活の拠点として利用する住宅」のことをいいます。

たとえば、セカンドハウスとは「週末に居住するための住宅」や「自宅と勤務先が遠距離にある人が平日の通勤のために職場の近くに所有している住宅」など「毎月1日以上居住のために利用する住宅」のことをいいます。

これをもう少し定量的に言えば、別荘は「夏休みや冬休みなどの期間に一時的に利用する住宅」、セカンドハウスは「月に1回以上日常的に利用する住宅」ということになります。

別荘の所有にかかる税金

別荘を新たに取得したり所有し続けたりすると、次の6種類の税金がかかります。

別荘の所有にかかる税金の種類

  • 【1】不動産取得税
  • 【2】登録免許税
  • 【3】消費税
  • 【4】固定資産税
  • 【5】都市計画税
  • 【6】住民税

この中で、【1】不動産取得税、【2】登録免許税、【3】消費税は別荘を取得した時点で1回だけかかる税金で、【4】固定資産税、【5】都市計画税、【6】住民税は所有している限り毎年かかる税金です。

以下、それぞれについて詳しく説明します。

【1】不動産取得税

「不動産取得税」とは、土地や家屋などの不動産を売買や贈与などによって取得した場合や、家屋を新築したり所有している家屋を増設したりした場合に、その不動産が存在する都道府県から一度だけ課税される税金です。

「不動産取得税」は、原則として次の計算式によって算出されます。

不動産所得税を算出する公式

「不動産取得税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×税率

税率は、不動産の種類によって異なっており、次の通りとなっています。

【不動産の種類別】不動産所得税の税率

  • 土地:「不動産取得税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×1/2×税率3%
  • 家屋(住宅):「不動産取得税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×税率3%
  • 家屋(非住宅):「不動産取得税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×税率4%

この中で、土地については2024年3月31日までは「固定資産税評価額(課税標準)」を1/2とする軽減措置が講じられています。

また、セカンドハウスの場合は、住宅に当たりますので、税率は3%になり税負担が軽くなります。

一方、別荘は住宅以外の家屋に当たりますので、税率は4%になります。

「固定資産評価額(課税標準)」は、市町村の固定資産課税台帳で調べることができます。

【2】登録免許税

「登録免許税」とは、不動産取引において土地や建物を登記する際に納付する税金です。

売買だけではなく、贈与、相続、時効取得などによって土地や建物の所有権が移動するときには「所有権移転登記」を行う必要があり、この登記をする際に「登録免許税」を納付する必要があります。

また、新築した場合は「所有権保存登記」を行う必要があり、このときも「登録免許税」を納付しなければなりません。

「登録免許税」は、次の計算式によって算出されます。

登録免許税を算出する公式

「登録免許税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×税率

「登録免許税」の税率は、登記の内容によって異なり、次の通りとなっています。

登記の内容税率
土地売買2%
贈与2%
相続0.4%
建物所有権の保存0.4%
売買2%
贈与2%
相続0.4%

【3】消費税

「消費税」とは、ものを買ったりサービスの提供を受けたりするときに、消費者が負担する税金で、現在の税率は10%です。

不動産取引においては、建物の購入代金や仲介手数料に課税されます。

消費税を算出する公式

「消費税」=「建物の購入代金や仲介手数料」×税率10%

なお、土地は消費されないため、土地の購入代金には消費税はかかりません。

【4】固定資産税

「固定資産税」とは、毎年1月1日時点における不動産(土地や建物)などの固定資産の所有者に課税される市町村税です。

土地や建物などの不動産の他に、一部の有形償却資産も課税対象となります。

「固定資産税」の税額は、市町村の固定資産台帳に記載されている「固定資産税評価額(課税標準)」をもとに、次の計算式によって算出されます。

固定資産税を算出する公式

「固定資産税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×標準税率1.4%

ただし、住宅用の土地の「固定資産税」の税額については税制優遇措置が適用されて、次の通りとなります。

不動産の種類税制優遇措置
200平方メートル以下の小規模住宅用地「固定資産税評価額(課税標準)」の1/6に減額
200平方メートルを超える住宅用地部分「固定資産税評価額(課税標準)」の1/3に減額

セカンドハウスは住宅とみなされますので、税制優遇措置の対象となります。

しかし、別荘は住宅とはみなされませんので、税制優遇措置は適用されません。

【5】都市計画税

「都市計画税」とは、都市計画事業や土地区画整理事業に充てるために、市街化調整区域内にある不動産に課税される地方税で、「固定資産税」とは別に次の計算式で算出されます。

都市計画税を算出する公式

「都市計画税」=「固定資産税評価額(課税標準)」×上限税率0.3%

具体的な税率は各市町村の条例で決められており、税率の上限は0.3%となっています。

ただし、住宅用の土地の「都市計画税」の税額については税制優遇措置が適用されて、次の通りとなります。

不動産の種類税制優遇措置
200平方メートル以下の小規模住宅用地「固定資産税評価額(課税標準)」の1/3に減額
200平方メートルを超える住宅用地部分「固定資産税評価額(課税標準)」の2/3に減額

セカンドハウスは住宅とみなされますので、税制優遇措置の対象となります。

しかし、別荘は住宅とはみなされませんので、税制優遇措置は適用されません。

【6】住民税

「住民税」とは、都道府県が課税する都道府県民税と市区町村が課税する市区町村民税の総称で、自治体が提供する公共サービス(教育や福祉、救急、ゴミ処理など)のために使用されます。

また、「住民税」には個人が負担する「個人住民税」と、会社などの法人が負担する「法人住民税」の2種類があります。

「個人住民税」は、所得に応じて課税される「所得割」と所得金額にかかわらず一律で課税される「均等割」に分かれています。

別荘の場合は、「均等割」のみが課税されますが、これはその市区町村の公共サービスを利用しているからです。

セカンドハウスであれば税制優遇措置を受けられる

セカンドハウスとは、「別荘以外の家屋で週末に居住するため郊外などに取得する住宅」や「遠距離通勤者が平日に居住するために職場の近くに取得する住宅」などで「毎月1日以上居住する住宅」のことをいいます。

住宅用の土地には「住宅用地の特例」が適用されますので、「固定資産税」や「都市計画税」の税制優遇措置を受けることができます。

この税制優遇措置の対象には別荘は含まれませんので、別荘の「固定資産税」や「都市計画税」は高くなってしまいますが、セカンドハウスであれば税制優遇措置を受けることができます。

どうしてセカンドハウスだけが税制優遇措置を受けることができるのかについては、次のような別荘とセカンドハウスの違いによります。

別荘とセカンドハウスの違い

  • 別荘:長期休暇の期間のみに利用される住宅
  • セカンドハウス:月に1回以上日常的に利用される住宅

固定資産税の税制優遇措置

セカンドハウスの土地の「固定資産税」は、住宅とみなされますので税制優遇措置が適用されて、次のように減額されます。

不動産の種類税制優遇措置
200平方メートル以下の小規模住宅用地「固定資産税評価額(課税標準)」の1/6に減額
200平方メートルを超える住宅用地部分「固定資産税評価額(課税標準)」の1/3に減額

都市計画税の税制優遇措置

セカンドハウスの土地の「都市計画税」は、住宅とみなされますので税制優遇措置が適用されて、次のように減額されます。

不動産の種類税制優遇措置
200平方メートル以下の小規模住宅用地「固定資産税評価額(課税標準)」の1/3に減額
200平方メートルを超える住宅用地部分「固定資産税評価額(課税標準)」の2/3に減額

不動産取得税の税制軽減措置

セカンドハウスの「不動産取得税」も軽減措置の対象となります。

税率は、「固定資産税評価額(課税標準)」の4%(2024年3月31日までは3%)ですが、一定の要件を満足する中古住宅をセカンドハウスとして取得した場合は、次のように軽減されます。

不動産の種類税制優遇措置
土地「固定資産税評価額(課税標準)」の1/3に減額
建物「固定資産税評価額(課税標準)」の2/3に減額

土地の控除額は、次のいずれか多い方の金額となります。

土地の控除額は以下のいずれか多い方

  • 4万5000円
  • (土地1平方メートルあたりの課税評価額×1/2)×(床面積×2)×3% ※床面積は、200平方メートルが限度です

また、建物の主な要件は、次の通りです。

建物の主な要件

  • 床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下の中古住宅であること
  • 1982年1月1日以降に建築された中古住宅であること

建物の控除額は、中古住宅の築年数や自治体によって異なります。

セカンドハウスとして認定を受けるための手続き

「固定資産税」と「都市計画税」の税制優遇を受けるためには、自治体でセカンドハウスとして認定してもらう必要があります。

自治体によって具体的な手続き方法が違っていますが、一般的には次の書類を提出します。

セカンドハウスとしての認定を受けるために必要な書類

  • 年間を通じて毎月1日以上居住のための利用があることが分かる書類(たとえば、有料道路の領収書、近隣での買物時のレシートなど)
  • 利用状況に関する申告書

固定資産税の支払いに不安があるなら売却・処分するのも1つの方法

ご紹介してきたように、税制上別荘とセカンドハウスには明確な区別があり、別荘は各種の税制優遇措置や軽減措置を受けることができません。

特に、「固定資産税」については、セカンドハウスが住宅とみなされるため、税額が1/6に軽減されるのに対して、別荘は軽減されないため税額が6倍になってしまいます。

「固定資産税」は、別荘を所有し続ける限り毎年納税しなければならないため、その負担はかなりのものとなるでしょう

もし「固定資産税」の支払いに不安を感じるのであれば、別荘を売却するか処分することも1つの方法です。

別荘の固定資産税は高い!払い続けることに対して不安があるなら売却・処分を検討しよう!

この記事では、別荘の「固定資産税」が高いこととなぜ高いのかという理由、別荘にかかる税金の種類と詳細、セカンドハウスで受けられる税制優遇措置などについて解説しました。

別荘は、セカンドハウスと違って税制上の住宅に該当しないため「住宅用地の特例」が適用されず、「固定資産税」は最大6倍にもなってしまいます。

しかも、「固定資産税」は所有する限り毎年課税されますのでかなりの負担になってしまいます。

もし、「固定資産税」を払い続けることに対して不安があるのであれば売却や処分を検討してみることをおすすめします。

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